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第68話『早速訓練していたら……』


 16日目


 昨日試した魔法は予感通り、ウサギよりも使い勝手の悪さが酷い結果だった。

 実は、アレで最小の大きさだったらしく、アレ以上小さく出来ない様だったのだ。

 他の三人は一応練習していたが、流石に俺はいろんな意味で疲れたので、そのまま部屋に戻って休んだ。



 あの【大きなハリネズミ君】がどんな事が出来るのか確認したら。

 10メートルを超える巨体で、丸くなって回転し始めた。


 一応使用者が地面に立っている場合、足下には効果を及ぼさない様になっていた様だが、俺を中心に周囲の地面は削り取られ深く抉れて巨大な穴が空いた。

 更に飛行魔法を使えたら真下まで抉られ、隙間無く全周囲が削られ死角無しの全方位攻撃になるらしい。


 ぶっちゃけ修練迷宮では絶対に使えない。

 最低の大きさでさえ、一階層程度の広さなら大半の場所が効果範囲内であり、単独で無ければ仲間の安全地帯が狭過ぎる。


 しかも、ハリネズミの中は物理干渉を行う為に最初から実体化前提で生成されている様で、魔力の段階から俺以外は魔力の圧で押し出される様になっていて、しかも形成段階で許容範囲を超える負荷を受けると霧散して失敗するらしい。

 つまり無理に入り込もうとしたり、途中で攻撃を受けると消える可能性があると言う事だ。

 本当に使い勝手が悪い上に、協力プレイには使えない魔法過ぎる。



 今日は全員別行動で、桜は時間の空いてる兵士に頼んで対複数相手の防御練習、楓ちゃんはキリエと剣術の技術向上の為に打ち合うらしい、紅葉ちゃんは弓の練習をするとか。


 と言う事で、俺は1人で練習してようと思っていたんだが、何故か菊次郎爺さんと訓練する事になった……本当に何でだ。


 そして現在、俺は中規模練習場でお互いに変身した状態で菊次郎爺さんと向き合っている。



「儂の目で見た中で儂を含めた異世界人の中でもお主が一番魔力と言う物を使い熟しとる、故に誰より成長するんじゃろうが、いかんせん最も危なっかしさが拭えん」


 分かっとるがな、他は近接戦も出来る後衛ばかりで唯一純粋な後衛型だからな。

 と言うか、この爺さんからしたら大抵の奴は危なっかしいんじゃないか?。



「じゃから、お主が1人で鍛練を行うと聞いて手伝いをかって出たんじゃ」


 ありがた迷惑だ、いやありがたいのは確かなんだが、この爺さんがやると言われると何かガチでキツそう。


「ど、どんな事をするんでしょうか?」


 内容が気になるので聞こうとしたが、若干動揺して吃った。



「実戦に決まっとるじゃろ、習うより慣れろと言うしの」

「マジでか」


「最初の内は当てぬ様に攻撃するから安心せい、まずは苦手な接近戦を伸ばすのか、お主が使う魔力弾とやらで接近戦を補える様に鍛えるかどちらにするかじゃな」


 どっちと言われてうぉっ!?。


「ほれ? 油断は禁物じゃぞ、実戦に開始の合図は無いからのぅ」


 考えてる途中に一気に接近してきてギリギリ当たらない位置に拳が通り、凄い風圧を感じるパンチが顔を掠めた。

 慌てて飛び退くが、菊次郎爺さんは距離を離さない様にピッタリくっ付いて来る。


「ほれほれ、一度距離を詰めた相手がそう簡単に離れるのを許してくれる訳無かろう、何かしら攻撃せねばもう一度こちらから攻撃するぞ」


 動き回るが菊次郎爺さんはピッタリ張り付きながら、分かりやすく拳を構えて殴り掛かろうとして来た。


 咄嗟に魔力弾を放ち迎撃しようとすると、素手であっさり弾き飛ばされた。


「咄嗟に出るのは魔力弾の様じゃな、しかし単発では相手に効くとは限らんぞ? もっと距離を空ける為に相手が追えぬ位の事をせねばならんぞ」


「素手で簡単に弾き飛ばす様な奴なんかそんなに居ねえよっ!」


 魔力弾を弾き飛ばしてすぐに、目の前に入り込んで来たので、文句を言いつつも飛び退きながら魔力弾を前方にバラ撒く……が。


「素早い相手であれば面で攻撃しても、こうやって迂回して追い付いて来るかも知れんぞ」


 目にも止まらぬ早さで横に避けて追って来たらしく、いつの間にか隣に居た。


「だから、そんな高速移動出来る奴は少ないわっ!」


 叫びながら再度飛び退きつつも遅い弾を中央に、外側に行くにつれて速い弾になる様にして相手を囲む様に魔力弾をバラ撒いた。


 勿論あっさり避けられたが、今度は腕を組み頷きながら離れた所に居た。


「そうじゃ、前方だけでなく側面までも道を潰されては後方へ行くしか無くなるんじゃ、まぁ飛んで来る物より速い相手であれば更に妨害せねば意味は無いし、叩き落としつつ中央突破する等と言う方法もあるがの」


 だからそんな奴少ないっての、いたとしたら諦めてゴリ押しで集中砲火か絨毯爆撃で相手するわ。

 熊弾連射とかウサギの乱れ撃ちになるから、後者は俺も危ないけど。


「むっ? 相手に動きが無いからと何もしないのはいかんのぅ、また距離を詰められてしまうぞ」


 また来たーっ!? 目に見える速度ではあるけど、割と洒落にならない速さで突っ込んで来てるっ。


 迎撃する為に魔力弾をバラ撒こうとした時。



 警報の様な音が大音量で鳴り響いた。



 音の発生源を探すと、連絡装置として渡されたペンが赤く光り警報の音を鳴らしていた。


『私に情報が送信される様になっていますので、光る部分を押して下さい』


 珍しく中からフィーアが話し掛けて来た。

 言葉通りに赤く光ってる所を押すと、赤から青に色が変わる。



『受信しました__北部より侵攻してくる侵略者の軍勢を発見、少なくとも数万の大軍勢を確認、到達予想時刻は二時間後、即時警戒体制に移行して下さい__だそうです』


 遂に、来る時が来た……と言うか、数万って戦争規模じゃねぇか。

長々とした割にやっと対侵略者戦開始。

やっぱり山場までが長過ぎですよね?

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