表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/121

第73話『初めての対侵略者戦・終局』


 ランベルトに抱えられ、飛行体を追うも間に合わず、本隊から上空への対空攻撃が始まっていた。


 他の機械兵とは違い耐久性は低いのか、魔法が命中した飛行体は墜落しているが、墜落した飛行体の幾つかはそのままの勢いで街の方へ落ち被害が出ている。


 更に撃ち漏らしも数機存在しているみたいで、街へビームが降り注いでは若干遅れて本隊からの攻撃が当たり撃墜されている様だ。



「これ以上被害が増える前に街まで飛ぶぞ」


「飛ぶって何をする気……」


 ランベルトの返事を待たずに短距離転移を発動させた。

 転移の限界距離まで飛び、出てすぐに再度限界距離ギリギリまで飛ぶ、と言う事を繰り返す。



 視界がコロコロ変わるせいか、それとも最大距離を連続使用してるからか、少しずつ頭がクラクラしてくるが、目視による転移で無ければ瞬時に連続使用が出来ないので、目を凝らし街の方を向いたまま連続転移を繰り返した。





 街に着いて早々に、上空へ向けて燕弾を矢継ぎ早に5、10、15、20と撃ち出し飛行体の撃墜に向かわせる。

 ちょっと多過ぎるとは思うが、当たらない場合を考えれば多過ぎる位で丁度いい。


 何より……。




「だ、大丈夫かい!? 凄く顔色が悪いよ?」


「……ちょっと無理した反動で気持ち悪いだけだから…………多分少し休めば治る……多分」


 連続転移の影響で車酔いと立ち眩みを足して、2で割らない感じの状態になっていたので、燕弾は真上に撃ち上げ飛行体の撃墜のイメージを付けただけで、直接狙いを定めて無い為に数撃ちゃ当たる戦法を取るしか無かった。

