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第11話『俺の知ってる風呂じゃない』


 四人共変身を解いた後、付いて行った先は同じ建物の中だった。


「この魔法練習用の施設には使用者が汗を流す為に浴場が設置されておってのぅ、施設を使う者にしか使えないんじゃが、それはもう極楽なんじゃよ、わざわざココの浴場を使いたいが為に訓練しに来る程なんじゃぞ?」


 周りを見るとギュンターは勿論の事、他の三人も楽しみですと言わんばかりの表情だ。

 後、途中から姿が見えなかったキリエまでいつの間にか居た、相変わらず真面目な表情だが、尻尾を激しく振って耳は落ち着かないと言わんばかりに動いている。


「ココのお風呂は凄いわよー、ちょっと変わってるけど」


「僕ココのお風呂大好きだよ!」


「こんなお風呂があるなんて初めて知りました、毎日楽しくて練習を休みたくても休めません」


 何やらかなり凄いらしい、風呂なのに楽しいと言うのは気になるが、それを知るには実際に入った方が早そうだ。


「おぉ、そうじゃココの浴場は水着着用の混浴じゃから椿君は水着を探さないとダメじゃな」


 明らかに『湯』と漢字で書かれた暖簾が見えて来た時に、ギュンターがそう言って手前にある『貸衣装』と書かれた扉を開けた。


 混浴と言う言葉に微妙に反応しつつも、風呂場の近くに『貸衣装』って何か違う気がする、と思いつつ中に入ると。


 色んな衣服が目に飛び込んで来た。


 あぁこれは確かに貸衣装とか言われても不思議じゃないわ、と思わせる程多種多様な服が吊るされていた。


 ファンタジーにありがちな服から民族衣装っぽい服、浴衣らしきモノまである、更に片隅にどう見ても元の世界にあった様なコスプレみたいな服まであるのは何なんだ。

 さっきの暖簾に『湯』と書かれてた事も含めて確実に以前に同郷の人が居たとしか思えない。


「椿君」


 呼ばれて顔を向けると、ギュンターが申し訳なさそうな表情をして立っていた。


「今の椿君に合うサイズの水着がコレしか無かったんじゃ、すまんのぅ」


 そう言って見せられたのは──スク水だった。


「ちょっと待てや! 他にもあるだろ! ……マ、マジで他に無いのか?」


 詰め寄って問い掛けるも、無言で首を横に振られるだけだった、本当にコレしか無いらしい。


 裸でも大丈夫とは言われたが、流石に子供の体でも全員水着の中で全裸は恥ずかしい。


 一応サイズが大きい大人用のを、紐状の何かで縛って使う案も思い付いたが、何となく途中で解けそうな予感がするので諦めてスク水を着る事にした。


「ほれ? 他の者はみんな入っておるぞ?」


 ギュンターに連れられて入ると、凄い光景が広がっていた。


 空に浮かぶ流れる水、仄かに光る水の塊、時折僅かに放電している水の塊……1つも浴槽に入って無い、むしろ浴槽がねぇ。


「あの流れる風呂は流水の湯じゃ、紅葉君が気に入って毎回入っておる」


 紅葉ちゃんが流れる水の上で滑るように目の前を通り過ぎた、コレ完全にウォータースライダーだろ。


「向こうの微かに光っておるのは再生の湯じゃの、常時微弱な回復と洗浄の魔法が掛かっておるから全身の肌が綺麗にされるんじゃよ、アレには桜君が入り浸っておるの」


 確かに良く見るとブロック状になっている水の塊の端に桜が顔だけ出してるのが見える、寝転がって入ってるみたいだ。

 あっ顔も中に入った。


「あの放電しておるのは電流の湯じゃの、微弱な雷撃魔法が込められておるから体の疲れが取れるらしいんじゃが、効果を実感するには少々慣れが必要じゃの、アレがキリエ君が気に入ってるようじゃ」


 水の塊の上からキリエが顔を出しているのが見える、アレ立った状態じゃね? 本当に疲れが取れるのか?

