鬼畜(10)
次の日、登録金を確認してそれをカバンにしまうと、学校へ急いだ。
キョロキョロ。
「誰か探してんの?」
ぎょっ!
「!」振り向くと、ウチのクラスで、一番、いや、クラスだけじゃない学校一、秀才の
相馬くんが眼鏡を直し立っている。
うわ・・こーゆー頭のいい人ってニガテなんだよねぇ・・
「鈴木さん?」
「え?あっ、とああ、りかちゃんを・・」
私がそう答えると、
「・・佐久間さんなら、さっき、隣のクラスで見かけたよ。」
そう言って、少し口角をあげ、教室へと入っていく。
「・・ありがと。」
わ・・相馬くん、今もしかして笑った?
笑ったのかな?は、初めて見たよ!彼の笑顔!(や、笑顔と呼べれるかわかんないけど)
その後、りかちゃんが教室へ入ってきた。
「りかちゃ~ん」
「あ、美未香おは♪昨日どうだった?」
すぐにそう聞いてくれる。
「聞いて聞いてっ!!」 しがみつきながら、私がそう言うもんだから、
りかちゃんは、顔を引きつらせ、
「わかったわかった、じゃ、HR終わったら、更衣室に行こ。」
と言って、私の体を引き離す。あぅ・・
HRが終わると、すぐに、私とりかちゃんは更衣室に駆け込み、
昨日の話をした。
「空?」
「うん!!もうちょ~最悪!ちょ~俺様!信じられないあんな奴があそこの住人なんて!」
「じ、住人て・・」
「なんで、あんな奴があそこで働けるわけ?私が社長だったら、間違いなくクビよ!
ク・ビ!!」
「え・・っと、空ってそんなキャラじゃないハズだけど・・?」
「だ・か・ら!ソレは営業用なんだって!つまり猫かぶってんのよ!あいつ鬼畜のくせに!!」
「鬼畜・・て・・へぇ~でもなんか信じられないなぁ」
「りかちゃん騙されてんのよ!あいつの化けの皮に!」
私の興奮は治まらない。
ゼェゼェ
「まぁまぁ、落ち着いて。美未香」
宥められて、呼吸を整える私。
そして、言葉を続けるりかちゃん。
「・・空はね、あのお店で不動のNO.1なのよ。」
は??
「あの容姿でしょ?それに加えて、紳士だから、指名が絶えないんだけど」
へ???し、紳士??紳士って、今、言いました?あなた!?
「でも、指名は取らないのよ彼。」
「は?」
「だから、今回、美未香の指名を受けてくれたってのは、もうそれだけで、ちょ~奇跡なんだよ!」はぁ??奇跡??
・・あ、でも、あいつも言ってたっけ。そんな事・・
だけど、「そんなの全然嬉しくないし!ちょ~迷惑!」
ホントホント大迷惑!!!
「はぁ・・空ファンに聞かれたら、殺されそうなセリフだね」
りかちゃんにため息混じりでそう呟かれ、
「いくらでも、代わってあげるよ!とにかく、今日・・」
あっ!そうだ!大事なコト聞くの忘れてたっ!
「ねぇりかちゃん!!空のシフトってわかんない?」
「え?シフト?」
「うん!」
そう!今日は絶対にあんな奴の顔なんて見たくないから!
でも、あそこへお金払いに行かなきゃいけないから!
「んー・・じゃリクに聞いてみるか・・」
とそこで、
キンコン~~~♪カンコン~~~♪
始業のベルが・・
「あ、じゃ、リクにメールだけ送っておくよ。返信きたら、教える。」
「うんありがと♪」
そうして、2人して更衣室から出ると教室へ急いだ。