58 暑いんだから泳がなくっちゃ(2)
青い海。白い砂浜。輝く太陽。
そして……。
「おまたせ〜」
ズバン!
と存在感を示しているのは、ビキニにショートパンツ姿のアンナだ。
「うわ〜ぉ」
と、日向が感心した声をあげる。
特別オシャレしているわけでもないのに、これが天然モノだというのだから、正直流石としか言いようがない。
その後ろに続くのは橘だ。
突出したところはないながらも、手入れがよく行き届いているその素肌は、どこかのモデルなんじゃないかと思える。
バランスの取れた、一般的に美少女と呼んで差し支えないタイプだ。
「アタシの水着姿は高いよ〜」
「……かかった金がだろ」
「うっさい」
橘の後ろに控えているのが吉岡。
水着の上に地味なTシャツを着ているのだが、その存在感はTシャツなどでは隠しようもなく、正直目のやりどころに困る。
「綾様も負けず劣らずだよね〜」
「も〜、優香ちゃん。卑猥な目で見ないでほしいわ」
そして最後に現れたのが、莉子だ。
白いビキニの上に、白いパーカーを羽織っている。手には、大きな浮き輪。
鎖骨があらわになっている。その下に柔らかそうな胸があるし、ツルツルの腹が見えている。脚もそのまま見えているし……。
「…………?」
こ、これって、見えてていいものだったか?
見ていいんだっけ?
冷や汗が出て、僕はぐるりと目を逸らした。
えっと……。え……?
莉子の水着なんて見慣れていたはずだ。海だってプールだって、ずっと一緒だったんだから。
そりゃあ、今までもなんとも思ってなかったわけではないけど、ここまで動揺するのは初めてだった。
けど、誘わないと。
意を決して、くるりと振り向く。
振り向くと、しょんぼりとした莉子がこちらを見ていて、いささか動揺してしまった。
見上げてくる瞳にドキドキする。
海の方で、「きゃぁ〜!」と大きな声が上がる。
ふと見ると、アンナが橘と吉岡に連れられて海へ入っていくところだった。
男二人は、しらっとした顔でこちらを見ている。
……こいつらは無視していいか。
莉子に向かって、
「置いてかれた?」
と、冗談めかして言ってみる。
莉子は、
「別に、泳げないわけじゃないんだけどね」
と、きゅっと浮き輪を掴むと、女の子たちの方にむ〜っとした顔を向けた。
「僕と行こうよ」
笑顔を見せると、莉子は相変わらずむ〜っとした表情のまま、僕の後についてくる。
思いがけず、二人でいる時間が持ててしまった。
もちろん、この時間が欲しくて海に誘ったわけだけど。
海へ向かう。
できるだけさりげなく、波と戯れている女子たちとも、パラソルの下で手持ち無沙汰になった男二人とも離れる。
海は、ザブン、と大きな音を立てて、波を作っている。
裸足の足を水につけると、もぞもぞとくすぐったさを覚えた。
「わっ、冷たい」
莉子のはしゃいだ声が、すぐそばでする。
バランスを崩しかけた莉子の手を取ると、
「へへっ」
と莉子は笑顔を見せた。
……かわいい。
改めて思う。海に誘ってみてよかった。
尚人くんは優香ちゃんと綾ちゃんに感謝すべきですね!




