鬼畜(145)
お店に着くと、そこは相変わらず華やかで1人で入ろうとするには、やっぱりまだま勇気がいる。
でも、そんな事は言ってられない!
よし!と思って1歩を踏み出したところで
「美未香お嬢様?」
と、後ろから声をかけられた。
その声に聞き覚えのあった私はすぐに振り向き
「りくさん」と名を呼ぶ。
のと同時に、
「今日は空いないですよ?」と、やっぱりそこに居たのはりくさんで。
「え?」 それよりも、今言われた言葉に反応する。
「?」
「あ・・の、休むって連絡でもはいったのでしょうか?」
どうも、リクさん相手だと、私の言葉もキレイになってしまう
「はい。お店に連絡がはいったみたいですよ?本人からじゃなかったみたいですが。」
「え?」
「どうかされましたか?」
「あ、いえ・・」
連絡・・お店には入れてるんだ。
私のとこには何もきてないのに。
・・・でも、本人からじゃないってドーユー事?
「あの、本人、その、空が直接連絡したんじゃなかったら、誰からの連絡だったのでしょうか?」
「え?・・私が出たわけではございませんので、なんとも言えないのですが多分ご家族のどなたかでは?」
「・・・・」
家族・・
空はそんな家族なんていないって言ってた。
ううん、もしかしたらホントは家族も居て家もあるのかもしれない。
下を向いて考え込んでる私を見て
「どうかされたんですか?」
と聞いてきた。
それは、どっちの事を聞いているんだろう。
私?
それとも空?
目の前には穏やかに笑う上品でキレイなリクさんの顔。
この人に相談してみようか。
そんな事を一瞬考えてしまった。