16 体育祭(1)
そして、体育祭当日がやってきた。
「得点ボードオッケーです!」
「テントが遅れてます」
「写真いいですか?」
準備は万端にしたはずなのに、早朝からやることはいっぱいだ。全てがスケジュール通りにいくわけでもない。
くしゃくしゃになったスケジュールのプリントにメモをしながら準備を進めて行く。
そして最後に、実行委員がみんな、校庭で輪になった。
「放送オーケーです」
「来賓受付準備完了です」
「医療班準備オーケーです」
「準備完了!」
3年生の委員長が手を上げる。
「みんな!今日は安全に!全員が勝利へ突き進めるようにサポートしていくよ!」
「おー!」
あたしは、元気よく拳を空へ突き上げた。
「いよいよだなー!」
隣にいた中川君が、隣で委員長に負けない大声を出す。
「うん!今日はよろしくね!」
「おお!」
ガシッと、腕を叩き合わせる。
校庭に人が集まる。
みんな、お揃いの体育着にはちまきを巻いている。
「莉子〜」
優香がほにゃっとした顔で、こちらに手を振った。
「おはよー」
「はちまき、巻いたげる」
見ると、女の子たちはリボン結びだのポニテに巻いてみたりだの、はちまきを可愛くアレンジして巻いていた。
優香のはちまきは猫耳アレンジだ。
はちまきは優香に手渡し、あたしは優香の好きなようにさせる。
「今日は1日忙しいの?」
綾が心配そうに頬に手を当てて聞いてくる。
「そうなんだ。せっかくだけど、ほとんど競技見れないと思う」
「中川君も?」
「そう。まあ、中川君は借り物とパン食い競争にも出るから、もうちょっとこっちにいるかな」
「残念〜」
優香が抱きついてくる。こんな汗臭いイベントだっていうのに、優香はいい香りがした。
頭の上のかわいいリボンを触ってみる。
今日は、なかなかにいい天気だ。
「いい一日になるといいな」
「うん、がんばろ〜」
クラスみんなの声が、青い空にこだました。
少し離れたところに、尚の横顔を見つける。隣には、相変わらずアンナちゃんが絡みついていた。
いよいよ、体育祭の始まりだった。
競技は、3年生の棒倒しから始まる。
勢いをつけて体育祭に臨もう、なんていう気持ちが詰まっているのだと聞いたことがある。
「うおおおおおー!」
と歓声が上がった。
始まってみると、なかなかに感慨深いものだ。
あたしが準備したイベントを……みんなが楽しんでくれている……。
「莉子」
声がかけられる。
振り向くと、そこにいたのは拓真だった。
「来てくれたんだね!」
ちょこちょこ寄っていくと、爽やかな優しい笑顔で迎えてくれる。
……さてはまた、寝不足かな。
「莉子は、何に出るんだ?」
「あたしは、最後のリレー」
「あ〜、チョコチョコ動くことにかけては、右に出る者がいないもんな」
「あたし、結構速いんだからね!?」
いつも通りの会話。
拓真はいつも、あたしを安心させてくれるんだ。
「あたし、頑張るから!」
決意の瞳を向けると、拓真の手がポンポンとあたしの頭に乗せられた。
「ああ。楽しみにしてるよ」
体育祭の始まりです。
いい一日になるといいよね!




