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第108話『魔力量を増やす方法』


 魔力を体外に出してから小一時間程経った訳だが、自然回復でどの程度魔力が戻ったのかは今一分からない。

 元々、自分の中にどの位魔力が残ってるのか、何となくでしか分かって居なかったから、当然と言えば当然な訳だが。



 体内の魔力を出して、体内に残る魔力を少なくする程、回復速度は増すらしいが……ハッキリ言ってこんなに集中力が必要な状態では疲れて回復量は減りそうなので、そんなに回復してない様な気もする。

 特に諦めずに歪んでは直し、と言う事を未だに繰り返している楓ちゃん何かは、かなり疲れていそうだ。


 勿論、繰り返し続ける事で楓ちゃんも少しづつ上手くはなっている。

 大きく歪んでいたのが今では小さな歪みしか無く、単純な歪みの大きさは俺や桜より遥かに小さい。


 しかし、歪みが小さくなっても変わらず直そうとする為、最初よりは簡単にはなっているものの直す事を止めず、常に修正の為に制御し続けて精神的疲労がかなり溜まっていると思われる。



 ぶっちゃけ疲れはするが、維持するだけであれば慣れてきたら疲労も軽減される。

 何でも初めては疲労が大きいけど、慣れれば初めての時より疲れの度合いが少なくなるのと同じだ。


 俺や桜は歪んではいるものの、その状態を維持し続けている為にある程度慣れて来た為に、最初よりは余裕が出来ている。

 しかし、楓ちゃんは歪みを直す事に慣れ始めているかも知れないが、新しく生まれる歪みは常に違う箇所に発生するので、反射で対応出来るレベルにならない限りは消耗が一定以上から減る事は無いだろう。




 まぁとにかく、1時間程経過した訳だが、ぶっちゃけ誰もがどのタイミングでやればいいのか分からず、維持したまま誰もが動かない……動かすのは体じゃなくて魔力だけど。



 ギュンターもそれぞれに目を向けるものの、口を閉ざしたままである。

 多分タイミングは、各自の判断でさせようとしている様だ。




「言われた最低限の時間は経った筈だから、まずは俺からやってみるわ」


 一応、みんなに一声掛けてから体外に出した魔力を体内に戻し始めた。


 体内に戻した魔力は、片っ端から血液の様に全身に巡らせていく。





「……うぁ、気持ち悪……お腹一杯で吐き気がする感じだわ」


 体外に出した魔力を、全て体内に戻し終えると満腹以上に食べた後の様に、圧迫感やそれに伴う吐き気等が出て来た。


 耐えられない程じゃ無いし、集中が乱れる位では無いので維持する事自体は問題無い。

 しかし、余分な魔力を出しさえすれば治るであろう症状を、慣れるまで我慢し続けるのは微妙に辛い。



 救いは許容量から少し多めの魔力がある位の状態であれば、自分の体の中だからか漏れない様に維持する難易度は、然程難しく無さそうな所位だ。


 少なくとも体調が悪くなる事を除けば、体外の魔力を維持する事より集中力は必要ないので、魔力制御の面では楽になった。




 えずくまでは行かないが、吐き気のせいで何か出そう、と言う感覚が常にある為、つい口を手で覆ってしまう。

 圧迫感さえ無ければ車酔いに近いかも知れない。



「これは……最初は欲張らずに早い段階でやっておいた方がいいかも、一度体感して次やる時にヤバいと思ったら過剰分の魔力量を調整する感じがいいわ。

 多分やり過ぎたら……吐く」


 俺の言葉に反応してか、真っ先にミーシャがやり始めた。

 流石に、桜の前で吐くのは嫌だったらしい。


 ミーシャが始めたのを見て、楓ちゃんと桜も魔力を戻し始め、それに釣られる形で紅葉ちゃんも、最後に自分以外が全員始めたのを見てか、菊次郎爺さんもゆっくりと魔力を戻し出した。



 最初に変化があったのは、真っ先に始めたミーシャで顔色が悪くなって口元を手で覆い、ピクリとも動かなくなった。


 紅葉ちゃん、桜、楓ちゃんと順番に魔力を体内に戻し終えたが、それぞれが口元を手で覆う位で、俺と大差無い位の様だ。

 菊次郎爺さんは終わった後に、僅かに表情に出た程度で一番余裕がありそうだった。



 やっぱり、最大魔力量の差も関係しているのか、ミーシャが一番辛そうである。



 慣れて吐き気や圧迫感が気にならないレベルになるまで、最低1時間程掛かった。

 菊次郎爺さんはまだしも、割と紅葉ちゃんや楓ちゃんが慣れるのに掛かった時間が少な目だったので、肉体面もある程度関係しているのかも知れない。



 ちなみに、ミーシャは微動だにしない状態を脱するのに1時間、慣れて吐き気等が収まったらしい状態になるまで更に1時間の、合わせて2時間が掛かった。



 その後は、慣れて来ても魔力を使ってしまうと、折角の限界量を増やす効果が落ちてしまう為、注意点等を教わるだけで終わった。





 ・魔力量を上げる際の注意点

 容量以上の魔力を体内に留める際に、慣れて来ても最低半日は魔力を使わず、体内の魔力が漏れない様に注意する。

 それを守らなければ、効果が極端に落ちる。


 体外に魔力を出した後に、魔力を魔法薬等で回復させる等の方法も出来なくは無いが、負担が著しく上がり魔法薬の効果の程次第で危険域に達する可能性が高い為、お勧めしない。

 自然回復でやるのがコストと安全性が、一番効果的でお勧め。



 定期的にするのであれば、頻度は週一でする位が丁度いい。

 頻繁にやると、体への負担が蓄積し逆効果になる。



 他の方法は、魔力を使い切り、体内の魔力が枯渇した後に魔力を絞り出す等と言う方法もあるが、かなりの荒行なので止めた方がいいとか。





 等々、最後は座学だけで終わった。





 ちなみに座学に入った辺りで、既知の事だからなのか興味が無くなった様で正座したまま居眠りし始めたレンが、最後にギュンターに怒られていた。

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