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第一話

男女カプですが主人公が男扱いの為、BLに見える描写があります。

シリーズキャラが出しゃばる為、シリーズを全て見てないと意味がわかりません。

視点がコロッコロ変わりますが表記はありません。

二ヶ月前、僕は初恋を望まぬ形で叶えてしまった。


「好きだ」


顔を横に逸らしながら彼は言う。

赤く赤く染まっていく苦虫を噛みつぶしたような顔。

表情だけなら勘違いしそうだが彼の顔色と性格を考えるに、

羞恥心で悶えているのだろう。


おかげでこれは告白なのだと理解した。

気付かないフリをするべきだったのかもしれない。

でもそれなら彼はわかるまで伝えてくるはず、結局は逃げられない。


「お前に言ってる、リヒト」


あまりの突然のできごとに周囲を見る僕へ彼は宣言した。

誰も居ないが、もしかしたらとの予想は完全に否定されてしまう。

唇を強く噛みしめながら彼は僕の返事を待っていた。


「……僕も、ジナムさんが好きです、けど」


いつのまに背へ腕が回されたのか。

続くはずの拒絶の言葉は彼の腕に遮られる。

間合いを詰める早さはさすが剣闘士と言うべきなのか。

どくどくと僕の耳の傍で彼の鼓動が昂ぶっていた。

温かいのに熱い。密かにも隙間のない距離。

こんなにも誰かを傍に寄せたのは初めての事だった。


「それだけでいい」


お前の想いがあるならば。

そう呟かれた事で彼の想いの深さを知る。

嬉しかった、嬉しくてたまらなかった、でも。

僕は同じ位怖くて仕方無かった。いつか終わる、この恋は。

本当の僕を知った時、彼はきっと僕を軽蔑するのだろう。


(どうして僕は)


己の境遇を呪い嘆く心。胸の痛みは増していく。

僕はいつまで隠せるのか、どこまで隠すのか。

終わりへの恐怖に冷える心は、彼の胸のぬくもりですら温まらない。


(女に産まれてしまったんだろう)

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