13 体育祭実行委員(1)
「では、体育祭の実行委員を決めたいと思います」
教室の中で、学級委員の声が響いた。
5月の体育祭の準備が、もう始まっていた。
「はーい、俺〜!」
真っ先に手を挙げたのは、中川日向くん。去年今年と、あたしと尚と同じクラスで、尚と仲がいい男の子だ。一緒にバスケをするくらい。
そこから、女子たちの攻防戦が始まった。
ここで颯爽と上げると、中川くんに気があるように見えてしまうから注意が必要だ。
けれど、中川くんも爽やか男子の一人。
あわよくば一緒に活動したい女子は、そこそこいるようだった。
すぐに手を挙げれば怪しまれる。けれど、他人に取られるわけにはいかない。
タイミングが重要だ。
仕方なさを装えれば、満点というもの。
「女子、誰かいない〜?」
学級委員が声を上げる。
そうだ。今だ。
その時だった。
「莉子とかどうなん?」
なんていう声が教室の何処かから聞こえた。
なんて余計なことを。
特にやりたくもないもので他の女子の反感を買うのは、あまり好ましくないことなのだけれど。
「あたし、リレー走らないとだから」
とかなんとか、適当に理由をつけてお断りした。
なのに。
「あ、じゃあリレーだけでいいからさ、実行委員やってくんね?」
なんて、学級委員が言った上に、中川くんが、パッチンパッチンとウィンクの真似事なんてするものだから。
あたしは断りづらくなってしまった。
結局、若干名の恨みを買いつつ、体育祭実行委員をやることになったのだった。
ついでに、リレーの選手まで。
「これからよろしくな」
初の委員会の集まりの日、中川くんがフフンと笑う。
「よろしくね」
と、あたしは中川くんを見上げた。
「で、なんでお前らまでいるわけ?」
放課後の教室。
ここで中川くんと二人で、今後の計画を立てるつもりだった。
それなのに、隣で覗く視線が二人分。尚とアンナちゃんだ。
……こんな所でまで二人の姿見たくないんですけど。
あたしは呆れた顔で、今後の予定をノートにまとめていく。
「僕は、日向と帰ろうと思ってたからさ。付き合おうと思って」
尚はなんでもないような顔をして言う。
アンナちゃんはにっこりと笑った。
「ワタシは尚人とイッシンドウタイだから」
なんて言いながら、尚の隣に椅子をピッタリとくっつけて尚にひっついている。
……ふぅん。
イチャつくなら、別の場所でやって欲しいんだが?
そこで、中川くんが真剣な瞳を見せた。
「まあ、俺たちも、一心同体だから?」
なんて、この空気を知ってか知らずか中川くんがあたしの手を握ってくる。
「一心同体ねぇ」
あたしは繋がれた手を眺めた。
「どっちかっていうと運命共同体かな」
言うと、黙ってしまった尚に、中川くんが明るい笑みを向ける。
「ふぅん」
尚のそっけない返事。
結局のところその日から、ちょくちょく4人で作業をすることが多くなったんだ。
尚は色々と不満がありそうですね。




