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第四王子の奇行物語  作者: 秋鐘 要
少年編
26/31

25話

俺は今扉の前に立っている。

何故か……それは王立フェスティア魔法学校に入学したからだ。そして今俺はこれから三年間お世話になるクラスの前に立ってるとこだ。


それにしても……立派だ。

前の学校はただバカ広いというかお金持ちが通う感じの学校だったがここはなんかハ〇ー・〇ッターみたいで落ち着けるというか……。俺、ガチでこっちに入学しようかな。留学とかじゃなくて。

何てことを本気で考えていると中で呼ばれたので扉を開いた。

まっすぐと先生の近くに行き隣に立つ。

そして教室の中を見渡した。

そこにはたった10人くらいしかいなかった。

少ないなこのクラス。もっといるかと思った。

あ、シャールがいる。


「ユアルス殿挨拶を」


「はい。今日から三年間こちらの学校でお世話になりますユアルス・アストロ・トスカです。まだわからないことが多いので教えていただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします」


作法通りの礼をしてもう一度前を見るとなんかすごい見られてるというかなんというか……


「ユアルス殿はシャール殿の隣の席に座ってください」


「はい」


俺は一番後ろにいた唯一の顔見知りであるシャールのもとへと向かう。

向かってる途中クラスメイトの視線が刺さる刺さる。

なんとかシャールの隣につき一息ついた。

そのあとは簡単に説明が入り先生が出ていった。

すると、周りの生徒が立ち上がりそれぞれ行動し始める。

思ったんだが年齢層がさまざますぎる。

これがきっと前と今との大きな違いの一つともいえるのだろう。

俺は隣にいたシャールの方を向いた。


「改めてよろしくシャールさん」


「あぁ。シャールでいい」


クールというかなんというか。でも、かっこいい。

こういうの憧れたりする。


「ねぇなんでこのクラスは少ないの?これが普通なの?」


一番疑問に思ったことを聞いてみた。


「いや、ここは特別クラスっていって身分や能力でみて上位の者のクラスだ」


俺、無駄に身分いいからこのクラスなのか。

なんか……嫌だなぁ。


「ところで……ユアルスは科目を何とったんだ?」


「僕はね、魔法工学と生物学と治癒学に薬学かなぁ。確か」


フェスティア魔法学校は好きな科目をとれる。

俺は以上の四科目をとった。まぁだいたい役立つかなぁって思って。

魔法工学は興味あったし、生物学は卵について知りたい。というかこっちの世界の生物をもっと詳しく知りたい。

「お前。とりすぎじゃないか?まぁ三年しかないから急いでるのはわかるが」


「うーん。まぁそんな気がするけど実用性を重点的に置いたからこの結果かなぁ。」


「実用性だったら攻撃・守備魔法学だっていいじゃないか」


「僕あんまりそういう魔法得意じゃないわけじゃないんだけど自信なくってさ…それに騎士とかそういう仕事就く気ないし」


肩を竦めてそう言うと納得した顔で俺を見た。


「なるほど……将来のことを考えてその選択なのか」


「うん。俺は第四王子だからいつか城を出るように知識とかは蓄えておいて損はないし。なによりおんぶに抱っこはごめんだから。むしろこうやってタダで学校に通わせてもらってるから将来返せるくらいは働かないとね」


これが俺の中での常識だ。

まぁ言葉だけじゃ無いように証明しなきゃいけないけどな。それがまた大変なんだよなぁきっと。

前世では果たせなかった分頑張らないとな。


「お前すごいな……そんな考え思ったこともなかった。自分が恥ずかしいよ。そこまで考えてるなんてな……」


すごく感心したような顔で俺をまじまじと見るシャール。

ちょっと照れる。

俺がシャールの誉め言葉に照れていた時横から何かが飛んできた。

俺は反射的に避ける。

なんだなんだ?


「チッ……」


飛んできた物を見るとそれはナイフだった。

あっぶねぇし!!誰だよこんな物騒なもの投げてくるラリってるやつは?!

投げてきた方を見るとそこには猫耳をつけた女二人組がいた。


「おっしぃにゃあ。残念だったわねキャル」


「あいつ……避けるなんて思わなかったにゃ」


なんだこの躾のなってない猫共は?!

くそったれが!あんなの当たったら死ぬだろ!!


「あれは……キャルソン・グレント!ソラシィ・クマタ!お前らいい加減しないか」


椅子から立ち上がり鋭い視線を贈るシャール。

しかし俺の方は別のことで頭が一杯だった。

クマタだって………なんっつー名前!

それににゃあにゃあとか……猫だ!!!猫がいる!!

俺は机に突っ伏して肩を震わす。


「うっさいにゃ。ロミカン王国の政治関係で入学したにゃんて……卑怯だにゃ!」


「あら?怖くてにゃいちゃったの?可愛そうだにゃあ」


俺のことをさげずんでいるご様子。

まぁこう言われても仕方ないか。それは確かだし。


「しかも……髪があんなに薄くって魔法なんて使えにゃいでしょ?にゃんでこの学校に来たのよ」


一応使えるけどね。

そりゃあ勉強しに来ました。


「遊びに来たんだったら帰りにゃさいにゃ!」


俺に向けての罵倒が終わったようだ。

ふぅ……そろそら授業か?

俺はゆっくり顔を上げてシャールの方を見る。


「シャール。僕はこの後どうすればいいの?」


ニコッと笑って言うとそれを見たシャールは一瞬呆気にとられた後慌てて俺の質問に答える。


「えっと……たぶんユアルスの選択した授業で今日のやつは魔法工学しかなかったと思うよ……それに…」


ヒュンッ


今度はおっきいのが俺の目の前に飛んできたご様子。

それは猫だった。

あいつら本人が飛んできたか。


「あんたら…私達を無視するとはいい度胸にゃ……先輩への態度教えてあげるにゃ!」


シャキンッと俺へと爪を向けて降り下ろしてくる猫。めんどくさいと本気で思った。

俺は一番手っ取り早い移動方法の瞬間移動みたいなので猫の後ろに移動し足を引っ掻ける。

いきなりの行動だったからかそのまま転げ落ちる猫。椅子や机がひっくり返り大きな音をたてる。

なんかがっかり。ファンタジーものの小説とかではもっと獣人はしなやかに動くとか書いてたのに……。


「今、シャールが僕の為に喋っていてくれていたんだ。そんな空気も読めない先輩にはなにも学べることはないよ。いや、ご免なさいあったよ。…………こんな傲慢な人間になるなっていう教訓をおしえてくださったもんね。ありがとうございます」


俺は先輩猫さんにニッコリ微笑んだあと鞄を持って扉の方に歩いていく。


ヒュッ


今度は危なげなくさらりとかわすと扉にナイフが刺さる。

それにしても俺の身体能力すげぇな。転生万歳だぜ。

俺はナイフをとると後ろに投げた。

そして扉を開けて外に出る。

扉を閉めるために教室の中を見たとき唖然と腰を抜かしている猫が見えた。その猫の首のスレスレのところにナイフが刺さっていた。


「………20点かな?」


ポツリと呟いてから教室の扉を締めた。



ユアルス最後かっこよかったと思う。

私だけかと思いますが……


いやぁ魔法学校なんて憧れますね!私も行ってみたい!


それでは次回もよろしくお願いいたします



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