表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遙かなる坂の上 〜日本帝国繁盛記〜  作者: 扶桑かつみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/65

あとがきのようなもの

 皆様お疲れ様でした。

 

 私も疲れました。

 何しろ原稿枚数換算で、1900枚ぐらいになってしまったからです(汗)


 最初は、幕末から明治初期に倒れた人々が無事に天寿を全うする辺りで終わろうかと思っていました。

 本来の予定では、ギリギリでパリ講和会議から1920年代半ば辺りです。

 それ以上は、どう考えても幕末で活躍した人が生きてませんからね。

 

 けど、途中で考えを変えて、自分の中で行けるところまで書くことにしました。

 それもこれも、第二次世界大戦で日本とアメリカが戦争しても、日本が「負けない」可能性が「少し」見えてきたからです。

 

 このため、自分自身の中での初期コンセプトとは少し違ってしまったかなと思っています。

 その後も史実には存在しないであろう人々の子孫達を出して活躍させようかとも思ったのですが、やりすぎると小説のようになってしまうので、最小限に控えてみました。

 史書や叙述形式ではあっても小説じゃないですから。

 

 暗殺などをくぐり抜けた人々の活躍については、こういった可能性も少しはあった、という程度に思ってもらえればと思います。

 実際何人かの偉人が生き残ったとしても、ほとんど変化はなかった可能性も十分にあります。

 明治以後も、大正時代の原敬、昭和の永田鉄山など暗殺された人物を減らしたのは、少しでも日本に賢明な道を歩んでもらうための小道具や方便のようなものです。

 


 で、この世界の第二次世界大戦ですが、力を持った日本、多少まともな国家戦略を立てた日本、そして何より早くに高度経済成長に突入してしまった重工業国日本だと、誰が想定しても似たような攻め先になるんじゃないかと思います。

 

 一年でイギリスのアジア、オセアニアを潰せるなら先にしておくべきだし、アメリカが参戦する前に勝ち逃げできそうなら、アメリカを相手にせずに他方面で努力するべきでしょう。

 経済的に豊かなお陰で、心理的にもいきなりアメリカに殴りかからねばならないほど追いつめられていませんからね。

 

 でも、スタートダッシュに成功した力を持った日本と出遅れたアメリカだと、アメリカが状況を完全にひっくり返せる頃には日本経済そのものが破綻するので、限界まで殴り合うことしませんでした。

 これは意図的なもので、戦争を早期に締めくくるために総統閣下ご退場イベントを入れてみただけです。

 

 「一心不乱の〜(ry」を望んだ方はご不満かもしれませんが、取りあえずアメリカ軍をボコボコにした事でご容赦下さい(笑)

 それと、アメリカと日本の戦場は、意図的に史実とは関係のない場所を出来るだけ選んでみました。

 何しろ明治時代からソロモンも東ニューギニアも日本領だから、同じ戦場を設定するとこの辺りからエライ事になりますからね。

 最悪の場合、ガ島の時点でサイパン島状態ですし。

 

 戦闘自体は、当社比120%て感じで日本軍有利な展開としましたが、基本的に日本側が多数の戦力を突っ込んでいる状況を作ったので、日本が負ける可能性は低く、また勝ちすぎるのはご愛敬と思っていただければと思います。

 


 そして大戦開始頃の日本ですが、概ね我々の世界の3〜4倍の国力もしくは生産力を持っていると想定しました。

 国力の分だけ、基礎を中心に技術力も高めです。

 造船能力のマキシマムは予測最大数値の約三倍(実質五倍)、鉄鋼生産量だと三倍半から四程度です。

 しかもその上、戦争特需で爆発的な経済発展をさせています。

 この辺りの数字は、我々の世界の支那事変初期と第二次大戦中のアメリカの経済成長を参考にしました。

 この世界での爆発的な経済成長率は、実質はともかく名目成長率では達成可能な筈の数字です。

 

