終わりの始まり
誤字脱字などがありましたら言ってください。
まだまだ慣れなくて言い回しが下手ですが御容赦ください……
ピピピピッ!!ピピピピッ!!ピピピピッ!!ピピピピ!!
大音量のけたたましいアラームで目が覚めた。
「またあの夢か…最近しょっちゅう見るなぁ。思い出したくないんだけどな。」
あの夢とは、お父さんが居なくなった日をまるでプレイバックするかのような、とても忠実な夢だ。不機嫌になりながらアラームを止め、時計を見てみると、家を出てなければ行けない時間だった。
僕「九十九 陽」は父子家庭でお父さんと一緒に暮らしていた。暮らしていたと言っても8歳までだけど。
今は18歳。あれから10年の歳月はあっという間に感じられた。お母さんは元々居ないと聞かされていたし、お父さんの親戚とも会ったこともなかった。
いや、あった記憶が無かった。
会ったかもしれないけど定かじゃない。
だからそのまま孤児院に引き取られた。その孤児院も、高校に進学すると同時に出て、バイト生活をしながら1人で暮らしてる。
国からの補助も多少だが、あるからなんとか生きていけてる。国の偉い人にあったら深深と頭を下げないと……と思う今日この頃。
そんなことより急がないと間に合わない。
何故ならば、今日は高校最後の文化祭なのである。
文化祭くらいは遅刻せず最初の雰囲気から楽しみたいんだ。そう前々から思っていたのに遅刻してる自分が情けない…時刻を見ると8時20分。
全速力で走れば30分までには間に合うだろう。
こういう時に部活に入って居なかったのを後悔する。運動にも文才にも恵まれなかったおかげで、3年間帰宅部なのだ。それから10分が経ち、ギリギリ教室へ滑り込みセーフ。我ながら天晴れだ。
「陽遅いよぉー!」
「静かにしろよー!バレるだろ!」
隣の席の橘 七緒が絡んできた。七緒は中学2年生の時からの仲で、元気の塊みたいな子だ。しかし繊細なとこもあり弓道部に所属してる七緒は結構いい線まで言っているらしい。そんな七緒の事が好きなのもまた事実。今日は文化祭だし、一緒に回って屋上で告白…そんなシナリオも考えてはいるが、実行に移せないビビりが、好きな女の子を横目に席につく。
「今日も陽は遅刻な。まぁ文化祭だし大目に見てやろう!我ら3-Aはお化け屋敷をやるが、PTAの方々も来ると聞く。その時は少し驚かす声量を下げる様に!皆様ご年配だからな……!それでは皆気を引き締めて、楽しむように!!」
ハゲかけの担任が啖呵を切る。高齢者をお化け屋敷に入れる所が、中々頭が悪い。しかし、遅刻を大目に見てくれたわけだから。俺も大目に見てややろう。
「陽はさ今日どうするの?私たち休憩時間一緒だし…一緒に回る?」いつも七緒に先手を取られる。いや、これはマウントだ。駆け引きだ。命をかけるべき吉日なんだ。七緒は昔からどこか姉御肌な部分がある。僕はひ弱でビビリだからこうなるんだろう。
しかし!!そんなことは言ってないられない。
今日はひ弱の殻を破らなければ!!そう心に誓った。
「僕は元々一緒に回るつもりだったけど…やめとく?」この言葉で殻を破ったつもりでいる。
「あ、そう想ってくれてたんだ!良かったぁ…嬉しい!なら一緒に回ろ!!」頬を赤らめた七緒が頷いている。(何が先手必勝だ……後手でもいいじゃないか。)そう思いながら僕の渾身の一撃は決まった。
そして、どこに行く?あそこもいいかも。と他愛もない話をしていると、謎の音が校庭の方から聞こえてきた。なにかの余興だろうか……窓から覗いて見るとそこには、季節外れのおじさんがいた。
リンリン・シャンシャン・リンリン・シャンシャン…聞き覚えしかない…鈴の音。
ハァゥハァゥハァゥ息を切らしている黒いトナカイ。そしてソリから降りてきた……
真っ白なサンタクロース。
「………………」校舎全体が沈黙になったことは言うまでもない。赤い要素がどこにもないし。
今10月の半ば…あわてんぼうにも程がある。
「ホッホッホッホゥッホゥッホゥ」
白いたくましい髭を触りながら高らかに笑っている。「ホッホッホッホゥッホゥホゥッ」
ずっと笑っている。不気味な程に笑っている。
そこへ別のクラスの男子が話しかけに行った。
「おっさん誰?日本語通じる?」
彼はおそらくヤンキーなのだろう。
めちゃくちゃメンチを切ってる。
「ホゥホゥホゥッホゥッホゥッホゥッ」
笑いなのか咳なのかもうわからない。
「マジでお前誰?は?マジでシバくぞ!!」
語尾が少し上がった。多分、ヤンキーだ。
昔こんなやつにイジメられてたことがあった。
痺れを切らしたのかヤンキーは、白いおじさんを1発どついた。その時、おじさんが初めて言葉を発した。
「痛いじゃないか。君は悪い子だね。そんな子にプレゼントは上げられないよ〜。残念だったね!
