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第52話『修練迷宮第一層、前編』


 中に足を踏み入れると、前方の部屋から青色の光が輝いているのが見える。

 そのまま進むと、部屋の中央に青く光る水晶玉が乗っている台座が見えてきた。


 部屋の中に入ると広い空間に、真ん中には台座が、正面には赤い扉があり、左右に4つ合わせて8つの魔方陣が設置されている。

 今の所は魔方陣は黒く、床に書かれた普通の絵の様で全く光っていない。


『正面の台座が起動装置です。水晶に手を当て起動を選択する事で稼働を開始します』

「やっぱアレなんだ」


 フィーアが言う様に台座に近付き、乗っている水晶玉に手を乗せてみると。



【No.004__認証しました__登録者のデータを認識出来ません。

 初期設定から開始しますか?。

 Y/N】


 おぉう……目の前にメニューとは違うメッセージウィンドウみたいなのが表示されて、文章の感じも含めて考えると予想以上に超科学的なんだが。


 と驚いていると、『早く押せや』と言わんばかりにYとNの部分が点滅し始めたので、とりあえずYを押してみる。


【初期設定で開始します__途中で中断する際は再度アクセスしデータを保存後機能を停止します__次回起動時は保存されたデータから再開出来ます__データの保存をしない場合前回保存したデータからやり直しになりますので注意して下さい__。

