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第82話『回避訓練スパルタ式、第2段』


 全く想定してなかった脇腹への一撃を喰らい、吹っ飛ばされた先で痛みに悶え苦しんでいると、菊次郎爺さんが回復魔法を使ってくれた。


 何度も竹刀で殴り飛ばされた上に、菊次郎爺さんの回復魔法で精神的なダメージはむしろ加算された気がするが、肉体的には完全回復した。




 回復した後も、楓ちゃんのスパルタ回避訓練は続けられた。


 来る攻撃の種類を運便りで先読みして動いては吹っ飛ばされる事十数回、運良く先読みが当たり吹き飛ばされはするが竹刀の威力を軽減させられたのが数回。

 そして、それと同じ位に悪い方に当たり竹刀の方に跳んで、逆に威力が上がり悶える事数回。



 流石に運任せでやってたら不味いと、方針を変えて楓ちゃんの攻撃を見る方に集中する事にした。

 うん、別に竹刀に突っ込んだ際の痛みが想像以上にキツかった事とは関係無い、無いったら無いからな。




 楓ちゃんの攻撃を観察しながら吹き飛ばされる事約数十回、ぶっちゃけ吹っ飛ばされる事に慣れ始めたのか、跳ばなくてもダメージが減って来た気がする。


 そして唐突に閃いた。

 魔法使いなんだから、体を動かして対処するより魔力で攻撃をどうにかすればいいじゃん、と。


 閃いてすぐに竹刀の軌道上に魔力弾を作り迎撃しようとして。





 爆発した。





 魔力弾の生成を間に合わせる為に、体のギリギリで作ったのが悪かったらしい。

 作った魔力弾は竹刀を破壊したが、同時に近過ぎて破壊した際の炸裂範囲に自分の肉体まで入っていた様だ。


 即席で作った魔力弾だったので、そこまで威力は無かったものの至近距離で爆発した為に、広範囲に渡って腹部に裂傷が出来たらしい。


 俺が悶えてる間に菊次郎爺さんが回復魔法を掛けてくれなかったら、恐らく傷痕が残っていただろう。



 楓ちゃんは爆発直後は呆然とした様子だったらしいが、今は自分の責任だと落ち込んでいる。


 流石に俺が短絡的に行った事が原因なので、必死に慰めていたら立ち直ったが先程の出来事もあり、もう練習相手をする気は無い様だ。





 次は紅葉ちゃんの番……と言いたい所だが、ちょっと手法を変えるみたいだ。


 菊次郎爺さんが当てない様に攻撃してる最中に、紅葉ちゃんが弓で攻撃して来る形でやるらしい。



 菊次郎爺さんが当てないなら楽かなー? と思いながらやってみると。



「儂を意識から外すでない」

 と言いながらデコピンされた。


 今日一で痛い攻撃がデコピンって何だよ、と思いつつ額を押さえて悶え苦しんだ。




 紅葉ちゃんが放つ矢は、そこまで痛く無いが菊次郎爺さんから意識を外さない様にしていると、全く避けられずガンガン被弾した。

 少しでも紅葉ちゃんの方を見ようとすると、菊次郎爺さんが半端無く痛いデコピン攻撃して来るので、目線を紅葉ちゃんの方に向ける事が出来ない。


 流石に見もせずに避けるとか無理だと言うと、菊次郎爺さんは。

「儂は視界から外れない程度の範囲しか動いとらんのじゃから、儂を見ておっても視界の端には映っておる筈じゃよ」


 と、割と無茶振りな事を言って訓練を再開させた。





 バカスカ紅葉ちゃんの矢が当たる事数十回。

 唐突に視界に映った物に反応して体を反射的に動かすと、紅葉ちゃんの矢が目の前を通り過ぎて行った。


「おぉ! それじゃよ! 今の感覚を忘れぬ内にもう一度じゃ」



 マジで出来たよ、と思っている内に菊次郎爺さんにすぐさま再開されて脳天に矢が命中した。






 矢を避けられる割合が徐々に増えて来た頃、いきなり矢を避けた直後に菊次郎爺さんのデコピンが直撃した。


「慣れて来た様じゃが、避けた直後に集中力が散漫になっておるのぅ、もっと矢の頻度を上げられぬか?」


「変身してないと連続でやるのは無理だよ~、僕だって弓使うのまだそんなに慣れて無いんだよ~」



 何で俺にはデコピンで指摘したし、言葉で言って下さい言葉で。


 唐突に受けたデコピンの痛みに悶えながらそう思ったが、俺も言葉にする事は出来なかった。


 痛みに悶えてたしな。

 別に再度デコピンが飛んで来るかも知れないから言わなかった訳じゃない、と言い訳させて貰いたい。

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