12 ダメだなんて言われたら
結局、午後もあたしは公園にいた。
公園で遊ぶなんて、小学生以来なんじゃないかな。
晩御飯の時間には少し早い頃、尚と二人、帰途へつく。
「今日は、ありがと」
「なんでだよ。財布持ってきてもらったの、僕の方だし」
「楽しかったから」
「へへ」と尚に向かって微笑む。
「そりゃよかったな」
こんなに自然と二人で一緒にいられるのは久しぶりだ。
ただ、住宅街を二人で並んで歩いているだけ。
少し前だったら、毎朝こうだったんだけど。
「みんないい人だったし」
「それは……」
尚が眉を寄せる。
「お前が警戒心皆無だからからかわれたんだよ」
「……?からかってくるのは尚じゃない」
口をとがらして、不満をあらわにする。
「でも、バスケって楽しい」
「でしょ?」
尚が、こちらを見てふっと笑った。
「僕も、莉子のやること、何か付き合うよ」
ちょっとドキッとする。
それって……、プライベートで二人で遊べる、ってこと?
……変な期待をしてしまう。
「やることっていったら、デザインの勉強、とか?」
「うん。なんでも」
「そっか。じゃあそのうち、何か付き合ってもらおうかなぁ」
そんなこと言われたら、楽しみになっちゃうじゃない。
そうこうしているうちに、家が見えてくる。
「尚」
呼ぶと、尚はこちらを振り向いた。
勇気を出せ。
「また、公園に行ってもいい?」
楽しかった。
尚の好きなものをもっと理解したいと思った。
もしかしたら、もっと、尚の世界に踏み込ませてもらえるんじゃないかなんて、期待してしまって。
「ダメだよ」
それは、思いがけない言葉だった。
ううん。あたしが調子に乗りすぎていたのかもしれない。
尚の目は、真っ直ぐとこっちに向いていた。
意地悪……って感じじゃない。
じゃあなんで……。
なんで……?
その理由を聞けるわけじゃない。
あたしは、出来るだけ笑顔を作る。
「そ、っか」
はずかしさを隠すため、短い髪をぐしぐしと手で梳かす。
そこへ、
「おかえり」
という声がかかった。
顔を挙げると、尚の家から顔を出したアンナちゃんが、そこに立っていた。
え……。
心臓がドキリとする。
もう、一緒に住んでるみたいな顔で出てくるなぁ……。
なんて、真っ白になった頭で考える。
そういうこと?
とか、
まるで彼女みたいだな、
とか。
余計なことを考えてしまって。
ちゃんと笑えているのか、わからなくなったところで。
「莉子ちゃん」
と、アンナちゃんが呼んだので、心臓がビクリとした。
声をかけられたの、初めてだ。
「莉子ちゃんも一緒だったんだね」
にっこりと笑う。
もしかして、友好的、なのかな。
「莉子ちゃんも、うちでご飯食べて行く?今日はおばさまにカレー、教えてもらったんだ」
「へぇ」
満面の笑顔でアンナちゃんはこっちを見ていた。
きっとそれは、友好の証。
なのに。
あたしの心は真っ黒に跳ね上がったんだ。
莉子とアンナちゃんとは仲良く出来るのでしょうか?




