第60話『多少弱くても数は力、しかし大火力には敵わない』
ちょっとトチってたので修正。
よく見るとまさか被ってた。
やって来ました、4つ目のバッタが出るフロア。
万が一、一斉に飛んで来た場合に備えバッタを出す前に俺の魔法【ウサギさんアタック】を範囲を調整して出しておいた。
流石に一斉に飛んで来たら普通の魔力弾じゃ、撃ち落とす前にかなりの数が抜けて来るだろうし、出したウサギは命令を出さないと動かないままらしいので、万が一に備え一斉に飛んで来た時は【ウサギさんアタック】で一掃してさっさと前のフロアに戻る予定だ。
今の状態で一斉に飛んで来るバッタを相手にマトモに戦うのは難しいから、その時は魔法で一掃してキマイラ相手に地道に練習しながら魔力貯めをするって事で全員一致した。
やっぱり多少は訓練になるとしても十中八九攻撃を喰らい捲るのは避けたい様だ……何より誰もが虫に集られる様な状況は余り進んでやりたくない。
「全員準備はいいな? いきなり飛んで来るのが半分に満たない程度であれば魔力弾で迎撃して魔法は使わないからな?」
俺の言葉に三人共無言で頷き武器を構えた。
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予想通りと言うか、予想外と言うべきか分からないが、一番嫌な予感が当たりバッタは大半が一斉に飛び立ち纏めて突っ込んで来ようとしたので、反射的にウサギを突っ込ませた。
攻撃範囲を抑えたとは言え、きのこ雲が上がる程の威力をそこそこの広さがあるとは言っても閉鎖空間で使用したので、ウサギの爆発はフロアの端から半分以上を巻き込み俺達は爆風に煽られ壁に叩き付けられた。
「っ~!? 室内で使える魔法じゃねえぞコレ!」
床に転がり痛みに悶えつつ叫ぶ。
「大丈夫ですか椿さん?」
「こんな狭い所で使っちゃダメな魔法よね」
「僕、壁で受け身を取る何て初めてだよ」
爆風で壁に叩き付けられて無事じゃないのは俺だけらしく、楓ちゃんはその身体能力で壁に着地し、紅葉ちゃんは受け身を取った為ダメージは少なかったらしい。
桜は俺と同じ様に壁に叩き付けられていたが、盾使い故になのか普通に耐えられたみたいだ、頑丈だな。
「あんなん今の俺達じゃ無理だな、予定通り次のスキルを習得するまで先伸ばしだ」
「先にボスに行くって手もあるけど……流石にゴリ押し何て嫌よね、他のフロア全ての敵を実力で倒して自信付けてからにしたいわ」
「僕もボスには興味はあるけど、どうせなら皆で協力して倒せるって思える様になってから皆の力で倒したいよね」
「私は椿さんを守れると自信を持って言える様にしてからボスに挑みたいです」
楓ちゃんの意見はまだしも、残りの2人はバッタの群れを実力で倒せる様にしてから先に進みたい様だ。
ボスは何が出るか分からないが、万が一強力な固体以外に多数の魔獣が現れたら、対応し切れず魔法を使って倒すしか無いからだと思う。
とりあえず、現在の蓄積魔力値は千を超えた位なので、今日中に初級セットに必要な三千を貯める事を目標にしてキマイラ相手に連戦を繰り返した。
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キマイラを倒す事十数回、やっと全員三千貯まったので早速初級セットを習得して新しく魔法とスキルが使える様になった。
ちなみに魔法は危ないので試しでも使うのは禁止だ……特に俺のはヤバい可能性があるので調べる事さえ禁止。
何やら魔法の項目から効果等を見ようと思えば出来るらしいが、万が一発動してしまったら全員巻き込まれかねないので、練習場までお預けだ。
ちなみに、初級セットを習得すると更に次は中級セットが三万で現れた。