 少し近寄って見ると、目を閉じて相変わらずの表情だが、電気の性か毛が逆立った状態ではあるが耳が伏せられ、尻尾は水の中でゆらゆら揺れている。


 確かに気持ち良さそうに見える、うん……別にまさかのさらしにふんどしと言う格好で、さらしに締め付けられつつも溢れんばかり胸や後ろが殆ど丸見えなお尻に目を奪われてた訳じゃ無いぞ。


「他にもあるんじゃが、先に体を洗っておこうかの、こっちじゃ」


 ギュンターに手招きされて付いて行くと小さな個室らしき扉に入った。


「扉を閉めて少し待つと勝手に洗ってくれるんじゃが、少々荒っぽいから息を止めて目を瞑っておいた方がいいぞ?」


 そう言われたので扉を閉めて息を止めるが、気になったので目を開けたままキョロキョロと周りを見回していた。


 少しすると部屋に水が溢れ、全身に纏わり付いて来た、咄嗟に目を瞑ると全身に纏わり付いた水が激しく流れ始めた。


 どうなってるのかは見えないが、水流で体を洗い流しているみたいだ、何か洗濯機の中に入った気分になる。


 数秒程度で終わり、水が体を離れ部屋の隅の方に流れていった。


「さて、まずは儂のオススメの所に行くんじゃが、付いて来るかの?」


 特に断る理由も無いので了承して付いて行くと、また個室の様な扉の前に着いた。


「ココは多汗の間じゃ、君達の世界ではサウナが一番近いらしいぞ、ココで沢山汗を掻いて風呂上がりに一杯と言うのが堪らんのじゃ」


 扉を開けると湿気が多い熱気が漏れてきた。

 中に入ると楓ちゃんが座っているのが目に入った。


「あっ、椿さんもこちらに来られたんですね……えっと──その格好はどうされたんですか?」


 あぁ……そう言えばスク水だった。


 楓ちゃんにサイズの合った水着がコレしか無かった事を説明すると。


「とても似合っていて可愛いですからそのままでいいのでは無いでしょうか? 新しく作るのも少々時間が掛かるらしいですから」


 うん……楓ちゃんの表情が嬉しそうじゃ無ければ後回しにしてたかも知れないけど、身の危険を感じるから今日中に頼んでおこう。

 楓ちゃんみたいな可愛い女の子でも詰め寄られて言われると、その嬉しそうな表情はちょっと怖い。


 早速座って落ち着いた所で少々暇だったので2人を観察してみた。


 ギュンターは黒いトランクスタイプの水着にタオルを首に掛け胡座で目を瞑っている。

 体は傷だらけで筋肉隆々だ、どう見ても魔法使いには見えない、絶対に武闘派な将軍様だろ。


 楓ちゃんは白のワンピースタイプの水着だ、タオルを膝に掛けて座っている。

 体を伝う汗がエロ……ゲフンゲフン──時折タオルで汗を拭いている。


 楓ちゃんからココの風呂の事を聞いていると、唐突に手を掴まれて詰め寄られた。


「そうだ! 私が椿ちゃ──じゃ無くて椿さんに他の所を案内させて頂けませんか?」


 疑問系で言われてるのに、既に立ち上がり引っ張られている。

 アレ拒否権は? いや別にいいんだけど、若干楓ちゃんが言い掛けたちゃん付けが気になる、やっぱりショタな人だったりするんだろうか。


 楓ちゃんに引っ張られ、ギュンターを置いて多汗の間を出た。

すみません、遅くなりました。

大筋は決まっていても細かい所は行き当たりばったりなので、今回のどの様な風呂にするか、と言う所で『何か自分が知ってる風呂じゃない』って感じにしようとしたら、なかなか思い浮かばずに時間が掛かってしまいました。


次回も多少今回出たの以外にも出したいな、と思っているので少し時間が掛かるかもしれません。

次は出来るだけ1週間以上掛からない様に頑張ります。

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