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第四王子の奇行物語  作者: 秋鐘 要
幼少編
8/31

7話

「アル!!アルアルアル!!」


騒がしい声が部屋の外から聞こえてくる。

俺はコップに口をつけるとふぅと一息ついた。


そして数秒後に後ろのドアがばんっ!と開く。


そして乱暴にドアを開けた主が俺の目の前にドカッとソファに座り目の前の机をバンっとこれまた勢いよく叩く。


「うるさい……」


目の前にいる燃えるような赤毛の髪と目をした青年が俺を見てくる。

顔は童顔で若く見られやすい顔。

この落ち着きのない青年はこの国の第一王子カストル・ナタル・トスカ。


となりには彼の従者であるエルヴィス・ソルト・ハダス。レストニア家にも匹敵する公爵家ハダス家の三男である。


俺らは三人昔から馴染みでよく一緒にいた。

数少ない砕けて話せる相手である。


「どうした。」


「どうした。じゃないよ!第四王子ユアルスの従者になったって本当かい?!」


あり得ないという顔で俺を見てくるカストル。

俺もあり得ないとは思った。


「まぁな。」


「まぁな。って………俺も弟にあってみたいなぁ」


今度は羨ましいという言う顔で俺を見てくる。

ころころ表情が変わるなぁ。

カストルの隣に座るエルヴィスことエルは興味深そうな顔で俺を見てくる。


なんだよ……


「ユアルス様とはどういう方なんだ?」


「ユアルス様は……」

……無表情で無口でぼーっとしてて死んだような方だ。なんて言えない。

でも実際そうだ。

突然黙った俺を不思議そうに見てくる。


「アル?」


「ユアルス様はむ、無口で、無表情で……綺麗な方だ。」


声を落としてボソッと言う。

そんな俺を唖然と見てくる二人。

「なんだよ」


不愉快そうに二人を見る。

「いや、お前がそんな嬉しそうな顔でそんなこと言うとは思わなかったから…」


嬉しそうな顔?

そんな顔してたか?

ついつい顔に手を当てる。


「やっぱりあってみたいなぁ」


のんきにカストルは言う。

そんなカストルを見ると後ろにある窓が目に入った。

「……雨が降ってきた」


俺がポツリと言うと二人とも後ろを向いてあめをみる。なんとなく無言で雨を見ていた。

その時だった。


突然空が光ったのだ。


え?


一瞬だった。

まだ降り始めなのに雷なんて……と思って立ち上がり窓に駆け寄る。

他の二人も俺と同じく窓に駆け寄った。

窓の外は相変わらず雨が降っていたがなんとだんだん雨が弱まっていった。


「な、なんだ……?」


キョロキョロ外を見ているとあるところから雲が退いていった。


そこは王宮の中でも端にあるところ。

あそこは……

「ユアルス、様?」


なにかあったのでは?!

そう思い勢いよく部屋を飛び出した。


後ろから二人もあわてて付いてくる。


「どうしたんだよアル!」


「あの場所の近くにユアルス様がいるお部屋がある!」


急いでついたユアルス様のお部屋。

コンコンと扉を叩き部屋にはいる。


部屋の中を見ると息が止まる。


いつもぼーっとしているあの綺麗な銀髪の赤ん坊はどこにもいなかった。


「ユアルス様?」


大変だ。これは俺の落ち度だ。

なんてことをしてしまったんだ……。


「ア、アル?」


恐る恐る声をかけるカストル。


「ユ、ユアルス様が消えてしまった……。」

唖然とベッドを見る。


「アル。落ち着け。晴れていった場所はまだ見に行ってないだろう?」


そうだ。まだ、肝心のあそこにはいってない!


俺は急いで部屋を後にした。





エルザの行動でアルナイルは勘違いをしていますね。

なんだかんだ言ってユアルス命なアルナイルです。


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