第67話『2つ目の魔法』
土日に仕上げをする予定でしたが、急遽土日が忙しくなったので予定時間に間に合いませんでした。
急いで仕上げましたが、結局丸々一時間オーバーです。
修練迷宮から戻って、ギュンターに大規模魔法練習場の使用許可を貰いに行こうとしてる途中で、偶然キリエに出会ったので使用許可を貰いに行ってる事を伝えると、あっさりOKを貰った。
なんでも、個人で使用する者は大半が小規模を使い、一部が中規模を使う位で、大規模を使う様な実力者や部隊は侵略者への警戒の為に使う暇が無く、ここ最近は使われてないらしい。
元々俺達はある程度優先権があるらしいが、無かったとしてもしばらくは一言声を掛けるだけで簡単に使用許可が出せるそうだ。
しかし、大規模の場合は誰かが見てないといけないらしいので、キリエがそのまま一緒に付いて来る事になった。
「それで、まずは誰から試すんだ? 俺のは危なそうな気がするから最後にしたいんだが」
大規模魔法練習場に着いて、みんなの顔を見渡しながら声を掛けた。
ぶっちゃけ1番最初は遠慮したい。
「アタシからやるわよ、名前を見る限りは多分、純粋に防御用みたいだから、そのまま使ったままにしたら余り離れなくても大丈夫でしょ?」
真っ先に桜がそう言って一歩前に出た。
確かに1番危険性が低く、他のメンバーの魔法が想像以上に効果範囲が広くて巻き込まれそうな時には、事前に防御してくれれば安心出来る。
「じゃあ、僕は2番目で~」
「それなら私が3番目ですね」
桜に続いて紅葉ちゃんと楓ちゃんが順番を決めていき、あっさりと魔法を試す順番が決まった。
「早速いくわよー……幾らでも来やがれっ! ディフェンスウォール!」
桜が勢いよく手に持った盾を地面に突き立てると、盾を中心に下から半透明の壁が迫り上がって来た。
表れた壁は城壁の様に高く幅広い大きさで、家数件分の範囲は余裕でカバー出来そうだが……余りに大き過ぎで強度が心配な位である。
「使ってる間はアタシ動けないみたいね、中から攻撃とかも出来ないみたいだけど、一応慣れれば隙間を開ける位は出来そうかしら?」
桜は新しい魔法の感覚を確かめる様に呟きながら、地面に突き立てた盾から手を離してみたり、半透明の壁を叩いてみたり、じっと一ヶ所を見つめ半透明の壁の一部を歪ませたりしている。
本当に防御のみの魔法らしい、特に範囲とか中から攻撃出来なさそうな所何かは防御以外には使いにくいだろう。
効果範囲何て、そもそもパーティー単位ではこんなに広い必要が無い。
「次は僕の番なんだけど……向こう側でやった方がいいんだよね? コレって通れるの?」
「あら? ごめんなさいね、ちょっと待ってて…………こんな感じかしら」
紅葉ちゃんが半透明の壁をノックする様に叩きながら桜に問い掛けると、桜は少し申し訳無さそうに謝ると壁に向かって目を瞑り集中し始めた。
しばらく集中していたかと思えば、目を開くと同時に人二、三人分の大きさの不安定な半円の穴が出来上がった。
「お~、ちょっと大き過ぎじゃないのかな?」
「今はコレで精一杯よ、慣れない内は細かい調整は難しいみたい」
紅葉ちゃんは感心しながら見上げるも、途中で首を傾げていた。
桜も大き過ぎるとは思っている様だが、現時点ではあの大きさの穴を作るのが限界らしい。
「へ~、まぁいいや、じゃあ少し離れて使ってみるね」
紅葉ちゃんは特に深く考えずに、すぐさま半透明の壁に出来た穴を通り、少し離れた所まで歩いて行く。
紅葉ちゃんが通った後、若干間を置いて穴が塞がっていった。
「じゃあ行くよ~、みんなのハートを蜂の巣にしてあげるんだからっ! アローレイン!」
紅葉ちゃんが弓を空高くに向け上空に射ち上げると、光輝く矢が空の彼方へ飛んでいく。
飛んでいった矢が見えなくなり、何も見えなくなったと思った瞬間、空から無数の光る物が現れ徐々にその数は増えていく。
目に見えるその数は百を超え千に達する頃に光の矢の雨が目の前に降り注ぎ始めた。
「何か凄かったし広範囲に使えそうなのは嬉しいけど、狙いとか全く付けられないし、そもそも修練迷宮で使えるのかなアレって?」
降り注ぐ光の矢を見届けてから戻ってきた紅葉ちゃんは、微妙な表情で首を傾げていた。
無理も無いと思う、ある程度目星は付けられそうではあるものの、一定範囲を無差別に攻撃する感じな上、天井がある所で使えるのか不安でしかない。
そんな使い勝手が良く無さそうな魔法なので、今一喜べないんだろう。
「次は私の番ですね」
紅葉ちゃんが戻って来ると入れ替わりに、楓ちゃんが壁の外に出て行った。
楓ちゃんは先程の紅葉ちゃんより更に離れた所まで歩いて行っている。
「行きますよー、燃え散らせ塵共がっ! フレイムバースト!」
楓ちゃんが剣を地面に突き刺すと、楓ちゃんの正面に火の柱が立ち上り放射線状に広がっていった。
延々と広がり続け前面が火の海と化していたが、楓ちゃんが剣を抜くとあっさり火の海は消え去った。
「使ってる間はどんどん広がってくみたいです。 でも範囲は広いですけど、威力自体は低めらしくて、露払い程度にしか使えなさそうですね」
戻って来た楓ちゃんによると、見た目はド派手だけど、強めの炎で火炙りにする程度の威力しか無いので威力自体は低いらしい。
割と十分な気もするが、火に強くて頑丈な相手には効果が薄いので、使ってる時に突っ込んで来られると危ないんだとか。
「次は俺か…………試さないといけないのは確かなんだが、気が進まないな」
楓ちゃんと入れ替わりに外に出るが、足取りは重い。
何か回りが凄く危なそうな予感が半端無いので、楓ちゃんより更に離れる……具体的には三倍程。
かなり離れた所まで移動すると、早速新しい魔法を発動させた。
「ハリネズミ君出ておいで~、一緒に遊ぼ~」
相変わらず口が勝手に動き、足を軽く開き前屈みになって手は口元に、何処かへ呼び掛ける様に元気な声が自分の口から発せられた。
声を出してすぐに、自分を中心に白い魔力が広がっていく。
広がっていく魔力が軽く10メートルを超える頃に、鋭い針の様な物が表面に生え最後にハリネズミの頭部が作り出された。
あ~、うん……思った以上にデカいわコレ。