鬼畜(140)
私はそのままゆっくり歩き出し、1回も振り返らず家へと戻り部屋へと向う。
途中、涙が零れた。
ぽろぽろ零れてきた。
止められない
部屋に入った時に声を殺して泣いた。
どうして?
信じているんでしょ?
大丈夫なんでしょ?
なんで泣いてんの?私。
ばかじゃないのマジで。
「うん」なんていわなきゃ良かった。
・・・なんで、私はそこで強がったりしちゃうんだろう
ホントは
空が他の女の手を握るのも、目を会わすのも微笑むのもほんとはすごく嫌なくせに
それが本音なくせに!
空にも正直に言えばよかったじゃんか!
私の心が葛藤する
麗騎士で働くのもイヤ
だから1回のショーで終わらせる
でもそれもイヤ
他の人と居る空を見たくない
でもそれしなきゃ辞められない
だから無理してる?
物わかりのいい女になってるだけ?
ううん
それともう1つ
そこを辞めたら空はこれからどこに住む気なのか?っていうこと。
すごく気になるくせに聞けずにいること
聞いたところで私に何かできるわけでもないから
結局
ずるいんだ私は。
空は私に救われたって言ってくれてるけど
ホントにそうなのかな?
ホントは私の存在が無かった方が無理をする事もなくて良かったんじゃないかな
次から次へと溢れる思考と涙。
っ・・どうして・・
う・・
こんな・・っ
私はいつもこんなことばっか考えてるの・・っ
月末の元カノとの事もあるせいかもしれない。
それがまだ解決してないうちにまた一つ不安になる事ができて、私の頭は崩壊状態だったのかもしれない。
空の前では虚勢張って平気そうにしてたけど、一人になった途端・・これだ。
なんかの糸がぷっつり切れたみたいで、
涙が次から次へとあふれ出てくる。
もっと・・・普通の人にすれば良かった。
あんなにモテる人じゃなかったら、こんな不安にならなかっただろーに。
あんな華やかな世界いる人とは住む世界が根本的に違う
そこからがもう過ちだったんだ。
でも、そんな事を思っても今更遅い
それは自分の心が1番わかってる。
こんなことを後悔してちゃダメなんだ。
そんなキモチを心の隅に隠し持ってしまった私は、
この後、大変なことをしてしまう。
それがおきたのは・・
月末、空がお金を持って元カノに会いにいってる最中だった。