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烈火のごとく  作者: 八橋 京人
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響く遠雷

書き溜めているものが底をつくまでは更新は早いと思います。

1926年、中華帝国は無条件降伏。皮肉にも新朝廷の張 寮斎の活躍によって列強の干渉を排し、全租界奪還に成功してから10周年となる日に、帝国は併合された。

各国が軍拡に明け暮れる中、日本は非常に小さな代償で非常に大きなものを得た。

広大な土地とそこに眠る手付かずの資源である。


そんな中、欧州ではかつての大戦での屈辱的敗北の記憶を糧に再び超大国の地位へと返り咲かんとする国があった。その国こそ、この先世界を巻き込む二度目の大戦の引き金を引く国ドイツ第三帝国である。

ドイツは第一次大戦後、多額の賠償金の返済のために起こったハイパーインフレの只中にあったが、ようやく経済が安定し、真っ当な国としての道を歩もうとした。しかし、そこに世界恐慌である。再びこの国はどん底へと叩き落とさた。はずだった、が、最底辺の暗闇の中でドイツ国民たちは小さく、だがはっきり自分たちに向かって差し込む光を見た。

後に欧州を恐怖で支配するドイツ第三帝国総統、フェルムト・ボルマンである。


私は、元々は何の変哲も無いただの青年であった。しかし、第一次世界大戦とその後の混乱で私の人生は狂った。自分が当たり前のように過ごしてきた街を当たり前のように敵国の人間が歩いている。私の務めていた軍需工場は、協商国に差し押さえられ当然私は、職を失った。大衆と同じように絶望の中にあった私だったが、私をその中から引き揚げたものがあった。それはやつらに対する怒りだった。自分たちが東部戦線で滅多打ちにしたロシアに勝った程度でやかましく騒いでいる猿どものはずであった奴らは気がつけば我々を後ろから殴りつけその屍を踏みつけて知らない間に横を通り過ぎていた。少し前まで我が国は、輸入のほとんどを憎き大日本帝国に頼っている状態であった。

さらに奴らは、元々白人の領土であった中華帝国を我が物顔で侵略し、もはや中国は虫の息だそうだ。

そんな我々の怒りを知っていて敢えてなのだろうか?大日本帝国から同盟締結の打診が来た。


ふざけた話だ。……最初はそう思った。しかし、日本製の製品に慣れ親しんだ大衆はその同盟を歓喜とともに受け入れようとしている。これはどうにかしないといけない。大衆が恩人と捉えている大日本帝国(どうやら国民は私の掲げた黄色人種絶滅計画の意味を取り違えているようだ)の申し入れを断れば、少なからず、大衆の不満を買うだろう。それだけは防がなければならない。


大衆の不満を自分たちからそらす。


なに、大日本帝国を大衆の敵に仕立て上げればいい。それだけのことだ。

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