第74話『戦後処理』
おっと危ない。
割と時間ギリギリに完成したので、多少早いけど予約投稿せずにそのまま直接更新。
17日目
あの後、戦後処理等で忙しく動き回る周囲に対して、俺達はする事が無かった。
菊次郎爺さんは回復魔法が使える分役割があったものの、それ以外の異世界メンバーに出来る事はこれと言って無かったからだ。
流石に周りが忙しく動き回る中、訓練をしても集中出来ないので、被害を受けた街中での手伝いを買って出て、街の復興作業をしていたら暗くなっていた。
俺達の初めての侵略者戦翌日、朝早くから謁見の間に集まっていた。
女王ミリスティアが王座に座り、左右には最初の時や菊次郎爺さんが来た時以来、見てなかったサヴァンとキリエが立っている。
それに対して、俺達異世界人組の5人とランベルトが頭を下げた状態で対峙している。
ちなみに、さり気にランベルトはいつもの姿では無く、ドレスになっている。
流石に女王様の前で男装みたいな格好はしないらしい……まぁ眩しくない程度に抑えつつも、金色を身に纏っているのはいつもと変わらない。
呼ばれた理由は、昨日ギュンターが言ってた様に大きな成果を上げた俺とランベルト、そして戦場を駆け回り戦死者を減らし人的被害を抑えた菊次郎爺さんに褒美を与える為らしい。
ちなみに俺は結局、あの穴を防衛地点として残し後に観光名所とする事が決定したらしい、流石に防衛の拠点とする為に残すんじゃ反対し辛い。
そもそもこんな状況で強固に反対も出来ないので、変な名称を付けられない様に命名権を貰う事を条件に提示し、それを褒美代わりにして貰った。
ついでに現時点では何の意味も無いが、報酬の中に観光名所にした際の収益の一部が貰える事も含まれていた。
不労所得が入るのは嬉しいものの、対価として黒歴史的な物が多くの人の目に触れ残り続ける、と考えると素直には喜べない。
菊次郎爺さんは、治療した兵達からお礼の品が沢山送られて来ているらしく、割と褒美を貰わなくても盛り沢山な感じで、何を褒美とするか聞かれていたが。
『儂に治す力があり、助けられる者を治すと言う人として当然の事をしただけじゃ、感謝の心を無下にせぬ為に礼の品は受け取るつもりじゃが、褒美等は受け取れぬよ』
と言って褒美を拒否していた。
流石に褒美を無しにするのは国として受け入れられないので、何とか菊次郎爺さん監修の元で家を一軒建て、それを褒美として与える事に落ち着いた。
ちなみに、今後も続くであろう礼の品は家が完成し次第そっちに送る様にするらしい。
何となく届く物の置き場所に困ってるから、送る先である家をやった感がある気もする。
桜・楓ちゃん・紅葉ちゃんの3人も突出した成果を出していないものの、結構な数の機械兵を倒したらしく、小遣い……もとい月給が上がりボーナスもある様だ。
ちなみに上がり幅は活躍が少なかった桜が一番低めみたいだ……まぁ重要性は高いけど、上空を通過する戦闘機みたいな機械兵の攻撃を余り防げなかったらしいし仕方ない。
上がり幅が最も大きいのは菊次郎爺さんで、俺はむしろ月給は抑え目でボーナスは半額…………一応上がりはしたが例の穴に掛かる費用が嵩む分が多少引かれたらしい。
一応観光に使われる様になれば、その分を補って余りある程になる筈だが、現時点では給料の天引きされただけだ。
まぁ、幾ら掛かるか想像も出来ないが、掛かるであろう費用からすると下がらずボーナスもあるだけ優遇されている。
さて、残ったランベルトだが、褒美に何を望むか問われた際にとんでもない事を言い放った。
『僕は嫁……じゃなかった、椿と共に次の襲撃戦に参加する事を許して頂きたい』
と、次回の侵略者戦に加わる事を望んだ。
女王や左右に並び立つサヴァンとキリエも、多少困惑した様子を見せたが今回明確な成果を上げている為、ランベルトの褒美は異世界人組の編成に加わる事に決まった。
その後、円滑な形で参加する為に異世界人組の訓練に参加し、同じ城内で寝食を共にする、と言った辺りで楓ちゃんからの猛烈な反対があった。
がしかし、何やらランベルトが楓ちゃんの耳元で囁くとあっさり鎮火した。
凄く不安に感じたが、割とどうしようもないので頑張ってスルーした。
ちなみに、菊次郎爺さんへのお礼以外に『天使様への貢ぎ物』とやらも届いたらしい。
心当たりが無いか、何故か俺にだけ聞かれたが知らないで通した。
「ソンナノワタシシラナイネ、キットフッコウニヤクダテレバ、テンシサマモマンゾクヨ」