第9話『(色んな意味で)危ない魔装具』
爆発した方向には大きなキノコ雲が見えた、その光景を見ながら呆然としていたが、ちょっと威力高過ぎじゃないだろうか? とギュンターの方に顔を向けると。
口元が引き攣っていた、どう見ても予想の範囲内では無さそうだ。
「威力高過ぎじゃねぇか? あんなん殲滅目的じゃないと使えないぞ」
「流石にあれ程の破壊力は想定しとらんわい、先程聞いた魔力量を考慮しても高過ぎじゃ、お主の中に居るフィーアなら原因が分かる筈じゃから聞いてくれんか?」
魔力が二八万あっても威力が高過ぎる様だ、フィーアに聞く為に頭の中で『何でこんなに威力が高いか教えてくれー』と念じてみる、言葉にしないのはそっちの方がそれっぽい気がしたから、と言う子供染みた理由からだ。
『現在魔法使用設定は詠唱による増幅と動作による増幅が設定されており、詠唱と動作が共に五割増となっています』
五割増し……詠唱五割、動作五割なら最低二倍になる事を考えると単純計算で、魔力が五十万以上の威力は出ているんだろう。
『更に攻撃設定が曖昧だった為、範囲と威力が最大値で発動し、その結果指定箇所を中心に半径五十メートル程に広がったと思われます』
確かに使う際は的になるモノが無かったから、適当な方向を指差しただけで何も考えて無かった気がする。
『原因を簡単に言えば、考え無しに使えばこうなって当然だ、この童貞が、と言う事ですね』
何故か唐突に罵倒された、童貞は関係無いだろ童貞は、まぁ適当に使うと無駄に広範囲になるから、攻撃範囲は何となくでもイメージしないといけない、と言う事だろう。
「魔法を使う際に詠唱で五割、動きで五割程増幅されてたのと、範囲を考えずに使った性で一番広い範囲になってたみたいだ」
ギュンターに原因を伝えると、唸り声を上げ困惑した様な表情を浮かべた。
「むぅ……椿君は他の誰とも違うのぉ……他の3人は多少増幅はされておったが、これ程予想を越えた魔法では無かったし……過去の使用者や女王様は倍率がそこまで高く無かったからか、それとも魔法を使い慣れていたからか、如何に魔法に卓越した者が魔装具を使い続けても、これ程までに威力や範囲を出せたと言う記録は無いんじゃ」
桜達三人は広範囲攻撃じゃなかったらしい、倍率の性もあるかも知れないが、総魔力の時点で倍以上差があるんだから当たり前なのかも知れない。
過去の使用者は多分、根本的にここまで適当に魔法を使って無かったから、と言う理由やイメージが既にある程度固まっていたから、と言う意味合いもありそうな気がする。
「他の3人と共に戦う事を考えると、始めの内に仲間の変身した姿を見ていた方がよさそうじゃの」
「あら? アタシ達、まだ合格もしてないのにまた使ってもいいのかしら?」
「実戦を行うには合格を出せぬだけじゃからの、魔力を扱う感覚を覚えて来た君達なら、魔装具の力に慣れる為にココで使う分には構わんじゃろ」
他の三人もする様だ、魔力を使う事を練習してたなら、確かに俺がこのまま練習しようとするより安全な気がする。
「あの……しないとダメでしょうか? あの姿は少し恥ずかしいのですが」
「あははは──アレって僕もちょっと恥ずかしいんだよねー」
「貴女達は可愛いんだからいいじゃない、アタシなんか全然可愛くないわよ?」
楓ちゃんと紅葉ちゃんは可愛くて本人達は恥ずかしい姿らしい、ちょっとワクワクする。
桜? 男で、しかもオネェな奴の変身に興味は無い、しかも可愛くないとか曖昧過ぎる情報じゃ分からんだろ。
「どうせ近い内に嫌と言う程する事になるんじゃ、今の内にそんな所も慣れておかないといかんじゃろう」
「なら僕からいくよ! ツヴァイ! 変身だー」
「アタイと紅葉の力、見せてあげるんだからー」
紅葉がツヴァイの方を向き手を広げて叫ぶと、ツヴァイが駆け出し紅葉に抱き付く様に飛び付いた。
ツヴァイの体が溶ける様に消えると同時に風が吹き荒れ、風が体を覆う様に渦巻き服が粉々になった(アレ戻った時ちゃんと戻るのか?)。
どう見ても裸だが、特殊な風なのか大事な所は全く見えない、サービスシーン機能でも付いてるんだろうか。
風が体に密着する様に巻き付くと、フリルやレースやリボンで飾られた薄緑色のゴスロリっぽい服に変わった。
風が頭に巻き付く様に吹き荒れると、ヘッドドレスに変わり、更には背中にも渦巻いた風が吹き荒れ、一瞬で大きな弓が現れた。
「うぅ……やっぱり弓なんだね……それにこんな格好じゃ動き難くて格闘じゃた戦えないよぅ……」
変身が終わった瞬間、項垂れ始めた、自己紹介の時に言ってたのはこう言う事らしい、確かに格闘技とかやってたのに武器が弓じゃ余り格闘技は役に立たない気がする。
「最後だと更に恥ずかしいと思うので、次は私がさせて頂きますね、アインお願い」
「かしこまりました、お嬢様」
楓がアインに手を差し出すと、アインが手を取って跪き手の甲に口吻をした。
すると、アインの体が炎に変わり楓が炎に包まれ、服が燃え上がった。
またもや裸だが、周囲の炎で隙間から肌色が見えるが、炎越しに影は見え体のラインは分かるけど、大半は炎で見えない。
炎が下半身と胸元に纏わり付き、赤い胸当てに肩当て、そして際どいラインの水着に腰当てに変わった。
手と足に炎が上がり手甲と脚甲が装着された。
炎が目の前に集まり大剣に変わって地面に突き立てられた。
「は、恥ずかしい……どうして私だけこんなに露出が多いんでしょうか」
確かに露出が多く、どう見てもビキニアーマーにしか見えない。
「気が進まないけど、次はアタシよ、おいでドライ」
「嫌だけど、それがボクの仕事だからやってあげるよ」
ドライが歩み寄り桜の目の前に立つと、ドライが砂になり崩れ去った。
桜の足元から砂が這い上がり、頭の上まで全身を覆うと、固まり岩になった。
岩が砕け散り、岩の下から大きな盾を携えた全身鎧が現れた。
「やっぱり可愛くないわね、アタシの自慢の肌が全く見えないじゃない」
別に見たい訳じゃないが、桜だけ一瞬で終わった。
弓を携えた紅葉ちゃん、大剣の楓ちゃん、盾を持つ桜の三人が立ち並ぶ姿を見て口を開いた。
「3人とも魔法使い系じゃねぇじゃん!!」
地の文、今回は特に変身シーンが難しい
でも実際は、地の文自体が難しい
ちなみに桜の変身シーンは最初から短い予定だった、男の変身シーンとか誰が見たがるか