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ネクロダスト  作者: 李津
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エピソード10


バタバタと誰かが廊下を走る音が聞こえる。やがてその音は俺の部屋に近づいてきてついには部屋の戸を激しくたたき出した。


―――ドンドン 「二人とも起きてる?大変なの!ジーナがどこにもいないの!」


「なんだって?」


隣の部屋から焦ったような声と扉が開く音が聞こえた。

正直、やっぱりな。という感想しか出てこない。俺も出来るだけ早く部屋の外に出た。


「トナ!ジーナが…。」


「あぁ、出て行ったんだろ?」


「どこに行ったか知ってるの?」


「いや、分からないが考えられるのは一人で姉を探しに行ったか、もしくは俺たちの事を誰かに報告するために出て行ったか…。」


「誰かに報告...?どういうこと?」


「もしかしたら全て仕組まれてた事でジーナがまだ研究所の手先だっていう可能性もあるだろ?」


「あの子はそんな子じゃないよ!だったら一番最初に出会ったときにシビトに落ちそうなくらい衰弱してたのはどういうこと?」


「それも、何か理由があったんだろ。」


「まぁ話し合いはそれくらいで。姉を探しに行った可能性も高いしひとまずジーナを探しに行こう。子供の足じゃそこまで遠くには行けないだろ?」


アルドにそう言われ、俺たちはジーナを探しに行くことにした。


「少し待ってくれ。」


俺は二人に声をかけた。

昨日の夜 俺は確かにアルドがこの周囲の地図を鞄に入れたのを見ていた。それが外に出ている。


「アルド、お前昨日この地図を鞄の中に入れなかったのか?」


「いや、入れたと思うが…。ジーナが見たんじゃないのか?」


「お姉さんを探すためにこの辺りの事を知りたかったんじゃない?早く探さないと…。」


「ジーナが姉を探してた地区とは六時間以上も離れているんだぞ。」


「それは…。今はとにかく一刻も早くジーナを探したいの。」


「わかった…。行こう。」


外に出て急いで岩山をかけ下る。

いつも探索に出ている方では無く、俺たちが最初に登ってきた方を指さした。


「こっちでいいの?」


「多分な。」


山を下りきったところでとんでもない物を見た。

人感探知機がこの辺りをウロウロしているではないか。


「なんでこんなところに…。早くジーナを探さないと!」


「まて、あれに見つかったら俺たちだって…。」


「どっちにしろ もうそこまで来てるんだ。それにこの機械、まっすぐ俺たちの岩山に向かってると思わないか?」


「何が言いたい?」


「もうすでにバレてるってことさ。」


俺たちは探知機をなんとかかいくぐり上層近くの街まで来た。


「あ、ジーナ!」


その声に俺たちの目もジーナを捉える。ジーナは振り返って何かを呟いた。

次の瞬間ジーナの後ろに複数人のロードの姿が見えた。

そのロードの銃口が俺たちをとらえる前に俺たちは無言で逃げ出した。


元来た岩山には戻れないので別の街を目指して走った。数時間、走って走って走って。

ようやく止まった時にはもう追手は追ってきていなかった。


「ジーナ…。なんで、」


「はぁ、まんまとしてやられたな。やっぱりお前の感は正しかったみたいだな。」


「トナ…わかってたの?」


「いや、確信は無かったさ。ただ姉を探してると言ってた割には俺たちといる時 まったくと言っていいほど探す様子も無かっただろ?それでおかしいと思っていたんだ。」


「言われてみれば確かにな。だが情報が早すぎると思わないか?見たところジーナと研究所のロードはさっき落ち合ったみたいに見えたんだが人感探知機はもう岩山付近にいたよな?」


「おそらくだが、ジーナがgpsか何か場所を特定できるような物を持っていたんだと思う。」


「でも一番最初に持ち物検査したよね?そのときは何も…」


「俺がおかしいと思ったのは風呂に入る時だな。頑なにシェリーとの混浴を嫌がっただろ?あのときは純粋に恥ずかしいのかと思っていたが...。」


「体に大きな傷があるって...。まさか!」


「多分身体に何か埋め込まれていてその傷跡を見られたくなかったんじゃないか?」


「小さい子の身体にそんな...!もしかしてジーナも脅されていたんじゃないかな?これは憶測の域に過ぎないけれど、ジーナのお姉さんは本当は生きていて研究所に捉えられてるの。お姉さんのためにジーナは無理をして深いところまで探索に行ったけど途中で気絶してしまったとか…。」


「まぁ…無いとは言い切れないな。」


「私も妹に手は出さないと言う約束でロードになったのよ。でも奴らは約束を守ってくれなかった、結局妹にもアンネクロを注入されてしまって…。妹は適合しなかったから死んでしまったのよ。」


「畜生にも程があるだろ!」


「なるほどな、その話を聞くにジーナの状況もそれとそう遠くは無いのかもしれない。俺たちの情報を持って帰るのはかなり大きいとも思うが俺たちを捕まえられなかった事でジーナは何か危害を与えられるかもしれないが。」


「そんな…。」



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