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冥土さんが往く  作者: セフィール
メイドの始り
1/20

プロローグ

 

 ──暗い──


 ()に自我と呼べるモノが戻った時、最初にそう思った。


 私は、何?(俺は誰だ?)


 ここは、どこ?(ここはどこだ?)


 ・・・


 ()


 あなたは、何?(お前は誰だ?)


 ・・・


 分からない(分からない)


 ・・・


 !?


 “これ”(なんだ、)は、何?(“これ”は!?)


 知らない?(分からない)


 ううん。私は知ってる(俺は知らない)


 “これ”が何か、知って(俺には分からない)


 あなたも(なんなんだ)、知ってるよ(、“これ”は!?)


 知りたい?(教えてくれ!)


 知ってるくせに(知らない)


 私を助けてくれたのは、あな(何のことだ?)ただよ?


 “これ”は記憶。私“達”の記憶


 ・・・

 ああ。そうだったな

 何で、忘れていたんだろうな

 あんなに、楽しかったのに


 あんなに、頑張ったのに


 ・・・


 あなたは私(俺はお前)


 私はあなた(お前は俺だ)



 ──もう一度、始めよう──


 ──今度は、呑みこまれないように──


 ──今度は、理不尽をはね除けるように──


 私は、メイズ=アビスラート


 俺は、溝淵 深羅


 嘗て、あらゆる技術を極め、悪魔王すら従え、神すら殺し、深淵という、究極の概念存在になった者。

 そして、自分自身の存在的格に、意識を呑まれ、ただ、そこにあるだけの存在になってしまったモノ。

 私はただ、メイドになりたかった。

 幼い頃、憧れたメイドさんに。

 そのためにひたすら努力した。

 絶対、最高なメイドになる。

 そして、素敵なお嬢様に仕えるんだ。

 そう思って頑張ってた。

 でも、最後に呑まれてしまった。

 そんな私を救ってくれたのが、深羅だった。


 俺は、ある目的のために勉強をして、一流の大学を出て、一流企業に就職して、金を稼ぎ、自由に生きた者。

 理不尽な妬みにより、人に殺された者。

 趣味はゲーム。これの為に俺はひたすら努力した。

 そのゲームは、MMORPGで、そこで作ったキャラと、メイズがそっくりだった。

 殺された時、最初に思ったのはメイズのことだった。

 せっかく、ここまで育てたのに。

 やっと、最高のメイドになったのに。

 お嬢様に仕えられなかった。

 もし、来世があるなら、メイズになって、お嬢様に仕えたい。

 そして気づいたら、深淵(ここ)にいた。

 最初は、あの世だと思った。

 メイドになりたいと思ったから、冥土に来たのか?

 とか下らないことを考えていた。

 だが、あるときふと思ったんだ。すぐそばに、メイズがいると。

 何の根拠もない。そもそも、そのときの俺にとって、メイズはゲームのキャラクターだ。いるはずがない。

 しかし、俺は確信していた。ここにメイズがいると。

 だが、探しても探しても見つからない。そもそも自分が移動しているのか、どうゆう状態なのかすらも定かではない。

 上も下も無い。そんな状態で必死にメイズを探して。

 何秒、何分、何時間、何日、何ヵ月、何年、何世紀

 どれくらい時間が経ったのかもわからない。

 数年かもしれないし、ほんの数分かもしれない。

 長いのか短いのかも分からない時間のなか、探し続けた。

 それでも、見つからない。


 しかしあるとき、ようやくわかった。

 メイズはここにいるんじゃない。

 ここそのものがメイズだと。

 そう確信した瞬間、より深くメイズを感じられた。

 メイズは眠っている。

 このままでは、永遠に起きない。

 起こさないと。

 そして俺は、メイズに融けた。

 ──起きろ!メイズ!──

 そして、俺の意識は途切れた。



 そして、その、深羅の命がけの行動のおかげで、私は目覚める事ができた。





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