鬼畜(100)
「あの時・・お前の手を握ったとき、
体ン中に違和感を感じた。」
「?」
「すげ、心臓の動きが早くなってんの、 は・・」
少し戸惑った笑いをして、空は髪をクシャとさせる。
「?」
「たかが・・手ぇ握っただけだぜ?」
「ぇ・・」
「笑っちまう、 ・・は」
「・・・」
「お前の事、憎らしかったんじゃねーのかよ、崩してやんじゃなかったのかよ!
・・・っ、全然、違うじゃねーか!」
「!」 そ・・ら??
「そうじゃねぇ、ホントはそんなことしたいわけじゃねーって!
・・
マジ気付かされた。」
「!」
真剣な顔で、私を一直線に見つめてくる瞳。
「お前を見てると、黒く濁ってた気持ちが消えていく。」
でも・・
なんで上から目線だ?!
「お前と居ると、・・生きてるのも・・いいかなって思えるようになる。」
あ!、そうか、私がしゃがんでるからかっ!!
え?今なんて??
「お前に会えて、ホントに・・救われたんだ」
え??
ぁ・・たしか昨日も・・空、そんなこと言ってた。
・・私が救いだったって・・
いやいや、その先!
ソレの前になんて言いました??
「そ、空っ、あの、いっ、生きてっとか・・言わなかった?」
その問いに、ニッコリと笑顔を見せるだけの空。
え・・・
あ・・・
前、初めてココに来た時、
空の言ったあの言葉。
私の勘違いだって言って笑ったあの言葉。
あの言葉は・・
≪ココに来ると・・飛びたくなる。≫
ホントだったんじゃん
「ホントだったんじゃん!!」
「!」
「空、飛ぶつもりだったんじゃん!」
「!!」