11 公園バスケ(2)
結局莉子は、僕の腹にタックルでもかます勢いで僕の後ろを覗いてきた。
まったく、コイツは僕の気持ちも知らないで。
あまり、バスケ仲間たちに莉子を見て欲しくはなかった。
同じクラスの中川くらいなら、元々知り合いだし莉子ともそこそこ仲がいい。
けど、ここだけの知り合いもいる。年齢だってマチマチだ。
元々、莉子は男子と仲良く出来るヤツだった。
小学生の頃は、僕たちと走り回っていたこともあるくらいだ。
その流れなのか、高校に入ってから、莉子のことを違う意味で見るヤツも増えてきていた。つまり、友情とは違う意味で。
『かわいい』だとか『アリだとか』だとか『いける』とか。
だから、ここには出来るだけ、近づかないで欲しかった、のに。
莉子はすぐに満面の笑みになると、
「中川くん!」
とスタスタとコートの中へ走って行ってしまった。
結局、そこからみんなで莉子を構う時間になってしまう。
莉子はこういうものに嫌悪感がない。
汚れるから嫌だとか痛そうだとか、そんな言葉は発しもせず、出かける格好のままボールに飛び込んで行く。
ドリブルもシュートも、そこそこ上手く、それでいてリスみたいにチョコチョコと動いて真剣にやるものだから、こういう場ではウケがいいのだ。
「いっくよー!」
「おう、来い!」
目の前で、莉子が男と仲良くしている。
かといって、僕がとやかく言えることでもないし。
「莉子、シュートは無理だろ〜」
なんて、今日初対面のヤツとも楽しく話してるし。
「でも、シュートしてみたい!」
「じゃあ、こんな風にボールに手を添えてさ」
男どもと莉子の手が触れる。肩が触れる。
それなのに、莉子のやつ、楽しそうにして……。
自分でも、気にし過ぎだと思う。
けど。
出来ることなら、僕以外の人間に、あんなに気軽に触れさせないで欲しい。
僕は、ため息と一緒に、つい一歩、前に出てしまっていた。
「莉子、こっち!パス!」
手を差し出す。
莉子は、昔と同じキラキラした目で、
「尚!」
とボールを投げてくる。
そうだよ。そうやって、僕以外見なくていい。
僕は、そのままディフェンスを一人抜くと、ジャンプシュートを決めてみせた。
「何やってんだよ」
だの、
「うっわ」
だのの声の中、
「わー!」
と嬉しそうに歓声を上げる莉子の声が聞こえる。
そうだよ。僕だって、莉子以外は目に入らないんだから。
それから、近くの食堂で莉子も含めて昼食になった。
自然と莉子が僕の隣に座ることになり、いささかホッとする。
「美味しい〜」
「でしょ?」
アジフライをつまみながら、最近はこんな日も減ってたな、なんて思いながら。
久しぶりに、僕は、自然と息がつけることに気がついたんだ。
莉子ちゃん、学校では莉子と呼ばれることが多いです。呼びやすいからね!