 __起動開始します】


 文章の表示が終わると、水晶玉が青色から赤色に変わり輝き出した。

 輝きが収まると、更に水晶玉の光も弱くなり水晶の中で淡く光る程度なって青色に変わった。


 周りを見渡すと、周りの魔方陣が赤く輝いていて、正面の扉は青色に変わっている。


「あれがスタート地点だよね! 1番乗りだ~」


 紅葉ちゃんが待ちきれないとばかりに飛び出し、扉を開けて中に駆け込むと。


「あれ? ……うわぁ~!?」


 扉を開けた先に、すぐ階段があった様で紅葉ちゃんはそのまま勢いよく階段を転げ落ちて行った。


「考えなしに走り出すからでしょ……紅葉ったら」


 呆れた様に溜息をつきつつも、心配なのか楓ちゃんは紅葉ちゃんの後を追って、駆け足で階段を降りていく。


 3人で顔を見合せ、苦笑いしつつ階段を下り始めた。




 階段を下りた先は、土壁に囲まれたドーム状の部屋になっていた。

 広さは体育館程度だろうか? 見る限り下りてきた所以外に出入口が見当たらない。


 紅葉ちゃんは転げ落ちてた割に元気そうに駆け回っている。


『チュートリアルを開始します。

 メニューを開いてチュートリアルを進めて下さい』


 結構親切設定らしい。

 早速メニューを開いてみると、いつも表示されてるモノ以外にも画面が増えていた。


 増えた画面には【出現・マップ・回復・脱出】の項目と現在地らしき表記に時刻が表示されている。


 回復は使用不能な黒字でマップと脱出は黒枠に白字になっていて、出現は赤く点灯している。


『出現の項目を選択すると、現在の階層に出現する敵性体が出現します。

 一階層では各フロアで1度敵性体を倒す事で次のフロアへのルートが開かれます』


 魔獣が徘徊してたりエンカウントする訳じゃないのか。

 別に急いでやる必要は無い感じなので、マップを先に選択してみると、別画面が表示された。



 表示されたマップは、一方通行でフロアが更に4つ程あって、合わせて5つのフロアで構成されていた。

 今居るフロアでさえ広いのに、3つ目と4つ目は倍の大きさで、5つ目なんかは4倍の広さになっている様だ。



「魔獣を自分で出せるみたいだけど、進む為に倒す必要があるらしいから出していいか~!」


 とりあえず、出現を選択する前に他の4人に先に声を掛けた。


「僕は何時でもいいよ~」

「ちょっと待って下さい! …………何時でもどうぞ!」

「準備万端よ~」


 楓ちゃんだけ慌てて調子を確かめる様に剣を何度か振るうと、しっかり構えて返事を返した。

 返事が無い菊次郎爺さんの方に目を向けると、腕を組み壁際に立って無言で頷いていた。


「それじゃーいくぞ~!」


 声を上げて出現を選択すると、フロアの中央に光の粒子が溢れ大きな人の形に集まり始めた。


 集まった粒子から光が薄れ、馬の頭部を持ち人の様な手足をした巨体の魔獣が現れた。


「うひゃ~! 馬の怪物だね~!」


 紅葉ちゃんが驚きの声を上げている時に、使わないのも勿体無いので魔獣相手にステータスの確認を使ってみると。


【種族名・ミノタウロス(人造種)

 ランク・Bパワータイプ】


 情報少なっ! って言うか馬面なのにミノタウロスなのかよ!。



 イメージとの違いに頭の中でツッコミを入れていると、ミノタウロスが鳴き声をあげて突進してきた。

 ちなみに鳴き声は見たまんま馬の鳴き声だ。


 「まずはアタシの番ね、掛かって来いやコラッ! ヘイトシールド!」


 桜がヘイトシールドを使うと、ミノタウロスが軌道を変え桜に向けて走り出し殴り掛かる。


 ミノタウロスの拳は浮かんだ盾に遮られ、鈍い音を立てつつもビクともしない。

 怒声の様な鳴き声をあげ殴り続けるも、盾は壊れる様子は無い。


「次は僕がいっくよ~! 君のハートを射止めてあげる! マッハアロー」


 紅葉ちゃんが横に回り、ミノタウロス目掛けて矢を放つと……脇腹に風穴が空き大きな音を立てて倒れた。


「あれ? もしかしてもう終わり?」


 紅葉ちゃんは首を傾げて呆気に取られた様な表情を浮かべているが、実際アレで仕留めたらしい。

 現にミノタウロスは徐々に光の粒子になって消えていき、壁の一部に通路が現れた。



 最初は戦いは呆気なく終わった。


 一階層では魔装具の魔法は威力が高過ぎるな、使用を自粛しないと練習にもならない。


「おぉ~! 魔力Pが五十増えてるよ~」

「アタシも五十増えてるわね」


 2人が上げた声に反応して、俺も確認してみると。

【蓄積魔力・壱M】


 全く増えてない。


「あっ、私は増えてませんね、戦いに参加する前に倒してしまったからでしょうか?」


 楓ちゃんも変化なしらしい、一応菊次郎爺さんの方へ視線を向ける。

「むっ? 儂か? 少し待て…………儂も変わっとらんな」


 菊次郎爺さんも増えてないらしい。


「俺も変わって無いし、楓ちゃんの言う通り魔力が溜まるのは戦いに参加した奴だけって可能性が高いみたいだな」


「なら、アタシ以外は手加減しないとすぐに片寄っちゃうわね」


 それぞれに目を向けると、紅葉ちゃん以外は困った表情をしている。

 紅葉ちゃんは不満気で頬を膨らませて剥れている。


『敵性を撃破した為、次のフロアへ移動可能になりましたが、出現は任意で使用可能になっています。

 次のフロアは敵性体の種類や強さ、数等が変更されている場合が多い為、不安があればフロアを移動せずに続けて戦闘を行う事も可能です』


 動き回らずにレベル上げも出来る様になっている様だ、魔力が溜まったり戦い慣れる事はあってもレベルは上がらないけど。


「次に進まずにここで戦い続ける事も出来るらしいけど……どうするよ?」


「僕は次に進みたい!」

「私も進む方です。余り手応えが無さ過ぎると訓練にならないでしょうし」

「アタシも同じね、魔法を使わなくても倒せそうな相手じゃ、使い慣れる練習が出来ないわ」


 満場一致で次に進みたい様だ。

 菊次郎爺さん何かは3人の言葉を聞くと無言で次のフロアの方へ歩き出している。



「あ~……満場一致みたいだから次行くか」


 菊次郎爺さん行動するの早過ぎだろ。

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