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第26話『幅が広過ぎるのもどうかと思う』


 最初に覗いたのは、定番であろう【討伐】の中。

 中に入ると片側はすぐに壁で、依頼書らしき紙が幾つも貼ってあり、反対側には広めなスペースに机や椅子が置いてあって、何人かの人が座っている。

 奥には受付と思われるカウンターがあって、厳ついおっさんがカウンターの向こうに座っていた。


 居る人は割としっかりとした装備をしている人が多いが、全身鎧の様な重装備の人は見当たらず、皮や部分的に金属が使われているものの、大半は鎖帷子の様なもので覆われている。

 魔法使いらしき杖を持った人でさえ、皮か鎖帷子でローブの様な如何にも魔法使いっぽい人は見当たらない。



 貼ってある依頼を見てみると。


 【F害虫駆除手伝い

 人数・1~2名

 作業時間・2時間

 場所・国内(詳細は受注後受付にて)

 報酬・1000G+終了時間が増減する度に報酬増減あり】


 【F害獣の撃退と対策の手伝い

 人数・3~4人

 作業時間・4時間

 場所・国内の農場(詳細は農業組合にて)

 報酬・1500G+成果報酬】


 入り口に近い所にはFしか無いらしく、大半が手伝いや補助と言った自分達でも出来るが手が足りない、と言った理由で出されていると思わしき内容ばかりだ。


 報酬も千から二千程のものばかりで、+αでどの程度増えるのか分からないものの、時間は短い代わりに日雇いと考えれば2、3個受けるだけ五千~一万は稼げそうな気がする。


 他のも見てみるとEで手伝いや補助が抜け、報酬が倍の二千~四千に増えている。

 道具も基本的な物は支給されるらしい、更に道具を余分に消費すると報酬から引かれ、余ればその分加算されるみたいだ。

 Eからは人数が書かれていない。


 Dでやっと討伐らしい依頼になって、ゴブリンやコボルトにウルフと言った定番なモンスターの名前の魔獣の討伐がメインになっている。

 報酬は討伐数毎に違うらしく、安れば二千程で高いと一万の依頼もある。

 追加報酬はそれぞれの個体毎にバラつきはあるが、五百~千×討伐数で報酬が増える方式になっている。

 Dからは作業時間から移動時間に変わっていて、この辺りは短くて数十分、長いと片道2時間程掛かるらしい。



 Cになると、オークやトロルにトレント等と言った少し強そうな魔獣が並んでいる。

 この辺りからは討伐数も様々で、1匹だけだったり十数匹の依頼もあり、報酬は最低でも一万はあって高いと五万の依頼まで。


 追加報酬は幅広く、討伐数が多い魔獣は1匹の金額は低い代わりに一定数以上だった場合は報酬が倍以上に跳ね上がり。

 討伐数が少ない魔獣は1匹で数千から一万、1匹の依頼は報酬より高い金額になっている。


 Cは基本的にそこそこ遠いらしく平均数時間、長いと往復で半日近く掛かるみたいだ。


 Cの依頼の中にさり気なくスライムとかもあるが、討伐数は1匹と少ないのに報酬が五万でかなり高い、しかし追加報酬は何故か安く1万になっているのは何でだろうか?。

 ちなみに移動時間がとても短くて、20分と書かれている。



 Bになるとゴブリンキングやコボルトロードと言った上位種が目立つ、他にもオーガやワイバーン等の様な強そうな魔獣もあり、Bは群れを率いる統率者か1~3匹の少数が大半を占めている。

