鬼畜(30)
中庭に着くと、天気もいいせいか私達の他にもけっこう人が居て、あちこちから笑い声、話声が聞こえる。
少しの空きスペースを見つけ、2人してそこに座ると、
いきなり、隣から、
「昨日も、空に会えなかった~」
と、聞こえるではないかっつ??
は??空??上に見える空の事??いやいや、昨日も快晴で、空は見えたから(快晴じゃなくても、空はあるだろ)
「空、いつになったら、指名させてくれるんだろ~~」
「今日もねばってみたら?空来る日でしょ?」
隣の話につい、耳がダンボになる。
指名??指名ってコトは・・
「空の事でしょ。」
「!!」
りかちゃんがそう言ってきた!
「え?空??やっぱり空の事、話してんだっ。」
小声で、聞き返すと、
「この学校でもファンクラブあるみたいだし~。」と、サラッと答えるりかちゃん。
は??ファン??ファンクラブ??
あの鬼畜にっつ???
「だから、美未香が空の指名とれたなんてコト、バレないようにね~♪」ふふっ
そこで微笑かっ!お嬢様!!
それに別に指名とれたんじゃなくて、無理やり取らされたんだけどなぁ・・
「でも、もうお店には行かないんだから関係ないか。」
りかちゃんのその言葉に、私は固まった!
ハッ、はぁぁぁぁぁぁぁっ!!そ、そうだったぁ~~~~
りかちゃんに「もうお店に行かない」宣言しちゃってたんだぁぁぁ!!
「・・・・」
「ん?美未香?」
「・・あのぉ・・ソレなんだけど、なぜだかどうなってんだか・・も少しだけ、通わなきゃイケなくなったというか・・」
モゴモゴそう言うと、
「ふふっ♪良かったじゃない」
と、天使の微笑みも+α
「んー・・」 ん???
良くはないんだけどね?でも、ま・・。んー・・いっか・・。
しかし・・空・・マジでモテるんだ。
その空が、実はココの学校一秀才の相馬くんだなんて知ったら、皆驚くだろ~な・・
あんなダサダサ変装する意味も、空が自分で言うだけあって、
納得するよ。ぷぷ
あ、でも今日、空、お店に来いって言った。
え?じゃ、この子たちとガチあうんじゃ・・
そうしたら、私が空の指名とれたとかなんとか誤解されるんじゃありませんかっ??
うわぁ!!ソレちょ~困るし!ファンクラブなんて敵に回すほどの度胸ありませんしっ!
ど、どうしよっどうしよ!
「!」 あ、そうだ、空に電話して、行けないってー・・・―・・言えないよね。うん・・
ソレはあきらめよう・・
だったら、お店じゃなくて、別なトコ・・じゃ、ダメなのかな?
モグモグ・・
「美未香、考えコトしながら食べると、消化に良くないよ。」
「え?あ、うん」 りかちゃんにそう言われ、まずは集中して、お弁当を食べきる事にした! モグモグモグ
「ごちそーさま♪」 「早っ!」
食べ終わると、すぐに私は、お弁当を包み直して、立ち上がる。
「ん?美未香?」
「ごめん、りかちゃん、ちょっとヤボ用♪」 と言って、携帯を握りしめると、裏庭へと走った。