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冥土さんが往く  作者: セフィール
悪役令嬢のお嬢様
18/20

一目惚れ

「それでえっと、仕えるって、どうゆうことですか?」

「そのままの意味でございます。日々お嬢様のお側に侍り、生活環境を完璧に整え、何不自由しないようお世話をし、様々な願いを叶え、どんな命令をも完遂し、悩みがあれば相談にのり、あらゆる危険を排除し、邪魔な障害は消す。基本的に、これらメイドとしての使命を、果たさせていただきます。」


 それ全部メイドの使命なのか、すごいなメイド。

 そしてなんか、最後物騒なのが聞こえた気が…。まあ、悪魔だしなぁ。

 と言うか、この人、たぶん悪魔の王様だよね?え、そんな人が私なんかに仕えてもいいの?なんか悪魔に気に入られるようなことしたっけ?

 よし、わからないなら聞こう。うんそれがいい。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥って言うもんね!それじゃあまずは…


「えっと、メイドさんて、悪魔の王様?」


 まずは事実確認。勝手に勘違いしてたとか、恥ずかしいからね。


「それが、悪魔の中で最も強く、多数の悪魔を従えている者、という意味であれば、是です。」


 おお、やっぱりそうか。そしてこの人最強なのか。全然そうは見えないけど。どっからどう見ても、美人なメイドさんだもんね。

「ありがとうございます。」

 …いえいえ。


 えっと、次は…あ、そうだ!。


「それで、私を殺したり、憑依したりは、しないってことで、いいのかな?」

「それはもちろんです。」


 ほっ、良かった。とりあえず安心だ。

 って、お母さん!無事!?


「あ、あの!召喚される時に、私以外の生贄、食べちゃったりしてませんか!?」

「それは心配入りません。誰一人殺していませんよ。もちろん、お嬢様の母君も無事です。ご心配でしたら、あちらでベットに寝かしておりますので、お確かめください。」


 そう言われて、指し示された方を見てみると、淡い水色のネグリジェを、着せられたお母さんが、ベットに寝ていた。

 その回りには、それぞれ色やデザインの違う服を着せられた子供達が、同じようなベットに寝かされていた。他の拐われてきた子達かな。

 お母さんは、ほんとにただ寝てるだけみたいで、すやすやと、気持ち良さそうに眠ってる。…何このベットすごくやらかい。

 とりあえず、大丈夫そう。

 あ、メイドさんにちゃんとお礼言っとこ。


「ありがとうメイドさん。」

「いえいえ、大切なお嬢様の母君ですので。ところで、他の子供達はいかがいたしましょうか?とりあえず、今はこのままでも?」

「あ、うん。じゃあそれで。」


 聞かれても、私にはどうしたらいいかなんて、わからないしね!


「ところで、なんで、私に仕えようと思ったの?特にメリットがあるとは思えないんだけど。あ、もしかして、魔力?」


 そうだったよ。私、魔力だけは大量に持ってたよ。悪魔が受肉しないと現世に長くいられないのは、魔力の消費が激しいからだったはず。つまり、私という魔力タンクの側にいれば、そんなの気にしないですむ。きっとこれが理由だね!


「いえ、違います。」

「えっ」


 違うの!?


「はい。違います。低位の悪魔ならともかく、私のような最高位の悪魔なら、現世でエネルギー漏れをおこすなど、あり得ません。そもそも、私が存在を保てない程のエネルギーを消費すれば、お嬢様の魔力では到底賄えません。」


 へー、てことは、高位の悪魔なら、こっちで活動しほうだいってこと!?え、でもゲームの悪魔に、そんな設定なかったはずだけど。他にも悪魔の王が出てくるイベントもあったけど、受肉しないと長く留まれなかったはず。これはどういうこと?てゆうか、私のこの膨大な魔力でも足りないって、ヤバくない?どれだけ強いのよ。


「それはおそらく、その悪魔は実は低位だっただけかと。」

「えっ、どういうこと?」


 悪魔の王なのに?国一つ軽く滅ぼせるってあったけど。


「まあ、高位の悪魔なら、最低でも天体の一つや二つ、軽く消せますので。国単位でしか計れないなら、まだまだですね。私からすれば、田舎の村の村長が、王だなんだと囃し立てられている、くらいにしか感じられません。」

「え、えぇ」


 色々衝撃的なんだけど。

 え、このメイドさん。星ごといけるの?ヤバくない?

 さっきから、私の語彙力が死んでる気がする。

 てゆうか、ゲームと全然ちがくない?そんな人が聖騎士にやられるとは、到底思えないんだけれども。いや、それは田舎の村の村長だっけ?いやいや、ここで召喚されるのは、悪魔の王で…わけわからん!

 そしてなにより、そんなすごい人なら、なおさら私なんかに仕える意味がわからない。


「ゲームのシナリオから外れたのは、確かでしょう。そもそもこの召喚、本来は別の悪魔が召喚されるはずだったのを、私が横どりしましたので。」

「そ、そんなことできるんだ。」

「メイドですので。それから、私がお嬢様にお仕えする理由ですが…」

「…ゴクリ」


 な、なんか緊張してきた。一瞬、メイドだからとか関係なくない?て思ったけど、スルーしよう。

 さて、ようやく聞ける。いったいどんなわけなんだろう。


「まあ簡単に言えば、一目惚れですね。」

「…はい?」




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[一言] 天体消せる悪魔ってなんだ?
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