 報酬は十万~三十万だが、移動時間が馬車で1日とかばかりだ。

 群れ系の依頼は追加報酬が低いが、詳しくは書かれておらず『詳しい内容は受付で説明します』と記載されている。

 少数は追加報酬が高く1匹で報酬の半分~倍の金額ばかりだ。



 Aは依頼の数は少なく1匹のものばかりしか無い。

 ドラゴンやジャイアント等、強そうな個体ばかり、倒せる奴少なく無いか?。

 報酬も一気に跳ね上がり数百万になっている。

 更に追加報酬の方が高い、1匹で千万を越えているが、まぁ普通1匹でも危ないのに更にもう1匹とか出たらまずいわな。



 受付側にあるSは数枚しか貼られていない……むしろ、そんなに居ちゃ困るが。

 クラーケン、謎の金属で作られた古代のゴーレム、キングスライム。


 ん……? 何か変なのが混じってるぞ、何だキングスライムって、この世界だとスライムは強いのかよ。


「なぁ、スライムって強い魔獣なのか?」


「スライムですか? 私は詳しくは知らないんですけど、何でも物理な攻撃は効かない上、魔法も効き難いらしいですよ」


 スライム強ぇなオイ、物理無効に魔法耐性アリとか、どうやって倒せと?。


「でも、スライムの攻撃が取り込んで溶かすしか無い割には液体の様な体だからか、簡単に抜け出せるので強い訳では無いそうです」


 あぁ、粘着性とか弾力は無い完全に液体なスライムなのか、万が一体当たり的な事をされても水を掛けられた程度っぽそうだ。


「魔法は効き難いですが、普通に魔力を当てればじわじわ減って行くそうで、手間が掛かるのでランクが高くなってる魔獣ですね」


 どの程度の勢いで減るのかは分からないけど、無駄に時間が掛かりそうだ。


「じゃあ、このキングスライムって言うのは……」


「普通のスライムもある危険性ですけど、キングスライムは十数倍も大きいので、取り込まれると抜け出す前に溺れる可能性が高いんですよ、勿論掛かる時間も十数倍なので倒すのに魔力が足りる人が滅多に居ません」


 つまり、スライムを休まず十数体倒せる奴、もしくはグループじゃないとそもそも倒せないと。

 キングスライムって名前の印象以上にヤバいな。


「危険性が低いスライムでさえ、それなりに魔力がある人でも一気に消す事は出来ないので、女王様でもキングスライムを倒せるかは分からないんじゃないでしょうか?」


 イメージ以上にヤバいみたいだ、流石に魔装具を使えば女王の十数倍はあるからイケそうだが、無ければ俺達じゃ絶対に倒しきれないわ。


「Sランクは報酬は桁違いですが、キングスライムを除けば失敗した時は何らかの被害が出る可能性が高いので、危険性だけで無く違約金が発生する場合があるので、ただでさえ個人では難しいSランクの依頼は数少ないSランクの人は殆ど受けません」


 あぁ、確かに報酬が億単位だけど、追加報酬の代わりに『何らかの被害が発生した場合、半額負担して頂く場合があります』 とか書かれてる。


 ゴーレムの方は分からないが、クラーケンとか下手すると港町とかに被害が出る可能性もあるよな。


「今のところは生活に影響する被害が出てないので、依頼と言う形でギルド貼り出されていますが、無視出来ない被害が出ている物はSランクに限らず軍が討伐に出向くそうですよ」


