表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/121

第19話『5人目の変身はまさかの……』


 何故か道が分からない菊次郎さんが先頭に立ち、道を間違え掛ける度にギュンターが呼び止める事を何度も繰り返し、大規模魔法練習の空間に辿り着いた。


「それで、どうすればヘンシンとやらが出来るんじゃ?」


「菊次郎殿は何もせずとも、最初はフュンフがやってくれるから、何もしなくていいんじゃよ」


 2人ともぱっと見、巨漢な姿だから双方から爺口調が飛んでくると微妙な違和感がする。

 特にギュンターはまだしも、菊次郎爺さんは顔まで若々しいから違和感が酷い。


「ふゅんふがやってくれるんじゃな? 早速やってみてくれるかの?」


「お爺様がそう言われるなら、すぐにでも」


 フュンフが胸元に撓垂れ掛る様に顔を埋めると、全身が水に変わって菊次郎の全身を覆った。



 服が水に溶ける様に無くなり、真っ裸になるものの、水の反射で股間だけ全く見えない……いや、勿論見たい訳じゃ無いけど。


 全身を覆う水の中から泡が出てくると、何故か真っ先に真っ青なブーメランパンツが泡の下から姿を現した。


 次に白いズボンが現れ、その後に白い服が……ん? 何かはち切れんばかりにぱっつんぱっつんな所を除けば、何処かで見た事があるような?。


 考えている間に頭に帽子が……あれナースキャップじゃね?。


 最後に体を覆う水が手元に集まり、大きな注射器に変わった。


 スカートじゃなかっただけマシなんだろうが、アレは無いわ~。


 現に桜は羨ましそうな表情をしているが、楓ちゃんと紅葉ちゃんは微妙な表情を浮かべている。



「菊次郎殿は武器以外は割と普通の様じゃな」


 ギュンターから耳を疑う発言が飛び出した、本気で言ってるんだろうか?。


「ふむ、よく分からんが、この姿は救護隊の服に似てるのう、儂は出来れば前線で戦う方がいいのじゃが」


 救護隊とか菊次郎爺さんはどんな世界から来やがった、戦国時代とか言われても不思議じゃなさそう何だが。


「菊次郎殿の中に居るフュンフから使い方を聞けるんじゃが、まずは魔力がどれ程あるか教えてくれぬか?」


「むっ、空に文字が浮かぶとは、これはまた面妖な……魔力とはコレの事かの? 千と二十万とあるんじゃが、どちらの事なんじゃ?」


 この爺さん、元の魔力俺より高いぞ……何か戦いの経験もありそうだし、もしかして近接系だったら下手すると俺等いらなかったんじゃね?。


「ふむ、恐らく千と言うのが菊次郎殿の元々の魔力で、二十万と言うのが魔装具で増幅された数値じゃろうな」


「それはどの程度なんじゃ? おぉ、儂の気の量まで数字になっとるのう」


 ……え?この爺さん気とか使えんの? やっぱこの爺さんだけでも、いけそうな気がするんだが。


「気とは何なんじゃ? 聞き覚えの無い言葉なのじゃが」

「お爺さん気が使えるの!? 僕の所じゃ数少ない達人の人しか使えないよ」


 ギュンターは知らない様だが、紅葉ちゃんの所には気が実際にあったみたいだ、格闘技が多く広まっているからこそなのだろうか。


「気の事を知らない人も居るから、数値は多分、言われても基準が分からないので言わなくても構わないので、菊次郎さんが気でどんな事が出来るのか教えてくれませんか?」


 唯一分かってそうな紅葉ちゃんは、余りその辺りに頭が回らなさそうなので、俺から提案すると菊次郎爺さんは腕を組んで悩み出した。


「……どんな事と言われてものぅ……門外不出の技もあるから、何を言えばいいのやら」

「いや、流石にそんなに詳しく説明されても、こちらも困るので言える範囲でどんな感じの事が出来るのか、特に軽く実際にやってくれたら簡単に伝わると思うんですが」


 元が老人な上に、その巨体の性で言葉使いが半端に丁寧になってしまう。

 って言うか、門外不出の技って何だよ、この爺さんどんだけ凄いんだ。


「実際にやるか、その手があったの、ならばまずは……」


 菊次郎爺さんがそう言った瞬間、姿が消えた。


「これが気を使った移動術の縮地じゃ」


 後ろから菊次郎爺さんが声を掛けてきた。

 この爺さん、マジで半端ねえな、瞬間移動レベルの事をさらっとやりやがった。


「他には、こんな事が出来るかの」


 拳を振り上げ斜め下に打ち下ろすと、少し先の地面が轟音と共に抉れた。

 と言うか、拳から何か出たぞ、よくは見えなかったけど。


「魔力の波動は感じ取れなかったの、アレが気と言うモノなんじゃな」

「凄いよ! 僕の知ってる人達より気を使いこなしてるよ!」


「凄いのは分かるんだけど、アタシはついていけないわ……」

「凄いお爺様だったんですね」


 ギュンターは腕を組み関心した様に頷き、紅葉ちゃんはハイテンションで菊次郎爺さんの周りを飛び回っている。

 桜は遠い目で爺さんの方を見ていて、楓ちゃんは目を輝かせている。


 この爺さんが回復系っぽいって、何か無駄にしてる様な……いや回復系だからこそ一番強い人だと安心だけどさ。


「この辺りが基本かの? これ以上は的も無い様じゃし、見せ物では無いからのぅ、使う機会があれば披露するわい」


 気を使った技はまだまだありそうだ。

 むしろ、瞬間移動染みた縮地が基本な事に驚きだ。


 そう言えば、菊次郎爺さんはどんな職種何だろうか? 見た目から嫌な予感はするが、モンクとかだとピッタリで安心出来るんだが。





【固有名・唐竹菊次郎

 種族名・異相地球産人間種(壱ー伍)

 職種・魔装式ナース(異世界人)

 状態・通常

 魔装LV・総合一】



 マジで見た目通りか。

 俺は目頭を押さえて空を仰いだ。

次の更新は16日の日曜の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