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noise  作者: 襟巻
3/7

~6月27日その2~

疲れた。僕も茜君みたいに未来が知りたい。

気が付いたら私は暗い所にいた。吾輩は鳴日暮茜である。状況把握はまだしていない。

といったフレーズが聞こえそうなほど、真っ暗であった。

一体ここは何処なのであろうか?まあ、背中に未だ鈍い痛みが残っているということは…

まさかとは思うが誘拐されてしまったのか?だとしたら大問題である。手や足を動かしてみると矢張りひも状の何かで縛られており思うように動かない。まるで餌につられて釣りあげられてしまい、最後のあがきを見せるカンパチのような動きをしたが本当にきつく縛られているので私一人ではどうしようもなかった。この状況のおかげで完全に疑惑が確信に変わった。しかし動機が分からない。別に私の家は裕福と言えばダウトと笑いながら言われてしまうほど貧乏であるし、身代金を要求する両親だってとっくに他界しており一人暮らしな私が既に誘拐されている側である。しかし金以外の目的で誘拐するというのは正直考えにくい。辛うじて考えられるのは凶悪な犯罪に手を出したはいいものの、途中で誰かがへまをしてしまい人質を誰でもいいから確保し警察に交渉するということくらいである。

だがそのくらいの低能野郎がもし犯人なのであれば六法全書1冊で小学校のボス的なやつを締め上げたことのある私なら半分寝ていても圧勝できるはずである。まあ、未来も読めるしな。しかし問題はこのひもをどうするか…

ババっ、と蛍光灯が音と共に光った。紛い物の光でさえ矢張り目に痛みが走る。

来たか。

目の前には男、30歳ほどであろうか、まあまあ筋肉質で肌も日に焼けている。鍛えてはいるみたいだ。しかし顔を見るとまず目についたのは無精ひげである。

髭の手入れをしない人は大半頭のいい人はいない。まあいないと言ったら大ウソになるが大半のやつはそこまで、まあ私よりは頭のキレは悪いであろう。と考える。

男が喋ろうと息をのむ。先ほどの会話か。まあどうせ、お前は人質だ。とかそんなどうでもいいことを言うのであろうと思うとイライラする。

だからずっと私はどうやって逃げるかを考えていた。しかしその

私の思考回路は男の一言、思いもよらぬ一言で寸断された。

「やあ、茜君。ようこそ俺らのアジトへ。俺はβ。よろしくね~。」

しかし男が言ったのは人質でも何でもなく私の名であった。

「な、貴様どうして僕の名を!?」

「まあ、そりゃぁさあ、ターゲットの情報は仕入れて当たり前じゃない?」

た、ターゲット!?最初から私を狙っていたのか!?しかし何故…まさか!?

「ご名答!noiserの茜君。」

考えていることが顔に出ていたようでまだ発してもいない質問に対し男は返答した。理解した。こいつらnoiseの存在を知っている、しかし何故誘拐をするのだろうか?まあ、候補としては世界征服の邪魔とかそんなくだらない理由なのであろうと思うのだが、気になるので聞いてみることにした。

「ほう。僕はどうやらnoiseを知っている奴に誘拐されたらしいな。誰の差し金で一体目的はなんだ!?」

男、βとか言ったか?そいつは一瞬本気で言ってんのかという顔をした。

「何故知らないんだ?君もnoiserなら知っていて当然だろう?」

私はデジャヴを感じ苛立ちを覚えながらも百鬼に言った言葉を言った。

「あのなぁ、僕がnoiseの存在を知ったのは最近だ!僕が基本知識を知っている風な口を利くんじゃない!この誘拐野郎が!」

怒るか?怒って攻撃を仕掛けてくるか?結構!先ほどのフラッシュの時に既にこの腕の紐は解いてある。足もあと数秒あれば解ける!来い!準備は万端だ。

しかしβは怒らずに、逆に深夜放送されているお笑い番組を見るかの如く笑った。

「かっかっかっ。いやいや君、中々に頭がいいなぁ。あえて相手の注意を自分の表情に集中させその間に紐を解き、こいつ既にカウンターの用意をしてやがる、実に、実に興味深い!この戦闘本能‼‼」

βは眼球が飛び出そうなほど大きく目を開け、にたりと不気味な笑みを浮かべ喋る。

「だが、このガキ俺を舐めてやがる。六感型の癖して躰型に対しカウンターを仕掛けるなんて、頭の悪い奴がやることだぜぇ?茜君~。改造しちゃうぞ。」

βは笑みをふっと消し真顔でそういった。言動が言動なだけでより本能的な恐怖を覚えた。

この世の中で私たちが最も恐れなくてはいけないのは死だ。ならば当然死に直結する要因も恐れることとなる。だがその中でもダントツに、ガラケーよりスマホの方が使い勝手がいいのと同じくらいダントツに「無知」に対して恐怖を覚えなければいけない。予想だが次にβと名乗るこの男は多分…

noiseを解放し私を襲うだろう。

しかしβのnoiseがどんな能力なのか私は知らない。しかし奴は多分知っている。

いま私が出来る最大の臨戦方法は、矢張り、こちらもnoiseを解放するしかない!

久しぶりだが…実に数年ぶりだが、幼少期以来初のnoise解放…!

10秒、10秒でいい‼せめて10秒でいいから発動してくれ。noise解放‼

目が茜色に染まると共に視界がだんだんゆらゆらと揺れて変化してゆく。

よし!上手く行った‼

そうして視界は10秒後の世界に飛ぶ。

{3秒地点。男が跳躍した。私はそれを見計らい相手の足を払い落とそうとする。

しかし私は逆に足を空中で蹴られ吹き飛ばされてしまった。そしてそのあtおmaribjaeeragjg28q848484788490001101010…}

視界にノイズが走る。こんなこと今までなかった!未来が…ない。まさか!?私は次の十秒で…死ぬのか!?

視界に靄がかかり現実へと感覚を戻される。

「noise解放。筋肉繊維強化式バイオレンスレッド。」

βがそう言うと徐々に奴の体が赤に染まってゆく。まるで梅干しみたいに浮き出たしわしわの血管はいかにも奴の強さを象徴しているようであった。

やっと未来で見た意味が分かった。こいつ筋肉を自在に強化できる!!だからあんな超人じみた動きができたのか。ということは私が奴にうかつに、まあいつもの喧嘩みたいに突っ込んでいったらまず負ける。作戦を、何か作戦を…

部屋を見回す。窓がない。ドアも一つ。部屋もさほど大きくない。換気扇は…1つ‼ならば行ける!作戦が成功すれば、私より先に奴は「あの状態」になる筈だ!

私はトリカブトを食べたら人は死ぬということを確信したのと同じくらいの自信とピサの斜塔から飛び降り着地して生き残るというゲームをクリアするというほどの覚悟を決め、ドアの方向へ、あのスイッチがあるところに走った。


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