第二十二話
断末魔が響く、それでやっと七体目。
着々と数は減ってきたが、魔力の消耗が激しい。
でもそれは女も同じのようだ。最初にくらべ土人形の動きが鈍い。
「さっさと無様に屈服しなさいよ!
なら許してあげるわ!私に泣いて詫びてひれ伏しなさい!」
僕を仕留められない苛立ちからか、さっきから攻撃が雑だ。
おかしいとは思いながらも力任せの猛攻を避けるので精一杯。
考える時間が無い以上、反撃の隙を狙うしかなかった。
「アンタの存在理由なんてそれだけなんだから!」
「違う」
それまで女の侮辱は全て無視していた。
初めての反論に目を丸くしたが、すぐに嘲笑を浮かべる。
相変わらず嫌な笑みだ。女はハッと鼻を鳴らす。
「じゃあ何だって言うの?
アンタが誰かに必要とされているとでも?
馬鹿げてる!悪質な冗談ね、おかしくてお腹がよじれそうだわ」
「……僕は貴方とは違いますから」
たった一言、それだけで大嫌いな赤色が限界まで吊り上がる。
ただ僕は当たり前の話を言っただけ。
青筋を立てる程の事ではない。だが女の癪に障ったようだ。
「生意気なのよ、二番目の分際でッ!!」
女が叫ぶと土人形の攻撃が激化する。
土の拳が脇腹のすれすれを付いた。
衝撃をまともに受けた後方の木が倒れる。
危ない所だった、もし当たっていたらと考えてぞっとする。
でもその分動作は大きくなり始めた、隙が増えている。
見え始めた好機に一瞬の弱気はすぐ振り払い立て直した。
同時に振るわれた拳をしゃがんでやり過ごした所で一気に攻め込む。
二つの石を投げ、それは先程襲いかかった土人形達を打ち砕いた。
残り一体。複数の方向から狙えない以上、僕の行動を防ぐ攻撃法に変えるだろう。
土人形が動けなくなるのが先か、僕の身体強化が切れるのが先か。
あとはもう魔力勝負になるはずだった。
「あっ?!」
「……かかったわね」
にたり、と気味悪く女が唇を歪める。
この時の僕は前面へ気を取られ、自分がどこにいるか分かっていなかった。
おろそかになった足下から腕へと巻き付く蔦。それは最初に倒した化け物だった。
僕が土人形を相手にしている間に再生していたのか。
土人形の動きに隙が見えたのはこちらにも魔力を注いでいたから。
理解した所でもう遅い。大きな足音を立て僕へ近づく最後の土人形。
「この私に手を焼かせて……気に入らない。
役目通り使ってあげようとしてたけど、もう良いわ」
全力で引き剥がそうと腕を動かせば、蔓は余計に締め付けてくる。
無駄よと冷たく言い放つ女。興味を失ったと語る目に光は無い。
「大人しく私に従ってたらアイツと同じ末路にならずに済んだのにね。
可哀想な二番目、でもアンタが悪いの、ぜんぶぜーんぶ、ね」
飛び散る血が当たらないように距離を置きつつ、
かつ処刑を見るには最適の場所から女は僕を哀れんだ目で眺める。
殺意を込めて睨み付けても、それは変わらなかった。
「ゴーレム、それ、めちゃくちゃのぐちゃぐちゃにしちゃいなさい」
土人形が僕の前に立った。防御魔法の詠唱を唱える。無駄なあがきだとしても。
ぶん、という音と共に腕が振り上げられる。
目前に迫る巨大な土の塊。だめだこれじゃ間に合わない。
(ごめんなさい、ごめんなさい、ジナムさん、ツェリさん……とうさま)
絶望に声を失う。襲い来る風圧に耐えきれず目を閉じた




