第3話『宰相サヴァン』
話が進まないけどプロローグにある状況には後1、2話先になりそうです
壁を埋め尽くす程に多くの本棚に囲まれた広い部屋で机の上に山の様に積まれた書類に囲まれている机を背にして青年が本を片手にソファーに寝転がっている。
「ん? ……4人目が来たか」
部屋の片隅に不自然に空いたスペースから光が溢れるのが目に入ったのか青年は起き上がり視線を向けた。
光が収まると部屋の片隅に2人の男女が姿を表した。
「転送完了、資料室兼宰相執務室に到着しました」
「おぉ~……なんで宰相とやらの執務室?」
周囲を見渡しながら首を傾げる。
「それはこちらの都合でそうなってしまったのだよ異界の人」
青年が2人の方へ歩み寄りながら話し掛けてきた。
「誰だ……って宰相の執務室に居るんだから宰相なんだろうけど……耳が尖ってるって事はエルフ的な種族か?」
青年はエルフの定番の特徴を備えていた。
白い肌に尖った耳、整った顔立ちをしてスラリとした体型をしている、唯一定番と関係無い所は髪が鮮やかな緑色と言う事位だろうか?。
「私はこの魔導国家アーカイブの宰相をしているサヴァンだ、エルフと言うのは知らないが私の種族は森の純血魔法種と言われているな」
「椿様のイメージするエルフに類似する種族は他に海の純血魔法種、夜の純血魔法種、純血の上位魔法種等の種族が存在しますが、恐らく夜の純血魔法種はダークエルフ、純血の上位魔法種はハイエルフと名称されるイメージに該当すると思われます」
この世界ではエルフは純血魔法種と呼ばれるらしい、フィーアが説明している間はサヴァンも嫌な顔1つせずに口を挟まない事から生活のサポートは自分の理解出来る例えで説明してくれる事みたいだ。
よく考えると名乗ってないのに名前で呼ばれてたり、いつの間にイメージとか読み取ったのかは分からないけど、話が進まなそうだから落ち着いて話せる時までスルーする事にした。
「俺は佐倉椿だ、椿が名前だから椿って呼んでくれ」
名乗りながらサヴァンに向けて手を差し出すと、サヴァンは訝しげな表情を浮かべていたが、思い至ったのか苦笑いを浮かべ握手を返した。
「他の異界の人もしてきたから私は知っているが、この握手と言う挨拶はこちらには無い文化だ、出来るだけこちらの世界の方法に合わせた方が毎回説明する必要が無くなるぞ」
この世界には握手と言う文化が無いらしく、更にサヴァンの言葉からは自分の他にもあの呼び掛けに応えて召喚された人が、最低でも1人は居る可能性がありそうだ。
「ふむ……地位や立場が上の相手に使う手法は別にあるが、軽い挨拶の手法は先に教えておこう、互いに右手を顔の辺りまで上げ握り合う好手と呼ばれる軽い挨拶の動作だ、そちらではハイタッチと呼ばれる動作に似ているらしいな」
サヴァンが握手した手を離しそのまま顔の辺りまで上げている、手の形が握手と余り変わらずハイタッチを例に上げられた性か『ハイ握手か』等と、アホな事が頭に浮かんだ。
握手をした後にこの世界式の挨拶を求め返されたからには、しないと失礼な気がして同じく右手を上げ手を握り返した。
「さて、少々話に時間を割いてしまったがミリスティア様が新たな召喚者が来た事を知って準備を整える程度の時間で、双方共に待たせずに謁見をするには丁度いい位だろう、アーカイブの女王ミリスティア様の待つ謁見の間に案内しよう」
そう言うとサヴァンは背を向け歩き始めた。
慌てて付いて行くと、西洋のお城を思わせる幅広い通路を通り途中、ちらほらと子ども程の大きさの妖精の様な姿をした者や、獣人の様な耳と尻尾の付いた者が目に入ったが、こちらに気付くと全員軽く頭を下げては慌ただしく去って行き割と忙しそうに感じる。
忙しいんであってサヴァンが怖がられてるなら別にいいけど、俺が怖いとかでは無い筈だ、無いったら無い。
それにしても全員フィーアとは違うものの、メイド服の様な服装をしているのは何故なんだろうか?
一部男の子に見える者も同じく服装をしている。
この世界ではメイド服らしき服装は性別に関係無いみたいだ……全体的に小学生位の幼い容姿の子達しかおらず、特にショタコンには天国なんじゃ無かろうか? と下らない考えが頭をよぎった。
しばらく歩いていると、他に比べて一際大きく豪華な装飾がされた扉が見えて来た。
「あそこが謁見の間だ、こちらから助けを求めている上に異なる世界から来た異界の者故に不作法や少々の無礼はいいが、一応こちらの面子もある、一国の主である女王を相手にするのだから出来るだけ失礼の無い様に気を付けてくれ」
そう言うとサヴァンは扉を開いた。
続く
なかなか執筆が進まない
でも前の話を修正したくなってくる不思議