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第38話『ボスは残ってるけど、あっさり終わって後始末』


 楓ちゃんと合流したものの、中の子供は女の子ばかりで移動するのはキリエと合流して全部終わらせた後の方が良さそうだったので、三つ編みの女の子も一緒に引き続き楓ちゃんが留まる事になった。

 4人の中で一番強い上、相手が女の子ばかりだから同性同士の方が安心だと思うし、守るのに向いてない紅葉ちゃんを除けば楓ちゃんしか居ないから仕方ない。


 まぁ、ちょっと三つ編みの女の子が自分も一緒に行くって言って揉めたけど、魔法使いだが杖が無くてマトモに魔法が使えないらしいので、流石に連れていくのは無理だと説得した。

 しつこく粘ってたけど、桜から『女の子に無理させられないわよ』みたいな事を言われると、頬を染めてあっさり引き下がった。


 オネエの癖にもう女の子落としてるんし、やっぱ顔か、この野郎。

 いや、俺も落としてると言えば2人は落としてると言えるんだが……片方は美少女だけど、ショタコンとホモだしな。

 流石に喰われる趣味はねぇ。




 俺と桜と紅葉ちゃんの3人で未だに轟音が鳴り響く大きな小屋に向かうと、3~4メートルはありそうな馬鹿みたいにデカい金色の河童……もといゴブリンが枝や葉っぱが無いだけで、殆どそのまんまな木を片手に持って振り回しているのが見えてきた。


 轟音の正体は、あの金色のゴブリンが手に持った木を地面に叩き付けた際の音らしく、木を降り下ろす度に轟音が鳴っている。

 銀色のゴブリンを倒した時みたいな攻撃ならやれそうな気はするが、俺だけじゃ魔力弾を作る前に避けられずにやられそうだ。


 桜でも流石に、あの攻撃は防ぎ切れないだろうし、防げても長持ちしそうにない。

 勿論、攻撃手段が無い紅葉ちゃんも無理だろうし、現時点では楓ちゃんなら可能性がある位だろう。



「これはまた、アタシ達が相手にしてたゴブリンより更に凄いのが居たのね、キリエが居なかったらアタシ達だけでアレも相手にしてたかも知れないって考えると、危なかったわね」


「キリエも凄いよ、避けてばっかりだけど、全然余裕がありそうだもん」


 紅葉ちゃんが言うには、キリエが余裕で避け続けているらしいが、俺の目には攻撃を避けるキリエが何とか見える位で、余裕があるとかは全く分からない。

 もしかして、紅葉ちゃんには数十メートルは離れたこの距離で表情とかが見えてるんだろうか? 弓使いになっただけに、目の良さが半端無いな。


「ところで、どうやって彼女に伝えるのかしら? 余り近付き過ぎてアレの標的にされたら危険だし」


「普通に遠くから声掛ける方法でいいんじゃないか? キリエならこっちに来る前に注意を引いてくれそうだし、何なら俺が銀色の奴にやったみたいなのを準備してからやれば、近付いて来る前に脚でも狙って撃ち込めば、機動力を削げてすぐには来れないだろうし、後はキリエがやってくれるだろ」


 うん、あの金色のゴブリンの俊敏さと頑丈さは分からないけど、赤や銀色のゴブリンは動き自体は緑と大差無かった、武器を振るう早さはちょっと早かったが、恐らく足の早さは割と早く無さそうだ。

 頑丈さも、銀色よりは上だと思うが、銀色の体を貫く威力なんだから金色の体を抉るか、脚に当てれば最低でも転ばせる事位は出来るだろう。


「僕がこっそり近付いて伝えて来てもいいよ?」


「それは危険過ぎるわよ、あんな攻撃アタシでも吹き飛ばされるのに、紅葉ちゃんが当たったら死んじゃうわ」


「とりあえず俺の案でいいよな? 準備始めるぞー」


 2人にそう言って、さっさと魔力弾を作り始めた。

 結構時間が掛かる上に、集中力が必要なので早めに始めないとキリエに伝えるのが、どんどん遅れるからな。



「あの攻撃ってこんな風に作ってたのね、椿ちゃんったら本当に器用よねー」


 作っている魔力弾を見ながら、桜が微妙に顔を近付けて来る。

 邪魔すんな、集中力が乱れる……むしろ現在進行形で魔力弾が歪んで立て直してに余計な気を使ってしまう。




 結局、2度目なので最初より手際よく出来たものの、桜のせいで集中が乱れて時間が掛かり、初回と余り変わらない位の時間を掛けて魔力弾が完成した。


「準備出来たぞ」


 桜は頷くと、手を口の前に掲げて叫んだ。


「捕まってる人は全員確保して一通り倒したわよ~!」



 桜の声に反応して金色のゴブリンがこちらを向いたが、こちらに向かって来る前にキリエが剣を抜き、抜いた剣が光り始めた。


 若干距離が離れている為、よく見えないが、キリエの肩や手に魔方陣らしき輪っかが出て、次の瞬間。



 キリエが剣を横に振るうと、光る斬撃が飛び出して金色のゴブリンの胴体は真っ二つになり、ズシンッと音を立て崩れ落ちた。


「うぉ……キリエなら簡単に倒せそうだとは思ってたけど、一撃かよ」


「キリエもあんなに強いのに、アタシ達本当に必要なのかしら?」


 呆然としていると、キリエが剣を納めて走り寄ってきた。


「捕まってる人が居たんですか!」


「あぁ、妖精みたいなのと女の子、それと子供が何人か居たけど、そっちは居なかったのか?」


 何やらいきなり大きな声で聞かれたので、首を傾げつつ捕まってた人を伝えた。


「こちらは丁度キングにやられて手遅れな方が居ました、その女性は運が良かった様ですね。

 恐らく既に相手が居た為に、まだ手を出される前だったんでしょう」


 割と微妙なタイミングだったらしい、既に犠牲者が居たみたいだ。






 その後、楓ちゃんと合流して捕まっていた人達を連れて街に戻り、門番らしき人に捕まっていた人達を預け、ギルドに依頼達成の報告をすると、Bランク依頼達成と言う事になり。

 キリエを除き1人につき20万程の報酬を渡された。


 内訳は討伐報酬自体は5万程度で、残りは救出と依頼内容が違った分の情報量と、巣が大きくなる前に未然に防いだ達成追加報酬らしい。

 結局、キング? を倒したのはキリエなので、それ以外の銀、赤、緑を倒した分なのでBランクになった割には討伐報酬は低めになったらしい。



 その日はそのまんま城に戻って解散になった。





 ちなみに、三つ編みの子は桜に『また会えるよね』とモジモジしながら言われてた。

 くそっ、1人だけ女の子助けて言い寄られるとか、定番な普通のモテ方しやがって。

 超羨ましい。

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