代わりにこれをあげるね?」
そう言って荷台に乗ってある袋から手のひらサイズの真っ黒い箱を取りだした。それを突き出すおじさん。
「これは君の罰だ。ちゃんと受け取ってね?」
その箱を叩き落とすヤンキー。
「あ?だからテメーは誰なんだよ。イラつくな。」箱を受け取らなかったからなのか、おじさんは鬼の形相に代わりに指を鳴らした。
その時だった。
そこにヤンキーの姿はなく残っていたのは血・肉片だけだった。そのヤンキーだったもモノは、四方八方へ飛び散り壁や窓ガラスにも飛んできた。その瞬間校舎全体は沈黙を消し去った。
慌てふためく生徒たち。僕と七緒はその場に立ち尽くしていた。何故ならば……白いおじさんは人間だったモノに染められ、赤と白のサンタクロースになったからだ。
僕らの足は震え、その場から動けない。
初めて人が死ぬところを見たからだろう。
いたる所から悲鳴と嗚咽が聞こえ校舎内はパニックになった……それから少しすると校内放送が流れ、体育館への避難指示が出ていた。生徒たちは我先に一目散に体育館へ走る。僕らは唖然呆然教室で震えるだけ。この世の終わりだと思った。
「なぁ陽。サンタは宇宙人なんだぜ。」
その言葉を思い出したが笑みの一つや二つ出てきやしない。ひとまず深呼吸。冷静にならないと僕らもあぁなってしまう。放心状態の七緒を揺さぶる。
「おい!起きろ!七緒起きろ!」
我に返ったのか顔に赤みが戻ってきた。
「ごめん。すごい怖くて…動けないよ…」
七緒が陽に初めて涙を見せた。
とりあえず、体育館へ行こうと思ったが教室に隠れている方がいいんじゃないかと思ってきた。
3-Aは3階の角にあるため体育館へ逃げるよりかはここにいた方が安全と判断したからである。
それに七緒も賛成し僕らは息を潜めることにした。
一方体育館では点呼が行われていた。
「陽と七緒がいません!!」
クラスの学級委員が先生にそう告げる。
いないのは僕らだけらしい。
そんな事よりあれはなんだ……警察はまだなのか……体育館中、サンタクロースに対しての絶望感を隠しきれない。1人の先生が体育館の扉から校庭を覗いて見た。覗かなければよかった。
トナカイは未だに息を切らし、サンタは袋を担ぎ校庭から体育館へ歩いている。もう目と鼻の先だ。それを見た先生は慌てふためき、それに釣られてまたもや体育館がパニックになった。
「ホゥッホゥッホゥッ。いい悲鳴が聞こえるねぇ。悪い子には罰を。いい子には賞を。今回はどんな子たちが楽しませてくれるかな?100年戦争のスタートだ!」
体育館の扉が開かれた。
あわてんぼうのサンタクロース
ゆかいなおひげの おじいさん
リンリンリンチャチャチャ
ドンドンドンシャラランラン
わすれちゃだめだよおもちゃ
シャラランリンチャチャチャ
ドンシャララン
1日ひきこもって書いてたいなー。。