10話
たぶん五歳になりました。
なんでたぶんかというとこの前アルナイルさんに“僕って何歳なの?”って明らかに意味不明なことを聞いたら“五歳ですよ”って言ってた。時間が経つのは早いと思う。
あと、最近年相応の話し方ができるようになって普通に話しても違和感がなくなってきたという嬉しいこともある。
魔法の方はこの前誰もいなかったから挑戦してみたかった龍を挑戦してみたら作れるようになった。なかなかの成果が出てきたと思う。でも最初のときは魔力がすぐなくなってヘロヘロになったけど練習することによっていろいろな種類の龍を作れるようになった。
まぁそんなことは置いといて最近衝撃的な事実を知った。それは俺がトスカ大国というこの国の第四王子らしいということである。なんとなく立派な場所だと思ったけど王子だったとは。しかもよくここにくるカストル兄様は第一王子らしい。次の跡取りやんと思った。でも、あの女顔負け童顔の兄様が次期国王とは到底思えない。
そして城ってことでもっと外に出たいと思えなくなった。まぁ別に部屋に籠ったままでもいいとは思ったけど。
そういえばアルナイルさんやカストル兄様、母様は殆ど来なくなった。いろいろ忙しいんだと思う。
まぁこちらも別にいい。魔力が練習する時間が増えて逆にいい。
今俺は光の龍と闇の龍を同時に出すという俺にとっちゃ大技を頑張って練習してる。最近では別に魔力が少なくてもいいかなって思えてきた。
俺はふんっと力を込めるとでかい龍が二匹表れる。魔力がいっきになくなる感じがした。
うぉー!!
「みんなできたよ」
周りの精霊たちを見るとパチパチと手を叩いてくる。へへっと照れながら龍の鼻先を撫でいた。
するといきなり
コンコン
どわっ!!
一瞬にして龍が消えて、ソファに座り直す。
「ユアルス!今日はお外にいきましょう!」
入ってきたのは今日も元気な母様。
満面の笑みでそう言うから断れないので頷く。
そして手をだしてきた母様の手を握り返す。
「実はユアルスはね赤ちゃんの頃にも来たのよ」
知ってるよ。アルナイルさんが大激怒してたよね。
「ごめんね。お外に連れていってあげれなくて」
母様は申し訳なさそうな顔をして俺を見た。
俺は首を横に降ってニコッと笑う。
すると母様もニコッと笑い返してきた。
俺は母様の笑顔が大好きだ。
なんか元気がでる。
ついた庭はやっぱり手付かずになっていて雑草が好き放題生えていた。
なんでこんな雑草だらけのとこにくるんだろう。
母様は花が嫌いなのかな?
「母様はお花が嫌いなの?」
「いいえ。大好きよ」
「それならどうしてここへ?」
母様は空を見上げながら言う。
「ここにいるとねなんだか安心できるのよね」
そう言うと俺の手をひきながらあのベンチに座る。
「母様。もしこのお庭を綺麗にしたらどう思う?」
母様は目をしばたかせてる。
そしてまた太陽のような笑みで
「それはとても素敵だわ」
穏やかな顔をして言う母様に俺も自然と笑みがこぼれる。
そのあと母様とこの庭をどんな風にするか話し合った。
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「あの……」
「どうしましたか?ユアルス様」
その日のよるアルナイルさんに話しかけた。
その内容は汚してもいい服をもらうためだ。残念ながら服は用意してもらっているのでよくわからない。明らかに高そうで上等な服を汚すなんてできない。早く働けるようになりたいと切実に思う。
「汚してもいい服はないかな?」
「汚してもいい服ですか………」
考えているアルナイルさん。
「わかりました。明日までに用意させましょう。ところでどうして汚してもいい服がほしいのか理由をお聞きしても?」
「お庭を綺麗にしたいなぁって思ったけど……」
「え?庭ですか?」
「うん。やっぱりだめかな……」
おそるおそるアルナイルさんを見るとパチパチと目をしばたかせてる。
「庭を綺麗をしたいなら庭師を用意させましょう。わざわざユアルス様がしなくても………」
「それじゃあダメなんだ……母様に喜んでもらいたいし。なにより僕が綺麗にしなきゃ意味がないんだ!」
強くそう言うとアルナイルさんは驚愕していた。
そして、嬉しそうな顔をして
「そうですか……それでは頑張らないといけませんね。私もお手伝いしますよ?」
と笑っていった。
俺は首を横に降って笑いながら
「大丈夫だよ。僕だけで」
そう言うとちょっとしゅんとした顔になったけどそれでもやっぱり嬉しそうな顔をしていた。
なんでこんなに嬉しそうなのかは全くわからないが許可がでてよかった。
よし明日から頑張ろう。そう決意して明日に備えていつもより早く寝るのだった。
なんかいきなりユアルスが変わった気がする……
って感じましたが気にしないでいただけると嬉しいです
さぁ気を取り直してついにお庭編スタート!
次回は雑草刈って池を作って………などなど
精霊や動物たちの力を借りながらせっせと庭を作りはじめるユアルス!
どうぞ暖かく見守ってください