 史実との比較を単純な目安で見ると、第一次世界大戦後で史実の五割り増しぐらいになります。

 関東大震災の被災額が増えているのも、日本経済がその分発展しているからです。

 で、そこからものすごい金額の復興事業と公共投資、さらに事実上の計画経済政策をしているので、1930年代末で3〜4倍ぐらいです。

 ただし、潜在生産力は4〜8倍以上持たせてあります。

 その辺をある程度決めるために、参戦前の総力戦能力についてはかなりねちっこく書いてみました。

  

 また、南洋植民地、南満州の領土や利権、北樺太のオハ油田、海南島の鉱産資源、北満州の大慶油田をそれぞれの時代のカンフル剤としました。

 そして戦争中は東南アジア、オセアニアを飲み込み、トドメとして戦後にアラブの石油を分捕らせてみました。

 

 満州をいち早く独立させたのも、周辺環境の安定はもちろんですが経済面の効果も重視しての事です。

 


 ただ、少しやりすぎてしまった感がありました。

 

 戦後も経済成長を続けさせたのですが、この世界の1950年のGDPはドルによる単純な数字比較だと、周りが史実通りなのに我々の世界の1965年(昭和40年)頃と同じになってしまいます。

 故に1952年に五輪と万博を置いて、締めとさせていただきました。

 そして日本のよりよい発展を見るのが今回のコンテンツの目的だったので、対米戦勝利ではなく五輪、万博の開催、高度経済成長の達成を到達点としました。

 

 そして半ばお約束だと思い、アメリカには少しばかり躓いてもらいました。

 

 我々の世界だと、1950年のGDPは日本が103億ドル、アメリカが2630億ドルとなります。

 ですが、この世界のアメリカは1900億ドル程度で、大戦後は低迷してもらっています。

 単純に言ってしまうと、アメリカが沈んでいる分だけ日本が浮いていると思って頂ければよいと思います。

 ドイツとロシア(ソ連)の関係も、似たような状態です。

 

 世界経済全体の総量は、ほぼ変化ありません。

 この後も、アメリカがアラブの油田を得られなかったので大きく変化していきます(多分)。

 ちなみに、我々の世界の1950年のイギリスのGDPは約350億ドル。

 これがヨーロッパ先進国のほぼトップです。

 

 また、我々の世界が1ドル=360円、この世界の事を多少分かりやすくするため戦後の為替レートを1ドル=3.6円としたので、円で比較して見ると3兆7000億円対3240億円と、一見全然違って見えてしまいます。

 この数字の差、為替レートの差こそが、我々の世界の9倍(1950年時点)もの国力を実現した結果、ということになります。

 数字の話しばかりで面倒くさいとお思いでしょうが、この程度の数字を下支えとして置いておかないと想定そのものを構築できないんです。

 

 まあ、これでも十分砂上の楼閣なんですが。

 


 そしてエキスポから21世紀初頭にかけてですが、1950年代以後のことはあまり考えていません。

 

 いちおう日本が世界最強の国家になる筈です。

 中華民国は内乱と分裂がしばらく続き、ロシアもドイツに頭を押さえられたままで、ドイツはヨーロッパ世界の世話が忙しくて他に手が回りません。

 イギリスは降下の一方です。

 そしてアメリカは、基本的に一人よがりのため世界からハブられっぱなしです。

 そして欧州と日本は、アメリカが頭抜きん出ることを常に嫌がります。

 いや、恐れます。

 

 かくして、日本の相対的優位が形作られます。

 ……ここまでレールを敷いた以上、概ねそうなる筈です。

 

 とはいえ、世界の構図が我々の世界の「ソ連・共産主義陣営とそれ以外」ではなく基本的に「アメリカとそれ以外」になるので、我々の世界ほど大量生産、大量消費の世界にはなりません。

 グローバル化の進展も、余程変化がない限り遅れます。

 必然的に、各国の経済力、世界の経済規模も小さくなります。

 技術進歩も多少後れるかもしれません。

 少なくとも、進んでいる可能性はほとんどないでしょう。

 

