第69話『初めての対侵略者戦・準備』
戦闘に入るかと思いきや、前段階です。
菊次郎爺さんと一緒に、一応変身を解かないまま城門前に行くと、慌ただしく行き交う人や集まった兵士達、端っこにキリエ・桜・楓ちゃん・紅葉ちゃんが居てギュンターと宮子の六人で固まっていた。
「俺達も鳴ってすぐに来たのに皆早いな」
「私と楓さんは走って来ましたので」
「僕も走って来たよ」
「アタシは相手してくれた兵士さん達が鳴ってすぐに動き出してたから、状況を認識する前に兵士さん達と一緒に動いてたのが早かった原因かしらね」
ゆっくりしてた訳じゃないけど、俺達が一番行動が遅かったらしい。
確かに鳴った理由を確認してから動き出したし、動き出した後も多少急いだが走って来た訳じゃないから当然なのかも知れない。
菊次郎爺さんも、俺に合わせたのか小走り程度の速度しか出してなかったので、俺と一緒に到着しただけで、菊次郎爺さんは全力で走れば下手すると誰よりも早く一番だったかも知れない。
「さて、全員集まった様じゃな、状況を説明するぞ」
ギュンターからの説明では、前回の襲撃は総勢一万程度だったが今回は偵察の段階で倍以上の数を観測した為、万が一を考え既に女王主導の元で前回行った儀式魔法の準備を始めているらしい。
しかし、準備に時間が掛かるので間に合うか分からない上に前回より数が多い為、仕留め切れるかは未知数なので最低でも半数以上は数を減らさないとヤバい状況らしい。
前回を踏まえ、準備は整え防衛準備を進めているが、数万の大軍勢を相手にそこまで減らせる程対策を万全に出来ているとは言えないので、国を守り切れるかは俺達に掛かっていると言っても過言じゃない程、俺達が居るかどうかで勝率が変化するらしい。
「初っ端から予想以上に命運を左右する立ち位置になってるんだな」
「侵略者は生半可な攻撃では仕留め切れぬ程、硬くしぶといんじゃよ、並の兵では1体を相手に複数で掛からねば倒せぬ程手強い、儂やキリエ君でも消耗を気にせずにやれば数百~千数百を超える数を減らせる可能性がある程度じゃ」
ギュンターは知らないが、キングゴブリンを一刀両断するキリエでも万は無理となると想像以上に強い軍勢みたいだ。
割と洒落にならない。
「ウチは直接見た訳やないけど、残骸を見る限り機械兵の軍勢らしいねん……しかもかなり硬い金属で作られとる様で、魔法は通りづろうて並の攻撃やと刃が通らんみたいやね」
魔法の世界にSFが侵略してきましたってか…………世界観間違ってませんか?。
「この世界と関係無いお主等には、本当はもう少し安全に戦える様にするつもりじゃったんじゃが思ったより不味い状況じゃ、なのでお主達には各自能力に適した配置で参加して貰おうと思っておる、かなり危険を伴うが……やってくれるかの?」
「儂は老い先短い身じゃ、元より国を守ると言う大役を頼まれた時点でこの命、幾らでも賭けようぞ」
真っ先に菊次郎爺さんが前に出る。
「僕は強い奴と戦えるなら何も文句は無いよっ! むしろ拳で戦えなさそうな事が不満な位だね」
「アタシは元々抜ける気何か無いわよ、アタシが頑張れば国を守る英雄みたいになれる何て素敵じゃない」
紅葉ちゃんが元気よく拳を振り上げ、更に桜が続くが何か恍惚な表情を浮かべている。
「私は……皆さんみたいに確固とした気持ちがある訳じゃありません…………でもっ! 私でも人の役に立てて命を救えるのならやりたいですっ!」
楓ちゃんは最初は俯いていたが、勢いよく顔を上げて叫ぶ様に参加の意思を示した。
ん? 何で皆こっち向いてる訳?。
あっ、俺も言えと……いや参加はするけどそんな熱い想いとか無いし。
「あ~……うん、するよ参加、俺みたいな奴でもこんな凄い重要な役割をやれるんなら命でも何でも賭けるって、元の世界に居たんじゃ出来ない一国、下手すると世界救えるんだろ? やらない何て選択肢無いだろ」
元の世界じゃ社会の歯車にさえマトモになれない様な底辺の社会不適合者が、世界救えるとか……情熱を傾ける様なモノが無かった俺でも、何かこうグッと来るモンがあるし。
何より、異世界とは言え歴史に名を残す位の大事になる出来事にメインの立ち位置で参加出来るんだ、俺みたいな奴の命を賭けるだけで歴史の主役級になれるんならやるに決まってるじゃん。
おや? 何やら、どうとも言い難い微妙な表情で見られてる気が?。
「兎に角、皆参加してくれる様で助かるわい、早速各自の配置と役割を説明させて貰うぞ」
ギュンターが咳払いをしつつ、俺達の配置に関して説明を始めた。
まず、全体の話として街から離れた所に前線基地と言える陣を作り、そこから本隊・正面部隊・右翼と左翼部隊・後方で街を防衛する部隊に別れる。
ギュンターは本隊で指揮を取りつつ援護に回り、魔法部隊も本隊で後方支援に回るらしい。
キリエ達、魔法戦士隊は右翼、他にもギルドから派遣されるメンバーも右翼に回る。
戦士隊や騎士団は左翼に回るらしいが……正面は?。
菊次郎爺さんは基本的には本隊を拠点に遊撃、戦力的には惜しいが回復要因として各陣営を回る事を優先して欲しい様だ。
右翼は割と戦力が集まる可能性が高いので、楓ちゃんと紅葉ちゃんは左翼の援軍として参加。
桜は本隊で防衛、特に街に流れ弾が来る可能性もあるので、敵の砲撃等を防ぐ役割らしい。
で、俺は?。
「椿君が一番危険じゃが正面を担当して貰う、お主の破壊力を最大限に活かすには他の者と混ざって戦う事は、椿君の力を制限しかねん」
いや、他に正面担当って誰も言われて無いよな? 俺1人な訳?。
「本隊の援護は右翼と左翼で別れるが、儂とレンの2人は全力で椿君の援護に回らせて貰うつもりじゃ、椿君は兎に角正面の敵を全て凪ぎ払う気で周りへの影響を考えずに攻撃してくれればいい」
え? 冗談じゃなく俺1人?。
何やら地の文をマトモに書けない為に駄文としか言えない主人公視点しか無い作品なのに、ブックマークだけは地道に増減しています。
ブックマークをして下さるのは有難い事ですが、ブックマークが増えたりするものの、感想は未だ0。
やっぱ話数が結構な数になってる割に、話がなかなか進んで無い駄作だからですかね。