 つまりギルドに貼り出されている依頼は、現時点では余り緊急性が無い物しか無いと言う事みたいだ。




 討伐系は一通り見たので、他の所の依頼も覗くと。


 護衛系は討伐とランクは共有しているが、基本的には討伐以外と同じ要素も必要らしい。

 依頼書には『討伐○ランク・護衛下級』の様に、下級・中級・上級・皆伝と必要になる様だ。


 二重に必要な為か割と報酬は良く日給制になっている。

 下級でさえ食事は支給され、日給一万程で日数は様々。

 中級は四、五万、上級だと十~二十万はあって、皆伝だと四、五十万が日給で出されている。


 更に護衛の際に襲ってきた魔獣や盗賊は、撃退するだけでも討伐ランク分の報酬が追加報酬として支払われる様になっているらしい。

 代わりに護衛対象に被害が及べば、その分減らされるのは勿論だが、襲ってきた相手の討伐ランクによっては軽い被害でも報酬が殆ど0になる可能性もあるみたいだ。


 当たり前だが、依頼者が重症を負ったり死亡した場合は大失敗扱いで、違約金が発生する様になっているらしい。

 依頼不相応なランクの魔獣が出現した場合は、違約金はギルドが負担する様になっていると記載されている。



 調査系は、魔獣の調査や遺跡の調査の他、未開の土地の調査が大半だ。

 空振りでも報酬は支払われるが、後々発見された場合はペナルティーがあって、適当に済ませようとするのは無理みたいだ。


 報酬以外に有益な情報があれば、その分追加報酬が出るらしく、単純な依頼通りの情報でも追加報酬出て、それ以外に何かしらの情報があれば報酬がどんどん増える形式になっている。



 採集系はそのまんまで、依頼された物を取ってくる物ばかりだが、この世界の事を知らないので、どんな物なのか分からない、一応採集場所も記載されている。


 運搬系は力仕事っぽいが、ランクが高い依頼は純粋に手間が掛かりそうな物や取り扱い注意な物を運ぶ系になっている。


 納品系は採集と違い、素材等は無く、道具とかを納品する感じみたいだが、ランクが高い物を見る限り職人系の人がする依頼が主体になっているらしい。

 何やら料理とか武具もあるし、魔道具っぽい物もあって、何故か一部微妙な物まである。

 童貞の美少年の○液とか何に使うつもりだよ、女王様の下着とか舐めてんのか。



 力仕事系は、言うまでも無く腕力が必要な依頼ばかりだ。

 しかし、高ランクの所に家の移築とかあるんだが、無理じゃね? 報酬は五百万とか割と凄いけど。


 精密作業系は純粋に職人系の依頼が大半で、下級で手伝いレベルで中級だと職人の手が足りない場合の物らしい。

 上級では共同開発とか腕のいい職人が居ない時の為の依頼、皆伝になるとむしろ指導とか教える側の依頼が多い。


 雑用系は『ランクいらんやろ?』と思っていたが、何故か高ランクに事務処理の仕事がある。

 皆伝にまさかの城での書類処理があったりするんだが、いいのか?。



 他には魔法系もあったらしく、魔法が必要な内容や、高ランクには魔法研究等がある。

 何かここにも城での魔法研究の依頼があるんだが、いいのかよ。




 一通り見終わる頃には日が暮れて、夕暮れ時になっていた。


「そう言えば夕食はどうすればいいんだ? 城に帰って食べた方がいいのか?」


「城に戻って食べられてもいいですが、街で夕食を済ませられても構わないと思いますよ、城に戻るのは余り遅くならなければ問題無いです」


 外で食べて帰っていいのなら、街の食べ物も知りたいし、夕食は街で済ませた方が良さそうだ。


「じゃあ、ホミュのお勧めの食事処に案内してくれない?」


「わ、私のですか!? そ、そんな急に言われても」


 驚きの表情を浮かべて、一瞬耳が真っ直ぐ伸びた。

 ちょっと可愛いかも。


 少し待ってみるが、考え込んだまま動かない。

 いや、別にそこそこ評判な所であればとこでもいいんだが。


「そんなに悩まなくても、庶民的な所で充分なんだけど」


「え? 食堂とかでもいいんですか?」


 その言葉に大きく頷く。

 どんなのがあるのか分からないけど、流石にレストラン的な所に連れて行かれても困るわ。


「なら、ギルドで依頼を済ませた人が行く食堂でもいいですか?」


 稼ぎは分かったが、消費の物価は分からず仕舞いだからそっちの方が助かる。


「では、すぐそこですけど、案内しますね」


 また手を掴んで引っ張られる、何か毎回引っ張られてるんだが、何でだ?。

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