嫌いではないの。受け付けないだけ
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
嫌いではないですよ。全くもって。
けれども受け付けないだけですよ。
何でも許せる方向けです。
古来、宗教というのは祈りを捧げる以外に、信者の居場所と使われていたそうだ。だから外国人が多く訪れた港町には教会が多く立ち並ぶ。見知らぬ土地での安住の地である様に。
灘らかに、何処までも続く坂を登った先に、白亜の建物を発見した。ゴシック建築を礎とした尖頭アーチに、嵌められた殉教者の石像。カトリック教会である。
隣人はその計算され尽くされた建造物をただ恍惚と眺めていた。
「あぁ……やはり美しい……」
そう零した彼を横目で見て、私は僅かに口角を上げた。そう、貴方にとってはそうなのね。
私と彼は端にある木造の扉から、ゆっくりと内部へと足を踏み入れる。こじんまりとしていながらも、非常に精巧だった。幾何学模様のステンドグラスと長椅子が並び、神聖なる祈りの場を提供する。最奥に鎮座する祭壇には主の様々な場面が描かれた宗教画が置かれていた。
そして脳裏に薄ぼんやりと響き渡る聖歌。古く重厚なフランキンセンスの香り。この二つが合わさると、強い酩酊感を覚える。視界がぼんやりとして、足元がぐらつき、その場で倒れ伏してしまいそうな。脳が揺すられて、吐き戻してしまいそうな。
私は額を押さえ付けながら、天井に描かれた星々を眺め見る。この夜を映した穏やかで神聖な場所なのに、何故こんなにも苦しくて仕方がないのだろう。
「……教会は……宗派が異なっても同じ匂いがする……。ごめん、先に外に出る……」
私は彼の声を待たず、先に外へと逃げ出した。端に置かれた木造のベンチに腰掛けて、酩酊した思考を正そうとしても、まだ目眩は続く。
カトリック、プロテスタント、正教会、そのどれに踏み入れても、必ず目眩と頭痛を引き起こす強烈なフランキンセンス。異教徒を御救いにはならないと、遠回しに宣告された様で、どうにも複雑な気持ちになる。
頭を押さえ、ぐったりとしていると、私を追って外に出た彼を発見した。彼は私を見付けると、横に座り、ゆっくりと背を摩る。
「ごめんね。詳しいから好きなのかと思ってた」
「嫌いではないの。体が受け付けないだけ。ただそれだけ」
以下何でも許せる方向け。
個人の意見飛び交います。私の発言が許せる方のみ宜しくお願いします。
教会って宗教が異なっても同じ匂いがするんですよ。
時代を重ねた様な石のような、ツンとした匂い。
どうやらフランキンセンスと言うそうですね。
※伽羅、白檀と似てるって? 絶対似てないよ( ˙-˙)
これは私だけの話ですが、吸い込むと目眩と頭痛の後、倒れそうになるんです。
※本来の効能は精神の落ち着きです。
これ、カトリック、プロテスタント、正教会、どの教会を訪れても同じ。
背筋がゾワゾワして、倒れそうな程の目眩と、額を締め付けられるような頭痛、それから来る吐き気。
例え教会を出ても、近くに居る限り続くんです。
とっても不思議な事に。
教会に足を踏み入れる度に、体は全く受け付けない。
倒れる程の頭痛と目眩と吐き気が酷くなる。
其れでも彼が『詳しいから』と宣言するのは『明確な理由なく嫌いたくないから』だと思います。
生理的に無理。なんて言うのは簡単なんです。
何となく嫌い。と認めるのは非常に楽。
でも同じくらい簡単に相手を傷付ける。
だから全て知った上で、苦手としたいのだと思います。