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第71話『初めての対侵略者戦・終盤』


 大きな鎌を備えた腕部が振り下ろされ、短距離転移で巨大ロボの背中に飛んだ。


「デカいな……この装甲とか普通の機械兵とは比べもんにならない位、分厚そうじゃんか、1、2、3……合計8本か」


 足元の巨大ロボの背中を強く足で踏み鳴らしても、鈍い音がするだけで分厚い金属で作られてるのが分かる。

 周りを見回すと、ウネウネと動く鎌の付いた腕部が8本見えた、魔力レーザーで破損したらしい腕部らしきモノが2本見えるので、元々は10本あったんだろう。


 足元の装甲に軽く魔力弾を撃ち込んでみるが、ヘコみは愚か傷一つ付かない。


「かなり強めにしないと、大したダメージ与えられそうに無いな、っと幾らなんでも気付くか」


 倒す手段の事を考えていると、俺の事が見付からず右往左往していた腕部の鎌が、こっちに向かってきた。


 先程と同じ様に転移して、地面に降り立った後にもう一度転移して巨大ロボの真下に飛んだ。



「被害云々は真下から撃ちゃ大丈夫なんだろうが……結構作るのに時間掛かったしな~、眩し過ぎて視界が悪くなる上に出来る前に攻撃されそうだから無理だよな」


 ちなみに魔力レーザーと言えるアレを作るのには、大体1分程は掛かった筈だ。

 真下で悠長に1分もじっとしてられないし、何よりも目立つからすぐに気付かれる可能性が高い。


 数秒程溜めて魔力弾を胴体にぶち込んでみた。


 僅かに傷が付いたみたいだがヘコみも何も無い、全然足りてないみたいだ。


 攻撃された事で気付いたらしく、胴体が勢い良く落ちてくる。

 ボディープレスでぺちゃんこにするつもりらしい。


 何となく真下に居ればそう来ると思っていたので、すぐさま転移で離れる。



「1人でやるにはかなり難題っぽいけど、こんなに頑丈でどデカいと殆どの奴は足手纏いにしかならなそうだな」


 大きさの性で攻撃範囲が広いものの、動き自体は素早く無いので転移が使える限り余裕を持って相手出来るが、そうで無ければ相当なスピードが無いと避け切れないだろう。


 勿論俺は転移が無ければ絶対避けられない。




 攻撃されては転移で避け、少しずつ溜める時間を長くした魔力弾を放つ、と言う事を繰り返していく。


 しかし、多少ヘコみが出来た辺りで溜めている途中に気付かれ、なかなか溜める時間に余裕が無くなってきた。



「ちょっとマズいな、同じ所を狙おうにも似たような場所はしばらくの間は若干気付かれ易くなってやがるし、もっと威力を上げようにも掛けられる時間が足りない」


 似たような場所に移動すると早い段階で気付かれる上に、ダメージを多少与えた箇所付近は警戒されてるのか、更に早く気付かれる。

 コントロールして少し離れた所から攻撃しようにも、転移した時点で制御を離れるので直射しか出来ない。


 しかし、直射は離れる程精度が落ち同じ箇所に当たらない可能性が高いから、結局一点集中で攻撃する事は難しい。


 勿論だが、腕部を破壊しようにも胴体の装甲よりも薄いものの、強度そのものはかなり高いので、何度も狙う必要がある。

 でも、何度も当てる為には腕部から程近い場所に転移しないといけないので、気付かれ易くなる上に相手の攻撃手段の近くなので攻撃を避ける余裕が減る。


 結論として、引き付けてくれる人が居ないと千日手のまま、こっちが消耗してその内やられる可能性が高いと言う状況だ。




 その時、唐突に大きな音がして巨大ロボの動きが若干止まった。

 何があったのか観察してみると、本隊の方から雷が鳴り巨大ロボに命中する所が見えた。


 本隊に居る2人からの支援攻撃が始まったらしい。

 雷の後に合間を空けて、黒いモノが飛んできて命中するのも見えた。


 どちらも決定打にはならないが、黒いモノは巨大ロボの装甲を僅かにヘコませ、雷は目に見えた損傷は与えていないが、巨大ロボが数秒間だけ停止させている。


「凄く助かる……けど、決定打を与えるだけの効果までは無いみたいだな、タイミングを合わせて腕部破壊が順当か?」


 黒い攻撃は装甲をヘコませてはいるが、今まで俺が攻撃した中で一番装甲を傷付けた魔力弾より劣る程度の効果しか無く、雷は動きを止めるものの、装甲を貫けるだけの溜め時間を稼げる程の時間は無い。


 流石に何時まで支援攻撃が続くか分からない状況で、雷の支援攻撃による停止時間を前提にして胴体への一点集中攻撃は、装甲を貫く前に支援攻撃が止んだ際のリスクが高過ぎる。


