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烈火のごとく  作者: 八橋 京人
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栄光と崩壊

これからはできれば週一のペースで投稿していきたいと思います。

ただ、テスト期間(学生なので申し訳ありません)など、不安定になる時期もあるかと思います。

一応、事前にお知らせはしますが、ご注意ください。

今、アメリカ製の戦艦伊勢、日向とイギリス製の戦艦金剛、そして日本初の国産戦艦、比叡の4隻は、朝廷が奥地へと逃亡した後も激しい抵抗を続けるハイナン要塞攻略の援護として艦砲射撃を行うために南方へと進んでいた。


日中戦争(1922〜1926)は中華帝国(大清帝国滅亡後に建国)の弱体化に伴って乱立した軍閥による満州国侵攻によって勃発した。中華帝国に対しての開戦の口実がどうしても欲しかった陸閥政府にとっては願っても無いことであった。この機を逃すまいと軍閥による攻撃であったものを中央政府の監督責任として(かなり無理矢理ではあったが)合法的に宣戦を布告した。

ここからは非常にうまく進んでいった。大日本帝国は日露戦争以降めざましく発展し、ドイツ帝国、ロシア帝国の滅亡とイタリア、フランスの弱体化によってとうとう世界一の陸軍国家となっていたために清国時代から多少の進歩はあったものの未だに旧体制(帝政)からの脱却に成功していない中華帝国などに勝ち目はなく、開戦以降、一方的に敗退を続けていた。開戦から一年半あまりで沿岸地帯はほぼ完全に攻略され、その後も中華帝国朝廷は臨時首都を次々と失いながら撤退を続けた。この連戦連勝に国中が沸いた。任務が上陸前の艦砲射撃や海賊の討伐のみであるため、ますます海軍の立場は危うくなり、戦艦の保有も金剛型戦艦2隻と伊勢型戦艦2隻の4隻のみでこの国の接する海の広さを考えれば決して十分な数とは言えなかった。そう、海軍はかつての戦争でロシアに大敗した国家の恥さらしなのである。


そして今に至る。

「最近は報われない仕事ばかりで困ったもんですよ、艦長。」

「全くだ」

その直後、かなり大きな爆発音が響く。いくら鋼鉄に囲まれた艦橋内でも、大口径の艦砲となればかなりの音と衝撃が伝わってくる。

数秒してから遠くで、さらに大きな音が響く。

「おお、初段命中。1万メートルの距離で4発とは西川さん、さすがですね。」

35.6糎の徹甲弾が敵要塞の城壁に容赦なく降りかかる。まるで、砂の塊のように要塞砲群もろとも吹き飛ばされる城壁。日本初の近代戦艦金剛、いくら馬鹿にされようが腐っても戦艦である。その火力は凄まじく、陸軍のそれとは比べ物にならない。

しかし、国民のほとんどはこの戦艦に興味などない。海軍が幾ら敵陣を木っ端微塵にしようと、戦果は最終的に占領する陸軍のものであり、海軍は脇役でしかない。いや、それ以下の存在と言っても過言ではないだろう。突破口を開いたのは海軍であるのだが、そんなことは考えもせず我先にと要塞になだれ込む陸軍の馬鹿共の姿がありありと頭に浮かぶ。

先ほどの射撃よりもさらに近づいて主砲、副砲を無慈悲に敵地に叩き込む。陸軍の精鋭4万による2ヶ月間の包囲攻撃にも屈しなかった難攻不落の要塞は今、地獄を思わせるほどの激しい炎に焼かれ、どす黒い煙を吐き出している。私の認識が正しければ、海軍の活躍によってハイナン要塞は陥落した。しかし、海軍は今回も功労者として認められない。かつての大敗はあったにせよ近年は立派に戦果を挙げている筈なのだ。にもかかわらず、今や海軍は陸軍の言いなりで攻撃、援護要請も形のみであり実際は断ることのできない命令である。


我々は本当に「軍」なのだろうか


陥落する憐れな巨大要塞を見ながら戦艦金剛艦長 豊中は一人思うのだった。



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