第105話『ミーシャとの練習』
当たり前の如く簡単に、多数の文字魔法を出して見せたミーシャ。
しかし、魔力弾を撃ち出した後、渋い表情で余りいい印象を抱いて無い様子だった。
「コレって、難しさに見合った効果は少ないし、結局消費する魔力が結構多いからあたし向きじゃ無いわね」
あ~……確かに、一文字に付き魔力を1~2に抑えても50個も作れば50~100と、ミーシャの最大魔力量の半分近くを消費する事になる。
ミーシャが以前見せてくれた、最大威力の魔法がミーシャの魔力を全部消費するとしても、約200の消費な訳だが、あれ程の威力の魔法を使えなくしてまで魔力を消費して使う様な威力は出てない。
と言うか、ミーシャの使っていた魔法は同系統な上に、難易度も上な上位変換な方法だ。
何せ、結構な大きさの魔方陣を複数展開した上で、属性魔力弾を撃ち込むんだから、制御力も効果も上回っていると言える。
単純にミーシャが使ったやり方より手軽に使えて、慣れさえすれば個数を少しずつ増やせると言うだけだ。
同時展開出来る魔方陣を1つ増やすには、相当苦戦するだろうが1つ増えるだけで効果は大きく。
逆に単体文字は1つ増やすのは比較的簡単だが、1つ増えただけでは効果が微増する位しか期待出来ない。
しかも、単体文字では意味のある効果は単純なモノしか出来ない為、応用性も広くは無い。
「まぁ、一部の人しか使い道無いだろうな……軌道を変えるのには使えるだろうけど」
文字魔法を通すと、僅かながら軌道が変化する為、軌道を変えるのには使える……が、勿論それなりの魔力量でなければ微調整程度の影響力しかない。
故に、単体文字の複数展開をする際の配置は、結構考えてしないと途中で脱線してしまうのだ。
普通に魔方陣であれば注ぎ込んだ魔力量が多く無くても、入射角に対してある程度大きく軌道を変える事が出来る。
まぁ、入射角がキツければキツい程、軌道修正の為に魔力のロスが生まれるので、限定的な使い方でも無い限りそこまで実用性がある類では無い訳だが。
「他に無い訳? コレじゃ無駄に魔力消費しただけじゃないの」
ちょっと、魔法経験が浅い人にそれは無茶振りな。
まぁ、流石に魔力量が少ないミーシャに消費が結構多くて、しかも使い道の少ない魔法を初っ端からさせたんだから、分からなくもない。
「今の所、俺個人が教えられる意味のありそうなモノと言ったら……コレ位しか無いぞ」
そう言ってぜt……もとい、魔力を体内に抑え込んで見せた。
多分、他の方法の中でミーシャに意味がありそうなのは、コレ位だ。
何となく魔力の自然回復量が増してる気がするし、何より気配が薄くなるので敵に狙われ難くなる。
コレなら後衛には、割とピッタリだと思う。
「いや、どうやるのよ、見せられただけで分かる訳無いでしょ」
さっきは見せただけでやれたやんっ!。
その後、普通に言葉で教えたものの、性格的に相性が良く無いのか魔力の制御が上手いのに、思った以上に習得に時間が掛かった。
「何で魔力の扱いは上手いのに、こんなに苦戦してんだ?」
「魔法師が魔力を出さないなんてする訳無いでしょ! 慣れない事させられてるんだから当たり前よっ!!」
いや、魔力垂れ流しとか威圧位にしか使えないやん。