第16話『勉強と訓練、そして……』
朝、ホミュに起こされて朝食を食べた、朝食は部屋に持って来てくれるみたいだ。
内容は普通の洋食の朝御飯と言った感じだった、何で洋食?。
午前はギュンターが一般常識を教えてくれるらしい、一般常識位だったらもう少し地位が低い人でも良さそうな気もするんだが、割と暇なんだろうか?。
ホミュに案内されてギュンターの所に行く最中に、食堂の場所を教えられた。
幾つかの中から選んで注文する形式で、基本的には昼食や夕食はここで食べるそうだ。
ちなみに、奥の方は持ち歩ける種類があるらしい、購買みたいなのもあるとか学食かよ。
到着すると、ギュンターしか居ない、他のメンバーは既に説明し終わってるので練習に行っていて、合流するのは午後から何だそうだ。
ホミュが頭を下げて退出すると、ギュンターの一般常識の説明が始まった。
まず、この世界は【火・水・風・土・闇・光・無】の7日で一週で、無の日が休日と言う構成になってる。
月は割と元の世界と余り変わらず、365日で年が変わるらしい。
ちなみに無の日には、俺達も休日として好きな様に過ごしていいらしい。
街へ行ってもいいが、馴れるまでは誰か連れて一緒に行く必要があると釘を刺された、紅葉ちゃんが迷子になったのが原因だとか。
他にも、この世界には3つの国があって、ここ魔法の国以外に【鍛冶の国・森の国】があって、侵略者の事もあり、森の国は結界によって隔離され、一部の援軍以外は異空間に避難しているそうだ。
現在は森の国の援軍は大半が鍛冶の国の防衛に回っていて、魔法の国は軍を立て直しつつ鍛冶の国と連絡を密に取り合っている状況らしい。
他にも海の民や、龍族、精霊種何かも居るが。
海の民は基本的に集落単位で生活している為、碌に連絡が出来ず、出来ても横の繋がりが薄い性で他の集落へなかなか伝わらず、どうしようも無く。
龍族は話が通じるレベルの相手は殆ど奔放な性格ばかりで、常に飛び回っていて居所が分からず。
精霊種は、上級精霊は定住先から離れられず、侵略者の存在を伝え注意を促す程度しか出来ないらしい。
ちなみに、下級精霊は自我が薄く魔素が形を持っているだけ、と言う様なあやふやな存在で、中級は自我が芽生えた魔力生命体の様な感じで、魔法の国にも色々な事を学んで上級精霊になる為、侍女として割と働いてるらしい。
そして俺達も給料があって、最初に一万G支給されて、それ以降は月十万Gで、それ以上は何らかの結果を出した際に基本給が上がったり、褒賞として貰えたりするそうだ。
貨幣の価値は街に出た際に実際に見て、フィーアや同行者の話を聞いて判断する方が分かり易い、と言われた。
無駄遣いはしない様に注意された、コレも紅葉ちゃんが無駄に衝動買いした事が原因らしい。
この世界の魔法は基本的には【火・水・風・土・闇・光・無】の基礎7種に、上級魔法の中には【時空・元素・命・死】等の上位属性があって、定番の氷とか雷は複合属性なんだそうだ。
ちなみに無は、無属性魔法の事を指すが、大抵の人は属性持ちで無属性は滅多におらず、上位属性は居ないらしい。
属性は自分が放つ魔力の色で判別出来て、火は赤、水は青、風は緑、土は黄色、闇は黒、光は白、無は無色透明と、無属性は魔力を感じる事が出来る人以外は判別が難しいらしい。
ちなみに俺は光属性と言われた。
属性とは言っても、親和性が最も高いと言うだけで、別に他の属性も一応使えるが、反属性は普通扱い難くなるんだとか。
「おぉ、もうこんな時間じゃ、椿君はお昼にするといい、儂は済まさねばならぬ事があるんでの」
そう言われてので、ギュンターを置いて食堂に行って、何か一般兵っぽそうな人達の中で昼御飯を済ませた。
ちなみに昼御飯は和食だった、朝は洋食だったのに昼は和食なのかよ。
「むっ、今食べ終わった所ですか、丁度いいですね、これから他の三人と一緒に練習ですが、よろしいですか?」
何故か付いてきた緑茶で一息ついている所に、キリエが声を掛けてきた。
これから魔力制御の練習らしい、特に拒否する理由も無いので、了承して付いて行く。
着いた先は小規模魔法練習の控え室みたいな所の奥の試射訓練室だ。
何か射撃場や弓道場みたいな所で、三人が玉状にした魔力を飛ばしている。
「あら? 椿ちゃんいらっしゃい」
「えっ! 椿さんが来たんですか! ……私、汚れてませんよね……」
「うりゃ~! え~いっ!」
桜がいち早く気付いて、遅れて楓ちゃんが気付いた、後半は小さい声で言ってるが割と聞こえた。
ちなみに紅葉ちゃんは、気にせず魔力を飛ばし続けている。
「紅葉殿は言うまでも無さそうだが、余りこちらに気を取られず自分の練習に集中して下さい、話は小休憩する時にしないと上達しませんよ」
