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第四王子の奇行物語  作者: 秋鐘 要
少年編
25/31

24話

「すごい……」


ついつい感嘆の声を漏らしてしまう。

先程ロミカン王国についたのだがその圧倒的なスゴさに目を疑った。トスカ王国とは全く雰囲気が違った。


目の前にはでかい白い城

周りを囲む建物は三階建てが多くて殆どが白。

右を見ると城より一回り小さい教会。

左は高さは城には劣るが十分高い建物。たぶんあれが王立フェスティア魔法学校だろう。


全体的に白を貴重とした街なようだ。

白が多いので清潔感溢れているがなんか宗教紛いな街なのでは?と思った。


それにしてもここが鉱山資源が豊富で貴金属の加工した物が有名な場所とは思えない。


馬車はまっすぐと城に向かっていく。

道中人がわいわいとしていて賑やかな街だなと感じた。

そして、城が近づくにつれ緊張してくる。


「アルナイルさん……城についたらどう挨拶したらいいですかね?」


こういうの初めてだからわからない。

緊張している俺を見て安心させるようにニッコリ笑った。


「大丈夫ですよ。作法通り挨拶すれば他は私がカバーしますので」


それを聞いて安心した。

もともとフォーマルさんに最低限の作法は習っていたので大丈夫だろう。

近づいてくるにつれて細部まで芸術の行き届いているのがはっきりとわかる。

俺は緊張を解すように卵を頬に寄せた。

ふぅと息を吸って吐いた後馬車が止まった。


「それでは行きましょう。ユアルス様」


「うん」


卵をポケットに入れて立ち上がる。

アルナイルさんが先に馬車をでてそれに続いた。

降りると辺り一面真っ白。


「長旅ご苦労様です。」


目の前になんか豪華な人が表れた。

きっとロミカン国王陛下の侍従長だろう。

俺を見て一瞬驚いた顔をしたがすぐに表情を引き締め挨拶をしてくる。

それにたいして俺は無言で頭を軽く下げた。


「国王陛下がお待ちです」


そう言うと俺たちを案内してくれた。


中はやはり色々な装飾品の数々が飾られていた。

芸術の方も有名なのだろうか?

本には鉱山資源の貴金属加工の物しか書かれていなかったが……。


「こちらが国王陛下のいらっしゃるところです」


豪華な扉の横に二人の兵士がたっていた。

侍従長は一つ礼をして兵士たちに目配せをする。

それに頷いた兵士は扉を開けた。


中は広く最奥の高く作られた場所には立派な玉座が置かれている。その玉座には頑丈そうな体格の男が堂々と座っていた。

この方がロミカン国王か。

覇気がすごいな……


部屋の中には国王陛下以外に王妃陛下であろうお方が座っていた。


二人は玉座から立ち上がりまっすぐと歩いてきた俺たちの方へとやってくる。


「お初にお目にかかりますロミカン国王陛下。私はトスカ王国第四王子のユアルス・アストロ・トスカと申します。この三年間お世話になります」


「ユアルス様の侍従をしておりますアルナイル・リース・レストニアです。よろしくお願いいたします」


俺が作法通りの礼をして挨拶をするとアルナイルさんもそれにしたがって挨拶をする。

目の前には金色豪華なクセのはいった髪に暖かな緑色の目をしている国王陛下。優しく俺に笑いかけている。


「私はこのロミカン王国国王のヒュードメット・ヨーク・ロミカンだ。よろしく」


ハイスキーな低音ボイスで挨拶をする国王陛下。

トスカ国王となんか似ているがきっとどこの国の国王もこんな感じなのだろう。

がっしりとした手を出してきたのでその手を握る。


次に国王陛下の隣にいた王妃陛下に視線を向ける。

こちらは線の細い人だ。黒い髪に黒の目。それとは対照的な真っ白い肌。とても美しい人だった。典型的な日本人の色なので好感を持てた。こちらも優しい微笑みを浮かべている。

良い感じの夫婦だ。


「私はロミカン王国王妃アリス・アン・ロミカンです。どうぞよろしく」


細い手を出してきたのでこちらも手を握る。


挨拶が終わると中央に置かれたソファと机の方に促されたのでそちらに行く。

前にロミカン夫妻が座った。その正面に俺だけが座りアルナイルさんは後ろに立つ。


「長旅ご苦労様でした。お疲れでしょう」


「いえ、お気遣いありがとうございます。……それにしても素敵な国ですね。この王都に訪れて驚きました」


「ありがとうございます。私たちの自慢の国なんです」


にこやかに笑う王妃陛下。


「三年でたくさんのことを学んでいってください。それに、鉱山資源なども盛んですので是非ともお土産になにか買っていってくれるとうれしいですな」


ちゃっかり宣伝をしてきた国王。

くえないお人だ。

けど、ほんとに土産に良いかもしれない。


「はい。ぜひそうさせて頂きたいと思います。ですがまだ来たばかりなのでゆっくり街を見たりしたいと思います」


「そうですね。三年もあるのでゆっくりとしていってください」


余程この国を愛しているのが伺える。

まぁそのくらい自慢の国なのだろう。


「さて、ユアルス様も疲れてると思いますしここで一先ず切り上げましょうか。………ユアルス様。学校ではうちの息子が色々教えてくれるでしょう。わからないことがあったら何なりと聞いてください」


「はい。わかりました」


「失礼します」


その時誰かが入ってきた。

俺より少し歳上であろう少年だった。

母親譲りのクセのない黒髪に黒い目。父親とは似ても似つかない容姿をしている。キリリとした意思の強そうな目をしている。理想の王子って感じだ。


国王が紹介する。

「うちの息子です。」


「お初にお目にかかります。ロミカン王国が第一王子シャール・ガイト・ロミカンです。シャールとお呼びください」


「トスカ王国第四王子ユアルス・アストロ・トスカです。ユアルスとお呼びください。これからよろしくお願いいたします」


頭を下げあう。

一つ一つの動作が様になる。


「ユアルス様とは同い年でしてね仲良くしてやってください」


同い年には見えないのですが……。

じっと見てくるシャールをこちらも見る。

なんか……気が合いそうな気がした。


「さぁ、今度こそお開きといきましょう。また後日お食事でもしましょう」


食事に誘われつつもお開きとなり俺たちは城を出た。




「ユアルス様!とても立派でしたよ!!」


感極まったという感じで賞杯を挙げるアルナイルさん。


「ありがとう……緊張した」


というか肩が凝った。

あんな堅苦しい挨拶。俺はもうやりたくないね。


「そんな風には見えませんでしたので大丈夫ですよ」


アルナイルさんがそう言うのでほっとする。


「アルナイルさん。この後は?」


「はい、この後はまずこれから三年間滞在する家に向かうだけですね。入学は明後日となります」


明後日についに入学かぁ。

夢…見つかるといいなぁ。

ふと、トスカ王国にいる人達を思い出す。


三年という期間でどのくらい学べるかわからないけど精一杯頑張らなきゃな。


改めて決意を固めロミカン王国の街に視線を移した。

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