第102話『光魔法は使い道が少ないよね』
24日目
昨日に引き続き、レンが教師役で練習な訳なんだが……。
「久し振りだねっ! 今日1日時間が空いたから愛しの椿に会いに来たよっ! 2人の愛の連係を高めようじゃないかっ!?」
面倒な……もとい、ランベルトが現れた。
と言うか、俺との連係だけ練習しても意味無いだろ。
他との連係が無いと桜はまだしも、楓ちゃんには流れ弾ならぬ流れ斬撃を食らい、紅葉ちゃんからは流れ矢を食らい、菊次郎爺さんなんかは普通に攻撃の巻き添え食らいそうだわ。
「……今は魔法の練習……やらないなら……邪魔……」
レンがランベルトに一瞥する、さらっと追い払おうとした。
「む? 魔法を練習しているのかい? 僕は余り得意じゃないんだが……まぁ愛しの椿に自慢出来る得意な魔法が1つあるから見せてあげよう!」
ランベルトはそう言うと、何やらポーズを取り始めた。
「シャイニングモード!!」
次の瞬間、ランベルトの全身から目が眩む程の強い光を発して、輝き始めた。
……何か直視し辛い位に全身が発光しているが、特に何をするでもなくポーズを取ったまま静止し続けている。
いや、その魔法の効果や用途は何なんだよ。
「どうだい! 眩しい位に光輝いているだろうっ!?」
「確かに直視してると目が痛くなりそうな位だけど、何の意味があるんだよ」
突然されたり、暗闇で使われたら目をやられそうではあるが、全身を光らせる意味は無い上に目立って狙われ易くなりそうだ。
単純に光源として使うには眩し過ぎ、目を潰すには限定条件下でも無い限り直視出来ない程でも無いので、相手の目を使えなくするには光量が低過ぎる。
「僕は属性魔法の適正はあったけど、魔法の才能は余り無いみたいでね! 魔力を体外に放出出来ないから僕自身の強化と身に付けた物に魔力を流す以外は、コレしか出来ないんだよ」
あぁ……つまり魔法っぽい使い方は、光の魔力で光らせる位しか出来なかった、と。
確かに効果はあっても、武器を光らせるより全身を光らせる方が派手で魔法っぽいけど。
って言うか、俺コイツと同じ属性かよ。
参考に……いや、ならなくも無いか体に纏わせて発光させられるって事は、掌に集めれば撃ち出さなくても指向性の光を使えるって事だし、密度が濃ければ光量が高い強力なライトが出来る上に、体外に出さないから消費も抑えられる。
思った以上に発想の役に立ったな。
「戦う時に何の役に立つのか、今一分からんが、光属性の使い方を1つ思い付いたから、結構助かったわ」
「愛しの椿も光属性なのかいっ!? 運命を感じるね、君の役に立てたのなら嬉しいよ……コレしか見せられないけどねっ!」
ランベルトに礼を言ったら、喜びながらテンションが上がったのか、光量が上がってより一層光輝き始めた。
いや、何か段々そっちに顔を向ける事自体がキツくなって来たから、光らせるの止めろよ。
って言うか、まだ最高じゃなかったのかよ、頑張れば直視出来ない事も無い程度から、直視してたら光が目に焼き付いて視力が一時的にガタ落ちしそうな位になって来たわ。
そんなやり取りをしている途中に、レンが話し掛けて来た。
「……もういい? ……他の人は……もう先に練習始めてる……やってないのは……2人だけ……」
そんなに時間を掛けてない筈なのに、他の四人は早々に自分の練習を始めたらしい。
まぁ、一応途中まで見ていたのか、一部は属性魔法の魔力を体に纏わせるやり方を練習してるの人も居る様だ。
菊次郎爺さんは、使い道が思い付かない為か、とりあえず全身に纏わせているが今の所、水飛沫を上げながら駆け回っている様にしか見えない。
「あ~……じゃあ、コイツのを参考に属性魔法の練習からやるわ」
そんなに時間を無駄にしてはいないが、若干気不味い気がして頭を掻きながら、属性魔法の始めた。
まだ練習が足りない為、余り属性を変えられていないが、とりあえず魔力を掌に集め密度を上げながら、属性魔法で光属性に変えていく。
じわじわと魔力が光属性に変わるが、しっかりと変換し切れず若干斑になってしまった。
そして、その結果。
光量が均一にならず、前方に向けた掌から、ちょっと気持ち悪い感じな斑で目に悪そうな光が、前方を照らすと言う何か相手に精神ダメージでも与えそうな、イメージと全然違う魔法が完成した。
今の俺には、まだ早かったかな。