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第12話『お風呂巡り 前半』

 楓ちゃんに引っ張られて最初に案内されたのは、隣の個室だった。


「サウナの後は水風呂が定番と聞いていますが、こっちの世界ではこれが定番なんだそうです」


 楓ちゃんが個室の扉を開けると、冷たい空気が流れてきた、部屋の中には氷の浮いた浴槽が……。

 最初に目にしたマトモな浴槽が氷風呂かよ。


「コレで一気に体を冷やすんだそうです、魔法で水温は維持しているそうなのでそのまま入って大丈夫ですよ」


 そう言って促されるが、氷水に入るには少々勇気がいる。

 恐る恐る片足を浸けるが、言うまでも無く無茶苦茶冷たい、そんな状態で躊躇していると。


「ほら? 一緒に入りましょう」


 後ろから抱き付かれ抱え上げられて、そのまま氷風呂の中に肩まで入れられた。


『超冷たいっ! でも背中に柔らかい2つの膨らみの感触がっ! あっ──何か柔らかい中に硬い感触が、コレってまさか』

 等と悶々として抜け出そうにも抜け出せない。

 しかし途中から。


『耳元に息が……アレ? 楓ちゃん息荒くね? しかも手つきが怪しく──ちょっ! 手が下の方に動いて……この硬い感触って冷たいからじゃなくて興奮してるからなんじゃ──まさかの貞操の危機!?』

 そう思い至ると同時に、抜け出そうともがくが更に強く抱き締められ、抜け出せない。


「あっ、危ないから暴れないで下さい、上がりたいならちゃんと出してあげますから」


 そのまま抱き上げられて氷風呂から出される。

 しかし小さな声で『欲望が先走り過ぎました』とか『まだまだチャンスは』と呟いていたのが聞こえた。

 ショタな人確定じゃねぇか、幾ら可愛い女の子相手でも、子供になった状態で襲われる趣味はねぇぞ。


 少し警戒しつつ、次に案内されたのは最初に見たウォータースライダー擬きの流水の湯だ。


「あれ? 楓に椿だ、2人揃ってどうしたの?」


 紅葉ちゃんが丁度滑り降りて来て、こっちに気が付いて話し掛けてきた。

 先程見掛けた時は目の前を一瞬で通り過ぎた為良く見えなかったが、彼女は──アレ? 下着じゃね?


 どう見てもパンツだ、明らかに水着の生地じゃない。

 上も普通に下着の生地に見えるから、恐らく水着なんかじゃなくスポーツブラだ、上下共に青色の下着……割と濃いめの青なので流石に透けてはいないみたいだが、濡れて肌に張り付いている。


 凄くエロいです。

 楓ちゃんが2人でいる理由を話しているが、紅葉ちゃんから目が離せない。

 良く見ると濡れて張り付いている性で胸の形がくっきりと、更に薄っすらと真ん中の小さな膨らみまで……

「この滑り台みたいなお風呂の楽しみ方なら僕が教えてあげるよ! アレ? どうしたの?」


 紅葉ちゃんが目の前に来て胸を張って俺にそう言って来る。

 でも、目の前で胸を張られると近くに胸が突き出されて薄っすらがくっきりになって形が……。

 流石に堪え切れずに顔に手を当て後ろを向いた。


「……あんな風にやれば椿ちゃんを誘惑出来るんですね」


 楓ちゃんが呟く声が聞こえる、チラリと振り向くと楓ちゃんは目を爛々と輝かせているが、紅葉ちゃんは首を傾げている。

 紅葉ちゃんはそのままの純真な心でいて欲しい、何か安心する。

 でも、同時に無防備過ぎて御馳走様です! とも心の中で思った。


「楓は滑った事あるだろうし、とりあえず初体験の椿と一緒に滑るね!」


 問答無用で紅葉ちゃんに引っ張られて連れて行かれた。

 何か引っ張られる事が多い気がする。


 流水の湯の入り口の様な所に着いた、割と紅葉ちゃんが滑り降りて来た所から近いみたいだ。

 深めのプールの様な所を中心に、水が勢い良く流れ出す所と流れ込む所がある。

 流れ出す所から滑り始めて、風呂場を一周して元の所まで戻って来る構造みたいだ。


「ココから入ると一気に押し流されて行けるんだよ、大丈夫だと思うけど最初は一緒に滑ってあげるよ」


 大丈夫と言われるが、どう見ても不安しか感じない、ウォータースライダーと言ったけど。

 コレはジェットコースターだ。


 プールの様な所から水が流れ出しているが、初っぱなから水が斜め上に向けて凄い勢いで逆流している。

 更に見える範囲で既に螺旋状に滑り落ちたり、縦に一周しているのが見えたりと、最初からクライマックスなコースだ。


「ほら? 早く行くよ」

「ちょっ!待っ──てぁぁっー!?」


 後ろから抱き上げられて、止める言葉を言っている途中で、そのまま一緒に飛び込むと一気に加速した。



 ──現在滑り中──



「ひゃっほーい!」

「……ぅぁー……」


 やっと終わった……何らかの魔法の力が働いてる為か落ちる事は無いが、明らかに体感数十キロ後半な速度で、後半は直角に曲がる・昇る・落ちる、そして飛ぶ。


 終わる頃には叫ぶ気力すら残らなかった。


「あっ、お帰りなさい、いかがでしたか?」

「楽しかったよ! 椿も楽しそうに叫んでたし」


 っんな訳あるか! そう叫びたいが、叫ぶ気力すらない。

 もう一度とか言われない様に楓ちゃんを見つめ首を横に振るが、ちゃんと伝わると信じて必死に見つめ続けた。


「(潤んだ瞳で見つめて……小動物みたいで可愛いです)椿さんは疲れたみたいですから、次は再生の湯でゆっくり休む事にします」

「そうなの? 僕もちょっと疲れたし一緒に行っていいかな?」

「私は疲れてないですから、椿さんは私が運びますよ」

「ちょっと疲れただけで、そんなに疲れてないし、僕がこのまま抱えて行くよ」


 羨ましそうな表情の楓ちゃんを横目に、紅葉ちゃんに抱えられて再生の湯に向かった。


 ──横抱きのお姫様抱っこで。

割と掛かった割に、お風呂の話が終わりませんでした。

お風呂の話はまだ続きます、最低でも1話、場合によっては2話まで延びるかも。


楓ちゃんがショタコンなのは割と初期設定でした。

ちなみに主人公の椿は割と純情な所があるけど、それ以上に【女の子とエッチな事をしてみたいけど、小さな子供の体じゃ嫌】と言う設定です。

と言うか、アレも小さくなってるので大人な心のままなじゃ、『わぁ、ちっちゃ~い』とか思われる事を想像してたりします。

うん、私も嫌だわ

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