 どの国も、現代のローマ帝国にならなかったからです。(もちろん、「なれない」からですが。)

 また、日本とドイツはアラブの石油を握りましたが、アメリカほど使わない可能性が高いので、石油はかなりの期間安いままかもしれません。

 

 そして資源と市場の欲しいアメリカと、植民地や影響圏を維持したいヨーロッパと日本が、世界各地で代理戦争しているんじゃないでしょうか。

 この世界はイデオロギー対立ではなく、依然として経済が人類社会の分裂と対立を促します。

 アメリカの方が、余程イデオロギー国家になってしまうからです。

 

 それでも我々の世界と似た頃に、「日本とアメリカの和解」という「冷戦構造の崩壊」のような大きなイベントがあって、その後世界は我々の世界と似たような状況かもしれません。

 


 なお今回のコンテンツが、私どもの「八八艦隊一九三四」と似ていると思った方もいると思います。

 私自身ある程度似せた積もりですし、八八艦隊を作らなかった世界での日本が究極的に発展した形の一つだと想定して世界を構築しました。

 

 そして、恐らくこの後の展開として多くの方が予測したであろう、日本とアメリカによるタイマン勝負ですが、なんだかありきたりな展開になりそうなので書くのは止めました。

 書こうと思えば書けましたし、振り返ってみると今回のコンテンツ内で日米の超戦艦同士の対決も書いていないし、とか色々消化不良な点にも気が付いたのですが、なんだか面倒になりました。

 第二次世界大戦も、当初予定ではもっとサラッと流す予定でしたし。

 


 なお、この世界の1953年から55年ぐらいに起きるかも知れない日米のガチンコ勝負については、当サイト内の「八八艦隊一九三四 皇国の行く末(FRS)」「No.3 Return Match」(http://www.cwo.zaq.ne.jp/bface700/frs_plus/frs_plus_top.html)で、脳内補完しておいてください(笑)。

 実際新しく書いたとしても、似たようなものを書いていると思います。

 

 アメリカに「負けない」ではなく「勝つ」には、現有戦力だけで殴り合う限定総力戦以上しちゃいけませんからね。

 アメリカの6割の国力(生産力)を持った日本でも、その辺は変わらないと思います。

 

 アメリカを本気でぶちのめす時は、某スーパーロボット大戦並にアメリカvs全世界じゃないとね。

 


 余談ですが、日米のガチンコ勝負が起きた場合、この世界のハワイ王国は開戦の舞台となって、某有名ロボットアニメのような状況が到来する筈です。

 長い間の日本との関係と日本人移民により、かなり日本化も進んでいるでしょうし。

 

 冒頭をこの世界のハワイ王国で開催していたエアレースにすれば、主人公的人物が「最強の機体」に乗ってオープニングを飾ることも出来るでしょう(笑)

 流れとしては……、



・平和な永世中立国を突如襲う敵(米)精鋭艦隊

   ↓

・アメリカ軍の奇襲攻撃による対日開戦

   ↓

・米特殊部隊の破壊工作

   ↓

・敵地となった祖国からの決死の脱出

   ↓

・友軍を頼っての逃避行

   ↓

・敵の執拗な追撃

   ↓

・戦争当初は劣勢に追い込まれる友軍(日本)

   ↓

・米軍の侵攻続く

   ↓

・米軍の攻勢限界点

   ↓

・友軍の反撃開始

   ↓

・その先頭に立つ主人公(ハワイ王国)

   ↓

・米軍の後退

   ↓

・最初の舞台ハワイでの決戦

   ↓

・ライバルとの対決

   ↓

・そして決定的状況(水爆?)による終戦

   ↓

・・取りあえず祖国を復帰しての大団円……



といったあたりでしょうか。

 

 登場する兵器としては、試作の超音速ジェット戦闘機、原子力潜水艦、ジェット戦略爆撃機、超大型空母、超戦艦あたりでしょうね。

 


 それでは、また別の平行世界で会いましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