キリエに言われて二人は、若干不満そうに練習に戻った。
俺はまず最初に、魔力を動かすのに馴れる所から、と言われて掌に魔力を纏わせ始めた。
変身してない性か、昨日と違って比較的簡単に動かせたが、体から離すのに少し手間取った。
どうにか掌に魔力の玉を浮かせる所まで行った後、少し漫画を参考に全身に纏わせたり、一気に放出したり、逆に体の内側に抑え込んだり、一部に集めて放出したりと色々と試していた所で、小休憩になった。
「椿ちゃんったら器用ね~、最後辺りなんかアタシ達も知らない事してたじゃない」
「途中で影が薄くなったのは驚きました、何をされてたんですか?」
「そうだったの? 僕全然見てなかったよ」
紅葉ちゃんはまだしも、二人が言ってる事に若干違和感を感じた。
元ネタの漫画を見た事が無くても、割と気とか魔力とか霊力が出る漫画の知識があれば、それなりに想像出来そうな気がするんだが。
三人に色々聞いて疑問の答えが分かった、全員同じ世界から来たのかと思ってたが、微妙に違ってたみたいだ。
桜の世界は漫画はあったが、殆ど恋愛物ばかりだったらしい、更にはGLやBL系の漫画も割と一般的に売られていて、4・3・3な割合だったとか。
ついでにオネエ系やオナベ系な人が総理だった時代もあった、とかそんな話も飛び出して来た。
楓ちゃんの世界は、本人は余り知らないらしいが童話系が基本だったらしい。
更に時代も若干古めっぽそうで、未だに貴族何かが居たらしく、楓ちゃんも貴族のお嬢様だったみたいだ。
基本的に貴族の中でも、御三家と呼ばれる大貴族が、国を動かしていたそうだ。
実は楓ちゃんは、その御三家の当主の孫娘だった、と言う驚きの事実が判明した。
紅葉ちゃんは、割と格闘系が主体だったらしいので、気とかは知っていたが、余り細かい設定のは無く、勢いで使ってる感じの物ばかりだったみたいだ。
更には本人も何となくでしか分からなかったらしく、溜めてブッ放すとか、全身に纏ってぶん殴るとかしか分からず、余り役に立ってないらしい。
ついでに言うと世界自体も格闘が盛んで、武道学校なんかもあって、紅葉ちゃんはそこの学生だったみたいだ。
「何かあんまり違いが無かったから、全く気付かなかったな」
「そうね~、アタシと同じ世界の人だと思ってたわ」
「私も、外の世界を余り知らないので、ちょっとした違い何か気付きませんでした」
「だからみんな、あんまり鍛えて無さそうだったんだね、格闘家を目指して無いだけかと思ってたよ」
全員、流石に違う世界からだったとは、誰も思って無かった。
休憩が終わった後、俺が主体で、色々と漫画を参考に練習をする事になった。
桜は、物に魔力を込めて強化したり動かしたりするのに向いてるらしく、石ころに魔力を込めては周囲に浮かべて的に飛ばしたりしている。
楓ちゃんは、見た目に反して肉体を強化するのに向いてるらしく、体の一部に集めて増幅させて、近接武器用っぽい藁人形を殴ったり蹴ったりしている。
紅葉ちゃんは、魔力を遮断して気配を消す感じの方に向いてるらしい、何かちょくちょく気配を消して近付き、驚かせる悪戯を繰り返してる。
ちなみに俺は、最初に苦労した割に魔力を体から離して動かすのに向いてるらしい、魔力の玉を作っては周囲に浮かべ、出来るだけ多く維持出来る用に練習を繰り返した。
練習を終え、三人と夜ご飯を食べた後部屋に帰って来た。
キリエが夜ご飯の時間だと、呼びに来た時に驚いていた、曰く『昨日までとは全然違う、急に魔力の珍しい扱い方で格段に進歩している、私が実戦を教える日が近そうだ』とキリッとした表情で嬉しそうに尻尾を振っていた。
「まさか違う世界だったなんてな、フィーアは知ってたのか?」
「ステータスにはこの世界で産まれた者で無ければ、出身世界も分かる範囲で表記されるので、椿様も分かってあるのかと思っていました」
ステータス表示は割と日常的に役に立つ様だ、余り勝手に覗くのも何だからと、全く使って無かった、明日からステータス表示とかも積極的に使ってみよう。
心なしか、馬鹿にしている様な目で見てくるフィーアをスルーして、ベッドに潜り込んだ。
……別にふて寝してる訳じゃないからな!。
とりあえず予約投稿を試してみる。
召喚された全員が違う世界から来てたって言うのは割と前から決まってました、以前の『異世界人達』って題名は二重の意味だったんですね。
うん、あんまり意味の無い伏線です。
今回時間経過を早めに済ませる為に、会話を極端に減らしてみました。
どうだったでしょうか? 読み辛いですかね?
次からは一気に2、3日分位に纏めてしまおうと思っているので、今回より台詞が減るかも知れませんが、大丈夫でしょうか?