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番外編① 香草の贈り物

―ミナ視点/本編第一章の裏話―


その日、雑貨屋リリィ堂には珍しい客がやってきた。

 手入れの行き届いたマントを羽織り、しかしどこか不慣れに歩く青年。


「……あの、これをください」


 彼が差し出したのは、薬草棚の奥にある“香り袋”だった。

 旅人や兵士が好んで買う、疲労回復と安眠の香草。


「お仕事、大変なんですね?」

 自然と口から出た言葉に、青年は少しだけ笑った。


「ええ、まあ……人前に出る仕事でして」


「ふふ、きっと立派なお仕事なんでしょうね」


「いえ、そんな……」


 その照れくさそうな笑みが印象的だった。

 けれど、その笑顔を見た瞬間――どこかで見たことがあるような気がした。


 ミナは首をかしげながら、包み紙に香草袋を包む。

 香りがふわりと広がり、青年の肩の力が少し抜けたように見えた。


「この香り、なんだか……懐かしいです」


「おばあちゃんの調合なんです。疲れたときに効くんですよ」


「……そうですか。いい香りですね」


 そのときの彼が――まさか王子だったなんて。

 あの瞬間を思い出すたび、ミナは今でも少し頬が熱くなるのだった。

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