第40話『試行錯誤』
12日目
今日は、朝から昨日教わった文字魔法に関して色々試している。
細かい使い方は説明されず、『既存の魔方陣に囚われず、お主達だけで様々な事を試した方が新しいモノが生まれそうじゃから、あえて既に存在しておる魔方陣は教えぬよ』とか何とか。
どの程度、時間的余裕があるのかは分からないが、文字魔法の新たな使い方が誕生する事を期待しているらしい。
俺達の戦闘スタイルが未だに定まって居ないからこそ、なのかも知れないけど。
実際に文字魔法の事を知る為に、まずは基本的な文字から始めた。
普通に手の平サイズに【火】と描き発動、マッチやライターよりは大きな火が出たが、文字の大きさ相応な程度だ。
ぶっちゃけ、コレを飛ばしても何らかの方法で発動させ続けないと、当たっても火傷する前に霧散するだろう。
何せ試しに地面に向けて【飛】と付け足してぶつけたら、普通に飛び散って消えたし。
当たった地面には焦げ跡は愚か、何かが当たった跡さえない、火だとそのままぶつけても物理的な衝撃は0に等しいみたいだ。
次に、火と同じ手の平サイズで【炎】と描いて発動。
火の時より燃え盛っているものの、多少大きな火になってはいるが、何となく火力に大きな差は無い様な感じがする。
同じく地面にぶつけると、あっさり霧散した。
今度は【火炎】で試してみた。
二文字分だからか、炎の時より倍以上大きな火になったが、一文字分と考えて半分位で比較すると炎と火炎では若干割り増しされている程度に思える。
1つの単語縛りで最後に【極炎】と凄そうな文字で使ってみると、火炎よりは微妙に勢いは増していたが、イメージよりショボかった。
とりあえず、文字魔法は1つの文字だけではちょっとした違いはあっても、大きな差が出る程の違いは出ないみたいだ。
試しに【火】に【圧】と、圧縮する様なイメージで付け足すと、大きさは小さいが火の色が変わって火力が格段に増した、と思う。
地面にぶつけたら、霧散するのは変わらないが、軽く焦げ目が付いていたので確実に火力は上がってるだろう。
単純に【火】に【増】と付け足し、増幅する様に意識してやると、火の大きさが3倍程には増した。
恐らく、より上位な印象の単語を使うより、付け足して増幅させたり変化させた方が効率がいいみたいだ。
キリエが魔方陣で使っていたので、魔力で円の外枠を作り方陣として機能しそうな感じに作ってみた。
二重円の中心に【火】を、内側の円と外側の円の中に【増】の字を上下左右にそれぞれ1つ描き合計5つの文字で発動させると。
「うぉっ!!」
一瞬目の前が炎で埋め尽くされ、仰け反った。
心配して駆け寄って来た3人によると、全身が火で覆い隠される程だったらしい。
人が唐突に炎に包まれるのを見たら心配するわな。
まぁ、ギュンターとキリエは、自分が作り出した火の様な非実体系の魔法では、作り出した本人は燃えたりしないらしく、全く心配してなかったけど。
さっきの失敗を元に、今度は円を作った要領で有線式で離れた所に作って、同じ物で実験。
増1つで3倍、4つ合わせると12倍な訳だが、どう見ても軽く20倍はある大きさの火が燃え上がった。
普通に【火】に【増】を4つ付け足してやってみると、先程の時と比べて半分程の大きさだったので、単純に付け足すより円で囲った方が効果が増すみたいだ。
他にも【集】を中心に【火】を配置した魔方陣を試すと、思ったよりも火力が低い。
更に【集】と【火】に【圧】を加えると、小さな炎ながら熱気で大気が歪み始めたので、色々と足してやった方が効果が倍増してるみたいだ。
その日は他に、圧縮魔力弾の強化の為に【圧】や【維持】等を使い魔方陣を通して魔力弾を放ったり、キリエが使ってた部分強化と同じだと思われる、【強化】とか【加速】等、描きやすい文字を使って文字魔法を試して終わった。
あれ? 今日も回避の練習してなくね?。