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100日後、巨大隕石落下  作者: 橘靖竜
第一章 隕石発見

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Day94 情報爆発


《SNS・午前0時03分》


「直径220m、衝突確率15%。NASAもJAXAも知っている。

だが、誰も言わない。#地球終了まであと100日」


投稿後、30分。リポスト数は10万を超えた。

午前3時には100万、夜明けには世界トレンド1位。


“#地球終了まであと100日”

“#オメガ”

“#NASA隠蔽”


誰もその投稿者がJAXAの技術職員・城ヶ崎悠真であることを知らない。

だが世界は、もう彼の存在を嗅ぎつけ始めていた。



《アメリカ・NASA/JPL・CNEOS(軌道解析)》


アンナ・ロウエル博士は、朝のニュースを見て固まった。

画面には日本語のタグが英訳されて流れていた。


“#100DaysUntilImpact”


「……誰が出したの、これ。」


部下が答える。

「Twitter経由の匿名投稿。内容は正確すぎます。

 JAXA内部か、それとも政府リークか。」


アンナはすぐに電話を取った。

「JAXAの白鳥博士に繋いで。彼女なら何か知ってる。」



《日本・JAXA/ISAS 相模原キャンパス(軌道計算・惑星防衛)》


電話の着信音が鳴る。白鳥レイナが出ると、アンナの声が聞こえた。

「あなたの部下? 誰かが出したのよ、軌道データを。」


白鳥は息を呑む。

「……悠真。」


「政府が動く前に、世界が動き出した。

 “真実”はもうネットのものよ。」


白鳥は一瞬だけ目を閉じた。

「わかってる。けど、まだ確定してない。」


「確定なんて、いつだって“後づけ”よ。

 でも人の恐怖は待ってくれない。」


通話が切れたあと、白鳥は深く椅子に沈み込んだ。

夜明け前の観測室が、どこまでも冷たかった。



《東京・記者クラブ》


社会部記者・桐生誠の携帯が震えた。

「来たぞ……“#地球終了まであと100日”。」


同僚が叫ぶ。

「これ、昨日の匿名メールと一致してる! 本物だ!」


桐生はすぐに原稿を書き始めた。

「政府筋はコメントを避けているが、複数の専門家によれば――」


デスクが止めに入る。

「まだ早い。公式発表が出てない。」


「でも、もうニュースは始まってる!

 “ネットが先に報道した”んだ!」


上司は頭を抱える。

「お前、わかってんのか。

 これは“情報の津波”だ。止められねぇぞ。」



《日本・総理官邸 危機管理センター》


鷹岡サクラは、モニターに映るトレンド画面を見つめていた。


#地球終了まであと100日

#NASA隠蔽

#JAXAリーク


「……出たのね。」


藤原が言う。

「SNSは完全に暴走。

 “日本政府が隠した”という見出しが海外メディアでも拡散中です。」


黒川教授は焦ったように言った。

「誤報です! まだ確定していない! ただのデータ段階だ!」


中園広報官が静かに言う。

「でも、“誤報”だって人は信じません。

 “政府が何も言わない”ことが、もう“証拠”になってる。」


サクラは立ち上がる。

「つまり、言葉を奪われたってことね。」


藤原が尋ねる。

「総理、どうされますか?」


「私たちの声で、取り戻すしかない。」



《東京都内・一般家庭》


テレビが一斉に臨時ニュースを流す。

「ネット上で“巨大隕石衝突説”が拡散しています。政府は公式発表を――」


母親がスマホを握りしめた。

「本当に落ちるの? 地球に?」


小学生の息子が不安そうに問う。

「ねぇ、お母さん。僕たち死んじゃうの?」


母親は言葉に詰まる。

ニュースのテロップには、“オメガの正体”という特集タイトル。

そしてスタジオの科学者が言った。


「“3%”が“15%”になったとすれば、もう“天文学的な偶然”ではありません。」


その声が、全国に響いた。



《東京郊外・廃教会》


白いローブをまとった女が、配信カメラの前に立つ。


天城セラ。


その目は深く、静かに光っていた。


「皆さん、恐れないで。

 これは“終わり”じゃなく、“始まり”です。」


コメント欄が一瞬で埋まっていく。

〈セラ様戻ってきた!〉

〈これは神の試練?〉

〈祈れば助かるの?〉


セラは微笑む。

「“光は神の息吹”。

 天が炎を降らせるとき、人は新しく生まれ変わるのです。」


数十万人がその映像を見ていた。

SNSではすぐにハッシュタグが並ぶ。

#光は神の息吹

#黎明の時が来た



《日本・総理官邸 夜》


官邸の電話が鳴り続けていた。

海外メディア、国内局、議員、抗議、市民。

全員が「真実を話せ」と叫んでいた。


サクラは深呼吸し、マイクを前に立つ。

「……私たちの国は、恐怖に飲まれない。

 そして、科学を信じる。」


背後のスクリーンに“プラネタリーディフェンス地球防衛連絡本部”の設立ロゴが映る。


「明日、正式に記者会見を開きます。

 “オメガ”とは何か。私たちは、どう戦うのか。

 すべてを、私の口から伝えます。」


中園がそっと呟いた。

「総理、それで混乱が収まるとは限りません。」


「わかってる。

 でも、“誰も知らないこと”が一番の地獄よ。」


窓の外には、カメラのフラッシュのような稲妻が走った。

それはまるで、夜空が一瞬だけ白く燃える“予告光”のようだった。



本作はフィクションであり、実在の団体・施設名は物語上の演出として登場します。実在の団体等が本作を推奨・保証するものではありません。

This is a work of fiction. Names of real organizations and facilities are used for realism only and do not imply endorsement.


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