俺の場合は魔法LV3の他に【防御魔法中級・二重詠唱・精密操作・飛行魔法習得】と若干多い。
防御魔法は元々強度の高いシールドと強度は劣るが全方位に張れるドームがあるらしいが、中級になると壁の様な広さのシールドウォールと、ある程度範囲を覆い尽くすエリアシールドが使える様になる様だ。
二重詠唱は単純に魔法が2つ同時に使えるだけじゃなく、中のフィーアが魔法や魔力を使う事で擬似的に1つの体で2つの事を出来る様になって、普通魔法を2つ使うだけじゃなく俺が魔力弾を出してる間に防御魔法を使ったり、追加で魔力弾を出して限界数以上の魔力弾を一度に使う事も出来る様になる……らしい。
精密操作は割と単純だが凄い効果で、魔力制御に対する魔装具からの補助効果が増し、今まで以上に魔力操作がやり易くなるらしい、フィーアの説明では負担が約半分になるそうだ、半分と言われてもどの程度なのか想像付かないけど。
そして飛行魔法、至極簡単で飛べる様になれる……勿論慣れるまでは自由自在とは言えないし、自然に飛べる様になるまでは意識を割く必要があるので飛んだ状態から集中が居る魔力弾何かはしばらく使えないとか。
楓ちゃんの中級セットは魔法以外に【身体強化魔法習得・魔造剣・魔力剣(中)・ブースター】の四つ。
身体強化魔法は、全身強化と部分強化の二種類あって、効果は部分強化の方が強いが、共に体への負荷が強い為に長く使えない。
魔造剣は剣に魔力を纏わせ、魔力の刃を作り出す事で長さや大きさを変えられる。
魔力剣(中)は魔力で作れる剣が通常サイズになった物と(小)の1ランク上のスキルで、ちょっとした効果を付加出来る様になり、投げる際に加速する様にしたり衝突の際に爆発したりも出来る様になってるとか。
ブーストは魔力を放出する事で加速したり、一時的に空を舞う事も可能だが、やっぱり加速等はまだしも持続的に使う必要があるのでブーストで空を舞うのは消耗が激しい。
紅葉ちゃんは【付加魔法習得・ダブルショット・速射・潜伏】と四つだが若干派手さに欠ける。
付加魔法は矢に効果を付加出来て、爆発や衝撃そして状態異常系があるみたいだが、状態異常系は全部蓄積型で対象の大きさによっては1発で効いたり何十と撃ち込まないと効かなかったりと今一な効き目だ。
ダブルショットは射ち出す矢が増えるらしい、使う場合は常時効果なので単純に放つ矢が毎回倍に増える。
速射は弓を引かなくても矢を放つ事が出来る様になる事で、連射がし易く…………でも、コレって弦がある意味無くなってる気が。
潜伏は気配を消し姿が薄れ相手に気付かれ難くする物だが、もう狩人かスナイパー的な感じなスキルだ。
桜は【鏡盾・衝撃流し・カウンター・守る】の四つ。
鏡盾は自分を中心に構えた盾の反対側に同じ様な盾が出るらしく、防御範囲拡大と合わせて使えば攻撃を喰らう隙間は殆ど無くなるだろう……構えた盾を動かしても鏡盾も同じ様に動くらしいし。
衝撃流しは盾で受けた際の衝撃を体を通して受け流せる、しかし空中でやると受け流す先が無くて肉体か身に付けてる物か何かに衝撃が集中する。
つまり、空中で受けて衝撃を服に流すと服が弾け飛ぶ。
カウンターは割と使い難いスキルで衝撃を受け流して相手にぶつける事が出来るが、手や足で相手に接触しないと衝撃を流せないし、衝撃を一定時間保持すると暴発する。
守るは単純な言葉でありながら一番あり得ないスキルで、衝撃を軽減は出来ても受け流せない代わりに攻撃の射線上に割り込む形で対象の側に瞬時に移動する事が出来る。
勿論あり得ないと言うだけあって、目の届く範囲であれば何処にでも瞬時に移動出来るので殆ど瞬間移動と変わらない。
俺達は今日の締めとしてバッタに再挑戦出来そうか、キマイラ相手に新しく習得したスキルを試してみる事にした。