29話
「ん~…」
意識が覚醒した。
あれ、いつの間に寝てたんだっけ……
記憶をたどるがなかなか思い出せない…。
目をうっすらと開けてみると目の前には高い天井。
と
金色のなんか。
ん?
なんだこれ……
ていうかくすぐったいのだが。
じーっと金色の糸のようなものを見つめていると次は白いなにかが見えた。
「ゆーくーん!おっはよーっ!」
突然どすっと何かが体に乗っかってきて中のものを出すとこだった。
っていうかゆーくんってなに?!つーか誰だ!?
混乱が深まってきてまずは起き上がろうとするけど上に何かのってて起き上がれない!
「ゆーくんっゆーくーん!会いたかったよ!」
「ど、どいてーー!!!!」
やっと起き上がり乗ってたものを確認する。
すると、それは金色の糸に包まれた何かだった。
金色の糸の間から見えたのは真っ白い肌と紫色の大きな目がこっちを見ていた。
「ゆーくん?」
コクりと首をかしげてこっちを見る人物は少女のようだ。
ていうか冷静になって観察してみるとまさかの裸だった。
俺は前世から異性にたいして全く免疫がなくそれだけでもとてつもなく効果があるのである。
俺は再び鼻血を盛大に噴射しながら倒れた。
その光景は漫画のようだった。
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数分後アルナイルはユアルスの部屋を訪れていた。
「ユアルス様?そろそろご夕飯のお時間ですよ」
コンコンっとドアを叩く。
しかし反応がない。
「?ユアルス様?」
何度もドアを叩くが反応が全くない。
まさかっ!何かあったのか?!
「ユ、ユアルス様?!」
ドアを急いで開けて中にはいるとそこには驚きの光景が広がっていた。
目の前には真っ赤な光景。
顔中を赤に染めて倒れているユアルス様。
そのとなりにはわずかばかり返り血だろうものを浴びて隣でユアルス様の肩を揺する裸の謎の少女。
何があったのかよくわからなくて瞬時に動けなかった。
まさかあの少女がユアルス様を……と思った瞬間少女の目がこちらを向く。
それを見たとき私は驚愕した。
何故ならユアルス様と同じような顔立ち、そしてあの美しい宝石のような紫色の目をしていたのだから。
「……あるないる…?ゆーくんが倒れちゃった」
ゆーくん……?というかこの少女は……
ぽかーんと少女を見ていると唸り声が聞こえ慌ててユアルス様の元へと近づく。
「離れなさい!あなたは誰ですか」
やっと落ち着いてきて少女に声をかける。
すると少女は首をかしげてじっとこっちを見る。
「どーして?私は……それのなかにいたんだよ」
そう言うと少女は何かを指差す。
そこには何かが割れた痕がある。
「あれは……ユアルスの卵?」
まさかこの少女があの卵から出てきたのか?
こんなことって……
いや、それよりユアルス様だ!
「ユアルス様はどうしてこんな風に?」
「ゆーくん……赤いの一杯だして倒れた。」
長い金糸の髪がさらさらと揺れている。
……まずはユアルス様をどうにかしなければ。
慌ててユアルス様を抱えて部屋を出た。
長い髪を引きずりながら少女は後ろからトコトコとついてくる。
何故か少女のことを拒否できない自分がいる。
ユアルス様に顔立ちが似ているからなのかあの紫色の瞳で見られるのが弱いからなのか。なぜここまで似てる?
少女は片時もユアルス様から離れなかった。
ユアルス様の部屋に居座りいつまでもそばについている少女。
服を着せようとしたが着てくれなかったのでタオルだけはなんとか巻き付けることに成功した。
卵から少女が出てくるとは誰も思わないだろう。
前代未聞であろう出来事に溜め息を吐くアルナイルであった。
それから一時間ほどしたあとユアルス様は目を覚まされた。
卵の中身を考えるのに大変でしたがどうでしょうか?
ちなみに少女がユアルスに似ている理由はユアルス魔力だけをもらっていたからということもあります
髪はなんとなく金ですがもしかしたら銀に変えるかもしれません