 故に、支援攻撃が止まった場合に1つでも多く腕部を破壊出来れば、もしも支援攻撃が止まってしまっても、支援攻撃がされる前より多少マシな状況で戦える筈だ。




「コレで2本目っと」


 定期的に支援攻撃が降り注ぐ中、腕部に強めの魔力弾を叩き込み2本の腕部をへし折る事に成功した。


 勿論、後の事を考えて元々破損していた腕部に近い部分を壊し、破損している腕部の位置が偏る様にだ。



 しかし、2本目を破壊する頃には、支援攻撃が止まぬものの、攻撃の間隔が長くなっている気がする。

 最初は10秒間隔位だったのが、30秒程の間隔になっている様なのだ。


 まぁ、2本目を破壊するまでに10分程掛かっているので、流石に魔装具によるブーストが掛かっていない者に取っては、常に休む事無く使い続けると言うのは相当にキツい事だろう。


 俺の場合は魔装具でかなりブーストされてる上に、どの程度効果があるのか実感は出来ていないが精神統一と言う、呼吸する事で大気中の魔力を取り込むと言う、常時魔力回復効果があるスキルがある。

 精神統一のお蔭か、元々ブーストで増えてる量が多いからかは分からないが、俺はまだ結構余裕がある。


 まぁ、親分兎や魔力レーザーの時は結構使った感があったので、何となくの感覚で言えば今までで親分兎と魔力レーザーを各2回分位は追加で減った気がする。

 ちなみに、通常の兎を群れで出した分は親分兎一匹分位?。


 つまり、現時点の消耗は親分兎4匹分と魔力レーザー3発分程……親分兎と魔力レーザーの消費量は納得の桁外れさだよな。




「支援攻撃が途切れる前に後1つか2つは壊しときたいな…………ん? 何か揺れてうぉっ!?」


 巨大ロボの胴体の中心に立ち、次に攻撃する腕部の目星を付けていると、足元が揺れ始め立っていた所が勢い良く上昇した。


 流石に危ないので、転移で脱出して元々居た辺りを見ると……頭部っぽいパーツが巨大ロボの中心から生えていた。


「何じゃありゃ」


 唖然として見ていると、頭部パーツの目の様な部分がこちらを向いて光り出した。


「今頃頭出してどうすんだよ、あ? 何かどんどん光りが強……く…………っ!? やべっ!!」


 始めは若干呆れながら見ていたが、光りが強くなっていくのを見て嫌な予想が思い付き咄嗟に転移で相手の真下まで飛んだ。



 振り返り先程まで居た方向を見ると、赤い光が着弾して地面が爆散する所だった。


「目からビームとか……折角攻撃手段減らしたのに、また面倒な形で増えやがった」


 ビームは発射までのタイムラグが結構あったが、発射してからは一瞬だったし発射のタイミングもハッキリしない。

 つまり、普通に迫り来る鎌の腕部を見てから避けるのとは違い、光ってるのを見た時点で転移しないと発射されてからじゃ間に合わない。

 そして、多少は分かるものの、光ってる目からビームが出て来るタイミングはじっと見てればまだしも、他の腕部等も警戒しながらでは全然分からない。



 どうしたもんかと考えていると、その声が聞こえて来た。


「ハーハッハッハー! 我妻を助けにココに推参っ!!」


 凄く目に痛い黄金色の装備を身に纏ったアホ、もといランベルトが高らかな笑い声を上げながら、軽やかに駆け寄ってきた。


「あ~うん、他の場所はどうしたんだよ」


「只でさえキラキラして鬱陶しいのに、僕の攻撃が全く効いてないから邪魔にしかならないと追い出されてしまってね!」


 オイ、本当に何しに来た。

 通常の機械兵にさえ攻撃が効かないなら、この巨大ロボ相手じゃ何の意味も無いわ。


「何処か手伝える所は無いかと聞いて回っていたら、我妻が危ないと耳に挟んで飛んで来たんだよっ!」



 来んな、普通に邪魔なだけじゃねぇか、しかも二重の意味で。


「心配しなくても大丈夫さ、あんなデカブツ相手では僕の攻撃は効かないだろうが、囮として引き付ける位であれば何の問題も無く可能だよ」


 凄く自信満々に語っているが、普通に信用出来ない。



「見ていたまえ、金の軌跡と呼ばれる僕の華麗な動きをっ!!」


 そう言って巨大ロボの足元まて行って……駆け上がったっ!?。


 キンキラキンで目立つからか、残った腕部が一斉にランベルトに襲いかかるが、当たる直前に金色の軌跡を描きながら目にも止まらぬ速さで駆け抜けて行った。


 金色が超目立つので、動きの軌道上に金色の線を残しているが、本当に目に映らぬ速さで凄い速度を出している。


 凄く役立たずっぽそうだった奴が、まさかの囮で大活躍してるっ!?。

援軍として来るのが予想外?。

いや、だって他の奴等は持ち場から離れ難そうじゃん。

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