 割と勝手に動き回る種類だから、イメージとは言え命令を付加したなら、目標目掛けて飛ぶ位はしてくれると思うが、幾つ当たるかは未知数だ。


 魔力的にはまだ余裕はある、しかし後数回転移したら転移直後に吐くだろう。

 その位に転移を使う余裕は無い。


 しかも、気持ち悪い上に視界が歪むので目を開けるのもキツい。

 まだ自分以外を転移させた事は無いので、恐らくランベルトも一緒に転移させたのも、全く無関係では無いと思うが、今確かめる必要はない。



「今出来る範囲の事はしたけど、状況はどうなってる?」


「ギュンター様率いる魔法隊が大半を落としてる様だし、撃ち漏らしも君のお蔭で街に辿り着く前に墜落してるよ」


 そうか、体調が予想を遥かに越える程悪くなって役に立つか不安だったが、キチンと効果があったらしい。


 しかし、適当に高い建物の頂上に転移したが、何かえらく周囲が騒がしい。

 目を開けても視界が歪むから見る事が出来ず、なんでこんなに騒がしいのかが全く分からん。


「で、順調に落とせてるのはいいけど、何でこんなに騒がしいんだ?」

「あぁ、街を守る兵や避難が遅れた市民達が歓声を上げているんだよ」


 あぁ、確かによく聞けば歓声と取れる喜びの声が……ちょっと待て、何かすぐ近くで変な声も聞こえる気が。


「歓声の中に変なの混じってないか?」


「結構目立つ所に居るからね、まさか天使に間違われるなんて、可愛らしい姿の君が守ってくれた姿を見たからじゃないかな?」


 誰が天使だ。

 マジで歓声に混じって『天使様じゃ』とか聞こえるぞ。


「ちょっと待て、目立つって……今俺達なんの建物の上に居るんだよ」


「教会だよ? 知らなかったのかい?」


 攻撃に晒される街、突如教会の頭上で敵を駆逐する魔法少女(の見た目)……うん、根本的には全く違うが、状況を考えれば若干それっぽい。


 糞、逃げたいけど中々治る様子がねぇよ、流石に人目が多い中で抱えられたまま運ばれるのは嫌だし。






 歪む視界が治った頃に目を開けて周囲を見回すと、割合としては年寄りが多いが、数十人程の集団に拝まれていた。

 いや、元々どの位居たのか分からないから、増えてるのか減ってるのか判断出来ないんだけどさ。


 勿論、治って早々に転移で逃げたよ。




「ご苦労様じゃったの、お主等のお蔭で被害が最小限に抑えられた状態で撃退する事が出来たわい」


 本隊に着くと、既に他の四人がギュンターの元に集まり話をしている所だった。

 またもや俺が最後だったらしい。



「おぉ、今回一番の功労者の椿君も戻ってきた様じゃな」


「あのデッカイの椿が倒したんだよね、凄いじゃんっ!」


「応援に行けなくてごめんなさい、アレが見えた時すぐにでも行きたかったんですが、なかなか離れられなくて」


「アタシは行けたんだけど、行っても足手纏いになるかも知れないって言われちゃって」


「儂は流石に負傷者を置いては行けなくての、お主の様な若者に任せっきりになってしまい申し訳無い」


 大半は援護に来れなくて謝られたが、ぶっちゃけあんな硬くてどデカい相手じゃ録な援護は出来なかった気はする。


 紅葉ちゃんは攻撃を避けるのは問題無いとは思うが、攻撃力が足りず囮をするには速度は多分足りないだろうし。

 桜は、流石に攻撃を避けるのは無理で攻撃を受けるには相手がデカ過ぎて、少し不安だ。


 楓ちゃんは結構助かる援軍だとは思うが、少し俺を守る事に拘る部分があるので転移を駆使する戦い方をすると、必要無い所で飛び出して来そうな気がして危なっかしい事になっていたかも知れない。


 菊次郎爺さんは……居てくれたら丸々任せても倒せてた気がするので、来てくれれば良かったのに。

 まぁ、流石に怪我した奴を放って置いて来られたら、俺の罪悪感がヤバいので無理に来なくて良かったとは思うけど。


「むっ? そこに居るのは、確かゴールド家の跡継ぎのフラン「今の僕は討伐者のランベルトさっ!」いや、お主はフランチェ「ランベルトと呼んでくれたまえ!」家名を隠さぬ時点で意味は無いと思うんじゃが」



 ギュンターとランベルトが変なやり取りを始めた。

 ランベルトと言う名前は偽名の様だが、確かに家名はそのままなのであれば偽名の意味がない。

 折角微妙に見直していた所があったのに、また残念な奴だと言う評価に戻った。


「それで、何故お主が椿君と共に来たんじゃ? お主は兵には成れんかったんじゃからギルド経由で右翼で参加したんじゃろ?」


 ギュンターから当然の疑問を投げ掛けられ、コイツが話すと無駄に長く何かしら歪曲した内容になりそうな気がするので、俺から説明した。


 主に、右翼で邪魔者扱いされて他に手伝い出来る戦場を探した末に、俺の所に辿り着き巨大な機械兵との戦いで予想外に囮役として活躍したので、今まで行動を共にしていた、と。


 細かい所を抜けばこんな感じだよな?。



「ふむ、囮か……そう言えばあのランベルトと同じ名を名乗る者がギルドに在籍し、未だAに届かぬランクでありながも驚異的なスピードを意味する二つ名を付けられている、と聞いた覚えがあるのぅ」


「丁度いい名前が思い付かなかったからねっ!」


 うん、さっきからバレバレになってるけど偽名使ってるならもう少し隠せ、何堂々と名前拝借して使ってた事を普通に言ってんだよ。


「ならば、今回の功労者は椿君とフランチェス「ランベルトだ!」面倒じゃのぅ」


 面倒って言うよりむしろ、鬱陶しい。


「兎に角、お主等2人が今回最大の功労者じゃの、被害確認が済み次第女王様から褒章を授与する……予定だったんじゃが」


 途中で微妙な表情を浮かべ言い難そうな口調に変わった。

 気まずそうにギュンターが口にしたのは。


「周りを気にせずとは言ったがの、流石にアレ程までに酷くなるのは予想外でのぅ」



 俺もあんなどデカいクレーターを作る気は欠片も無かったものの、ギュンターの言葉に目が泳いでしまった。


「修復を行う場合、褒章の代わりが修復の手伝い免除になりそうな程に修復に人手が取られそうなんじゃよ」


 むしろ、土木に使えそうな魔法とか全く習得出来てないので、手伝わされても困るので助かる。

 絶対人力でやると年間業務レベルで掛かるし、魔法で習得作業を行わないと丸1年以上掛かるだろう。

 なのに、土木関係に使えそうな魔法が無い状態で参加とか、何時終わるとも知れない土木作業を肉体労働で延々とする事に……絶対嫌だわ。



「案としては、修復せずに観光資源として残す事も考えられるんじゃが、名称に椿君の名前を拝借する事になるじゃろうな」


「それは絶対嫌だ」

 止めて、マジで止めて、黒歴史を大々的に残すみたいな感じがして永久に悶え苦しむ事になりそうだからマジで勘弁して。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