26話
今日は1話だけにします。
申し訳ないです
俺が何となく廊下を歩いているとやっぱりものすごく注目を浴びてしまうようだ。
髪かな……髪がいけないのか?
なんて悶々と考えていたとき後ろから声がかかった。
「ユアルス!待て!お前勝手に行くな」
声の主はシャールだった。
ふぅと息を一息ついてから俺のとなりに並んで歩きだす。
「お前あんな派手なことしてから教室出るのはいいが、まだ今日の予定しっかり教えてなかったろ」
律儀だなぁシャールは。
「魔法工学なんだったら今日の午後からだから午前は空いてることになる。教室は一階奥の実験室だ。」
「ありがとうシャール。助かるよ」
「他に質問は?」
「そうだなぁ……図書室ってどこにあるの?」
「図書室は別棟だ。あ、ほらあそこに見えるやつ」
渡り廊下から指差すシャール。
あそこかぁ……でかいな。図書室というより図書館だな。
「わかった。ありがとねシャール」
「俺はそろそろ授業が始まるから。なんかあったら声かけろよ」
手を降りながら去っていくシャール。
ほんとにいいやつだなぁ。俺も親切な性格になりたい。
なんて変な願望を呟きながら俺は図書館に向かった。
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「うわぁ……でか」
図書館に無事につき中に入ると第一声がそれだった。やっぱり図書室というより図書館だ。
でかいので圧倒されつつ俺はお目当ての物を探すことにした。
俺のお目当ての物はあの謎の卵の正体を調べる為である。ちなみにあの卵は毎日お腹で温めている。段々大きくなってきている気がして、卵も成長するらしいことは観察するとわかる。
さて、このありえない数がある本たちの中からどうやって探し出そうか……骨がおれる作業になりそう。
俺は適当に探し始めようと無謀なことを考えたときだった。
「ねぇ?何探してるの?」
凜とんした澄んだ声が辺りに響いた。
驚いて後ろを向くとそこには絶世の美女がいた。
腰辺りまであるサラサラの綺麗な黒髪に目を合わせると離せなくなりそうな茶色い目。髪に対して真っ白い肌。ぷっくりとした愛らしいピンクの唇。そして人形のように思わせるほど繊細な作りの顔。
あまりの綺麗さといきなり声かけられたこともあり固まる。
「あ、ごめんね?突然声をかけられて驚いた?」
悪戯が成功したとでも言うかのように笑う少女。
「えっと……いや、大丈夫です。」
小さな声で答える。
俺あんまり免疫ないから美女とか止めて欲しいんですけど。
早くもへっぴり腰になり俯く。
「それで……何探してるの?」
もう一度同じ質問をしてきて俺は我に返った。
そうだ。探し物をしなければ!
「えっと……たま、いや生物図鑑を探してるんだ」
「生物図鑑ねぇ……あっちの棚にあるよ」
そう言って行ってしまった少女。
俺は慌てて着いていった。
「ここだよ。それにしても生物に興味があるんだ?」
「あ、はい。教えていただきありがとうございます」
「いえいえお勉強頑張ってね」
最後に輝くような笑顔を振り撒いて去っていった。
なんだったんだろうあの少女。
まぁ探す手間が省けたからよしとしよう。
俺は本棚を見て適当にそれっぽいのを何冊かとった後机に置いて読み始めた。
一時間後、俺は本から顔を上げた。
無い。見つからない。
そう簡単に見つかるとはそりゃあ思ってなかったけどさ……あの卵明らかに珍しそうだし。
席から立ち上がりまた本棚に向かう。
卵大図鑑とか無いのかな。
あ、あった……俺ってばなんでこれ選ばなかったんだろ。
卵大図鑑を手に取り席に戻る。
パラパラとめくると親切にも色順になっているようだ。
虹色、虹色……
あった。あったけど生物名ではなく虹色卵の説明が書かれていた。
そこを読み進めていく。
読み終わり整理すると
虹色卵は強い動物が産まれる証拠で、とても貴重である。しかしまずこの世界ではほとんど見つからないのでどんな生物が虹色卵から産まれるのかはわからない。
とのこと。ということは何が産まれるかわからないってことだ。
まぁその方が楽しくていいんだけど。
あぁどんなの産まれるのかな。案外ドラゴンだったりして。ありえるな。
グリフォン辺りでもいいかな。
ヘビとかそういう系は嫌だな。
妄想を膨らませていると鐘がなった。
お昼の鐘である。
いつの間にかお昼になったんだ。
俺は急いで本を片付けると図書館をでた。
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「混んでるなぁ」
シャールと食堂につくとやはり混んでいた。
どっかにいい席ないものか。
キョロキョロと見渡すとひとつだけ席を発見。
急いでとろうと走り出す。
そして残り一秒でとられそうってときに急いで席に座った。
セーフ。セーフだよな?セーフだ。
席をとろうとしていた人は残念そうにこっちを見たあとあきらめて去っていった。
親切そうな人でよかった。嫌なやつだったら明らかに絡んできただろう。
「ユアルスすげぇな。」
「立って食べるなんて嫌だからね」
丁度二人席で向かい合って座る。
一段落ついてからシャールがお昼を持ってきてくれるらしい。俺は席をキープする係だ。
数分後美味しそうな食事が並べられていく。
旨そうだな!
俺は爛々と輝く目で食事たちを見る。
「さぁ食べよう」
シャールの声がかかるとかぶりつくように食べた。
うまい。すごいうまい。この世界の食事ってうまいよな。日本といい勝負だ。けど、病院食とは比べ物にならないくらい旨い。
食べ終わりふぅと一段落ついて紅茶らしきものを飲む。
「いい食べっぷりだったな。そんなに腹へってたのか」
「まぁいつもより集中したから体力つかったんだ。」
意外と調べものって体力使うんだよな。
「なるほどな。ところで何調べてたんだ?」
これ言ってもいいのか?
虹色卵って希少なんだろ?
考えたあと濁して言うことにした。
「生物のことだよ」
「へぇ……そんなに興味あるんだ生物」
「うん。まぁね」
そんなに興味があるわけではないけどそう言うことにしておこうと思う。
その後魔法工学の初授業を受けて初日は終わった。
魔法工学意外と面白かったな。




